ザ・ヴィレッジ(Le Village)
『マフィア』というロシアのカードゲームをもとに2001年にアメリカ、イタリア、フランス、ドイツなどで発売された『人狼(米Are you a Werewolf?、伊Lupus in Tabula、英The Werewolves of Miller’s Hollow、仏Les Loups-Garous de Thiercelieux、独Die Werwölfe von Düsterwald)』は多人数パーティゲームの傑作として多くのファンを集めている。その中で最も元気なアスモデ社(フランス)から新しい拡張が発売された。
『人狼』は、プレイヤーの中にこっそり紛れ込み、毎晩1人ずつ村人を殺していく人狼を、会話をもとに推理して倒すゲーム。序盤は情報が少なく、運任せになりがちだが、この拡張が解決してくれる。それが「表の職業」。キャラクター(村人か人狼か)は伏せられているが、職業が予め公開される。
2票の権利をもつ人を選出したり、指名した人物を投票に参加できなくしたり、日中に1人殺せたりするなど、職業にはそれぞれ強烈な能力があり、さらにその人物のキャラクターによって、能力の使い道が絡み合う。序盤の推理の材料は揃いすぎるほどになるだろう。
基本と拡張が両方入ったセットで、通常の人狼としても遊ぶことができるほか、同社が2006年に発売した拡張『新月』のイベントカードを加えて遊ぶこともできる。また白狼、放火魔、うわさ魔という3つのキャラクターも追加されており、遊び方はさまざま。
準備の手間もいらず、会話だけで楽しめ、しかも肝の冷える思いまでできる…この夏、8人以上人が集まる機会があれば、基本セットから試してみて、2回目以降で表の職業を加えてみてはいかが。
Le Village
H.マーリー、P.パリエール作/アスモデ(2009年)
8〜30人用/10歳以上/30分
・Asmodee editions:Le Village
チョコラトル(Chocolatl)
ゲーム内容はこちら。6月からホビージャパンで取り扱われているが、今月になってさらにメビウスゲームズからも発売され、バレンタインでもないのにホットなゲームとなっている。ブルクハルトというネームバリューも大きい。
3人でのプレイレポート。私は最初の神殿に最強の12を仕込んでおいた。ゲーム中ずっと使えないが、この分だけ最後に得点になる上に、一番強いとボーナスも入る。そのせいで序盤はどこも取れず苦しい展開。
ビッドの仕方は、順番に2枚ずつビッドとオープンを繰り返すもの、全エリアに一挙ににビッドするもの、各エリアに1枚ずつビッドし、オープンしてもう1枚ずつビッドするものの3種類がある。1番目と3番目は、残りのカードが何かを踏まえてビッドできるので、足元を思いっきり見られてしまう。12のない私が苦しんだのはそのせいである。
苦境から出るべく、数字の大きいカカオカードへの交換を積極的に進めた。単独で強いカードがなくても、底上げされるとどこかは拾える。同様に強いカードを仕込んでいたトンデモブラウさんはビッドを恒久的に上げる作戦。鴉さんはアドバンテージをピラミッド建設に振り向ける。
私は老人をくらいながらも、小屋に集中して黒いダイスを4個集め、終了時まで取っておいた。黒いダイスは、ゲーム中にビッドをあげるか、最後まで取っておけば得点になる。そこまでの得点計算で私はダントツビリ。この黒いダイスが勝敗を分ける。期待値14では最下位を脱出できない。
ジャラララー……結果は20、逆転優勝!
最後はダイスで勝敗が決まったが、それは今回私が博打に走らざるを得なかっただけで、決して運ゲーではない。自分のカードに合わせてどこを重点的にビッドするか戦略を立て、ほかの人の狙いを読みあう駆け引きも熱い。思い通りにエリア1位を取れたときも、意外な1位が転がり込んできたときも、喜びはひとしお。
6つのエリアそれぞれ違うボーナスはどれもほしいものばかりで、毎回どこにビッドするか悩む。12枚のカードを2枚ずつビッドという単純なルールながら、エリア間のバランスがうまく取られているのはさすがベテランのブルクハルトである。時間も45分くらいで、爽快感が得られた。
Chocolatl
G.ブルクハルト/クワインドゲームズ(2010年)
3〜5人用/8歳以上/45分