ディクシット:ジンクス(Dixit Jinx)
ガチプレイも可
先日行われたディクシット日本選手権は、決勝が4ゲーム、100分という死闘だったと報告されている。『ディクシット』はゆるく遊ぶものだと思っている人は意外かもしれない。コミュニケーションゲームは、ゲームの展開をプレイヤーに大きく依存しているので、ガチプレイヤーがやればガチゲームになるのだろう。
9枚のカードが並んで、1人(親)がそのうち1枚について言葉やジェスチャーのヒントを出す。残りの人はこれだと思うカードを指さして当てるというスピーディーなゲーム。準備も説明もほとんど時間がかからず始めることができる。
『ディクシット』らしいのはハズれた人の数だけ得点になるという得点方法。ヒントが簡単すぎて1発目で当てられてしまうと0点。しかし難しすぎて誰も当てられないと−1点になってしまう。ほどほどに難しいヒントを考えるのは頭をひねる。
6人プレイ。プレイ時間15分と書かれているが、ヒントを考えるのに時間がかかって1時間近くプレイした。というのも、『ディクシット』と違って、場に出ている9枚のイラストが全てである。全てのイラストをよく見てヒントを出さなければ得点を増やせない。「○○というヒントを出せばAかBしか選ばれないだろう。△△というヒントならもっと紛らわしくなるか、いやいや……」
最後の人で当てると親に大量得点が入ってしまうため、自分の1点を犠牲にしてもわざと違うカードを選ぶお仕事プレイや、それを見越して裏をかいたヒントなど、ガチプレイとなったことからも時間が延びた。もっともガチプレイとかいって、感性の溝は如何ともし難い。「ふっふっふ、お前のヒントは読み切っていたぜ!」「はいハズレー」
ひねりにひねったヒントがことごとく空振り。1発で当てられるか、誰にも当てられないかのどちらかばかりで最下位に沈んだ。1位はnagaさん。どうやらターゲットを1人か2人に絞り、その人にしか分からないと思われるヒントを出す戦略が強いようだ。そのためには感性が近い人を見つけるのがよい。男同士で感性が近いと気持ち悪いけれども。
ほぼ初対面だったはずのディクシット日本選手権で、どのような戦略が有効だったか知りたいところである。
Dixit Jinx
J.M.アルエ/リベルー、ホビージャパン(2012年)
3〜6人用/8歳以上/15分
・Amazon.co.jp:ディクシット:ジンクス日本語版
イノベーション(Innovation)
急成長を実感
紙、数学、火薬、蒸気機関、インターネット…文明を発展させてきたものは技術革新(イノベーション)だった。先史時代から情報時代までの10の時代をわたり、最先端のイノベーションをいちはやく導入して時代を制覇するカードゲーム。
2010年にアスマディ社(アメリカ)から発売され、ゴールデンギーク賞(カードゲーム部門)に選ばれるなど話題を読んだ作品。イエロ社(フランス)が昨年リメイクした新版が日本語版となった。イノベーションの美しいイラストが入っており、雰囲気を盛り上げる。
自分の番には、イノベーションカードを引く、自分の前に出す、その効果を使うとうアクションから2つを行う。2枚引くでも、出して使うでも、2回使うでもよい。手札や自分の前にいいカードがあるかどうかによる。
最初は先史時代のカードしか引くことができない。やがて自分の前に出しているイノベーションカードによって、次の時代のカードを引くこともできるようになる。カードの効果はどんどん強くなっていくので、他の人より先に次の時代を狙いたい。
カードを使うときは、「森」「城」「王冠」など資源のアイコン数が重要。自分より資源が少ない人を攻撃するカードと、資源が自分以上の人は全員同じ行動ができるカードがある。どのカードにもいろいろな資源アイコンがついていて、この合計数が多いほど有利だ。
カードの効果は全部違ってさまざまだが、影響力を貯めるのが最重要。影響力が時代に追いついたときにその時代を制覇でき、規定数の時代を先に制覇した人が勝つ。
最初はカードを1アクションで引いて出せるとかいう効果ぐらいだったのが、相手の手札を出させて得点にできるとか、10点のカードをいきなり得点できるとか、効果は加速度的に強力に。新しい時代のカードを見るたびに「ウヒョー」と舞い上がってしまう。この成長感がゲームの醍醐味だろう。旧時代のカードでも、コンボによってまだまだ使えるところも深い。
4人初プレイで2時間強。予想外に長引いた原因は、カードのコンボに慣れていなかったこともあるが、相手から影響力を奪うカードの激しい打ち合いだった。影響力ポイントは、一度手に入れれば確定ではなく、自分の番に、時代を制覇できるだけ貯まっていなければならない。トップ目は1周の間に削られまくって、また1からやり直しということが幾度となくあった。カードが引けないと終わるというサドンデスで、瞬間最大風速の勝利を狙うという手も狙ったほうがよいかもしれない。
逆転のチャンスが誰にでもある分、勝つまでの道のりは容易ではない。それでもまだ見ぬカードの効果で「ウヒョー」と喜びたいところである。
Innovation
カール・チャデク/イエロ、ホビージャパン(2010/2012)
2〜4人用/14歳以上/60分
Amazon.co.jp:イノベーション 日本語版