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氷河わたり(Schollenhüpfen)

ずれていく氷河

動く氷河の上で魚を集める記憶ゲーム。『ラリー・ファリー(Rally Fally)』と共に、磁石専門のボードゲーム出版社の製品として注目していたものだ。ドイツ教育ゲーム賞2010受賞(3歳以上部門)。木製の氷河の裏には穴があって、そこに磁石が埋め込まれている。そこに金属製のアザラシチップや魚チップがぴたりとくっついて、氷河を持ち上げても落ちないようになっている。

氷河わたり
魚の入った氷河はどれだったか・・・

手番にはカードを引き、その指示に従って氷河を差し込む、自分の色のシロクマを移動する、移動先の氷河をめくるといったアクションができる。氷河をめくって魚がいれば見事ゲット。このときには、磁石のついた棒でくっつけて穴から取り出す。こういう細かい仕掛けが嬉しい。このときアザラシが出ると、前にとった魚を1匹奪われる。

氷河は大小さまざまなかたちをしており、わきから差し込むと全体的にずれる。このさまが流氷を見るかのようで美しいが、覚えていた並び方が変わるので混乱する。その結果、もう魚をとった氷河をまためくってしまったり、アザラシが出たり。反対から落ちた氷河はそのままにしておいて、また次の機会に差し込むことになる。

もうひとつのお楽しみがイヌイット。これが出ると、イヌイットを移動して、その下にいる魚の数をみんなで当てる(上級ルール)。当たれば魚をゲットできるというものだ。これまた覚えていたつもりでもなかなか当たらない。

誰かが合計10匹の魚を捕まえたら勝ち。リーチになるとつい油断してアザラシをめくってしまい、接戦になったのがエキサイティングで楽しかった。

Schollenhüpfen
M.グートマイヤー、H.マスホルダー/オーバーシュヴェービッシェ・マグネットシュピーレ(2010年)
2~4人用/5歳以上/20分
国内未発売

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最後の晩餐(Das letzte Bankett)

暗殺者は誰だ?

昨年の震災以降、8人くらいで遊ぶ多人数ゲームが自宅ゲーム会の流行となっているが、このゲームはなかなか出番がなかった。プレイ人数は6~25人となっているが、基本ルールは11人以上で、6~10人は1人2役を担当するバリアントルールなのである。比較的多人数を必要とする『人狼』ですら、こんなにハードルは高くない。夏の合宿は10人参加でぎりぎり足りず。半ば諦めていた頃、いつものメンバーにフェイスブック経由で新たな仲間が見つかり、ようやく12名が集まった。千載一遇のチャンスとばかりに、このゲームを出した。

2派閥に分かれて王様の暗殺を目論むゲーム。派閥の正体ははじめから明らかになっている(首に札をぶらさげている)が、誰が暗殺用具(ダガー/毒薬)をもっているかだけが分からない。相手の派閥の暗殺を阻みつつ、自分の派閥の暗殺を成功させなければならない。


互いに敵のチームの暗殺者を推理しなければならない

はじめに王様(と女王様)を決める。この人は、どちらの派閥からも暗殺されないで生き延びることを目指す。残りは2グループに分かれ、それぞれ別室へ。ここで作戦会議をして、誰が暗殺用具をもつか決め、ポケットに忍び込ませる。

各プレイヤーには侯爵、男爵、伯爵、狩人、執事、メイド、修道院長、尼僧院長、魔女などのキャラクターが与えられており、それぞれ異なる特殊能力をもっている。簡易ルールでは、自分と誰かの席を変えたり、指名した人を右か左どなりの人と席を交換させたりするなど、席交換だけなので、実際に食事をしながらでも遊べるようになっている(本当にお茶を飲みながら遊んだ)。

ゲームは全員起立の上、王様から時計回りか反時計回りで1アクションずつ行う。アクションが終わった人は着席。席を交換しても、立っている人だけがアクションを行うので混乱はない。全員のアクションが終わったとき、王様のとなりにいる人が暗殺用具をもっていれば暗殺成功。失敗すれば第2ラウンドに移る。

3ラウンドまでに王様を暗殺できればその派閥のメンバーのポイント、阻止できれば王様のポイント。王様・派閥を交代して何ゲームか行い、ポイントの多い人が勝つ。第1、第2ラウンドで王様のとなりにすわっていた人は暗殺者ではないので、消去法で絞りこまれてくる。

これだけのルールだが、意外に考えることが多い。誰がどの能力をもっているか覚えた上で、誰と誰の席を交換すれば、最終的に自分の派閥が勝てるのかを読まなければならない。また、相手派閥にかき回されないように、自分の派閥の手番をできるだけ後(下家)にもっていくことも重要である。もっとも、自分の派閥全員の能力を覚えておくだけでもたいへんで、適当にやって後はよろしくということも。

上級ルールはさらに、女性のみ、貴族のみといったキャラクターの属性指定や、アクションが終わったキャラクターの復活など、席交換以外の要素が加わる。ここまで来ると、派閥のメンバー全員の能力を覚えるのはほとんど無理で、強い能力を持った人をキーマンにして動くという感じだ。

簡易・上級の2ゲームでだいたい1時間ほど。推理がメインで雑談している暇があまりなかったが、それでもお茶やお菓子を楽しみながら、「○○さんが怪しい!」「いえ私は王様を手にかけるなんて畏れ多い」なんて軽口を飛ばすのは晩餐の雰囲気があった。

年末には後継作の『小さな晩餐(Das kleine Bankett)』も発売されるが、時間が短縮になっただけでプレイ人数は8~20人・・・全然小さくない。

Das letzte Bankett
M.ニーツァー、O.ヴォルフ、B.ヴォルフ/ゲームヘッズ(2012年)
6~25人/10歳以上/60分
ゲームストア・バネスト:最後の晩餐