小早川(Kobayakawa)
おのれ小早川め~!
先月のゲームマーケットで発表された国産ゲームの中で、一番話題になっている作品といってよいだろう。どんなゲームでも賛否両論が分かれるものだが、これだけ毀誉褒貶が激しいのも珍しい。人を選ぶゲームということなのだろうか。そのあたりをプレイして確かめてみたかった。
その内容は、金属製のコインをやりとりするギャンブル性の高いゲームである。そこに、ちょっとしたブラフ要素も隠されている。
手札は1枚だけ。中央に「小早川」と呼ばれるカードがオープンになっている。手札の数字が一番大きい人が勝つが、一番小さい人には、小早川が援軍してくれる(数字を足す)。中途半端に大きい数字だと、小早川に援軍してもらった人に負けてしまう。しかし小早川の数字が小さければ、援軍してもらっても勝てるとは限らない。この小早川をめぐる駆け引きがゲームの中心である。
親から順番に、手札を交換するか、小早川を交換できる。手札が弱ければ強いカードに交換するし、手札が強ければ、小早川を弱体化しにいくだろう。ただし、手札は山札から1枚引いて好きな方を取れるが、小早川は何になるか分からない。
全員の手番が終わったら、この場を降りるか残るかを、順番にチップを出して選ぶ。勝てそうにないと思ったらチップを出さないで降りればよい。残った人で手札を公開し、一番弱い人に小早川をつけて勝負。勝った人は、出されたチップ全部と、場から1枚をもらう。
チップがなくなった人は脱落して、規定ラウンド終了後にチップの多い人が勝ち。
どの数字で手札を交換するかが見せどころだ。交換したカードはオープンになるので、「えっ、そんな数字で交換するの? ということはよほど強いカードを引いたか、小早川を狙いに弱いカードにしたか・・・」 とほかの人の手札を読み合う。プレッシャーを与えて相手が降りてくれれば、弱いカードでも勝つチャンスがあるだろう。
当然、一か八かという場面もあるが、カード枚数はたったの15枚でカウンティングも可能。「ここで相手が3か4を引いていなければ、勝てる!」というような勝負になる。
ボードゲームも遊べる大阪のカフェバー、コンティニューにてキウイゲームズの山崎店長、ボードゲーム研究室!のカワサキ第一研究員と3人でプレイ。自信なさそうに見せかけて最強のカードだったり、逆に自信たっぷりに見せかけて相手の出方を伺ったりと、ポーカーフェイスも奏功したみたいで1位。小早川が付いて、数字1つの差で勝てたときが嬉しい。カフェバーの雰囲気にもマッチして盛り上がった。
小早川
佐々木隼/オインクゲームズ(2013年)
3~6人用/8歳以上/15分
・オインクゲームズ:小早川
キウイゲームズを訪問
ボードウォーク岡山店の次に向かったのは大阪のキウイゲームズである。岡山から新大阪までは新幹線で45分、新大阪からは地下鉄で30分、恵美須町駅から徒歩3分のところにお店はある。恵美須町駅で、ジーピーの米川社長と偶然お会いし、2人でお店へ。
キウイゲームズは2011年9月にオープンした。大阪の商業規模は東京の5分の1と言われており、都内にショップが5つやっているならば、大阪でも1つくらいは成り立つのではないかと考えた山崎店長。現在、大阪ではヨドバシカメラやビッグカメラでもボードゲームが販売されているが、細かいところに手が届くのは専門店ならでは。ショップではホビージャパンやアークライトなどの日本語版、メビウスゲームズなどの輸入ゲーム、ゲームマーケットなどで人気の国産ゲームを幅広く扱う。トレンドをいつもチェックし、皆が求めているものをこまめに調達している。私がいる間にも、愛好者のお客さんの込み入った質問に丁寧に答えていた。
ショップだけでなく、プレイスペースとの二本立てが特徴で、プレイスペースでは常備しているゲームを貸し出しており、現在800タイトルを用意する。実際に遊んでみて、気に入ったら購入することも可能だ。利用料金は30分250円だが、平日は1000円、休日は2000円で1日フリーとなる。広くてゆったりした空間に、すわり心地のよい椅子があり、ゆっくり遊ぶことができる。ドリンクバーが終日300円というのも嬉しい。さらに1ヶ月定期券もあり、プレイスペースから人が絶えることはない状態だという。だから、1人で行っても遊ぶことができる。山崎店長によれば最初の2年は我慢の年と考えていたそうだが、もう少しでその2年が経つ現在、会員が約1,800人と順調である。
お店は日本橋(東京でいうところの秋葉原)の一角にあり、この店舗はメイド喫茶だった場所だという。近くには電機店、同人ショップ、ゲームセンターが並び、ボードゲーム愛好者にとって居心地のよいエリアである。貸出ゲームがあるのでわざわざ持ち込む必要もないが(持ち込みもOK)、それでも駅から近いのはよい。平日の夕方にお邪魔したが、プレイスペースにはすでに10人くらいおり、店舗にもひっきりなしにお客さんが訪れていた。山崎店長の親切な人柄とボードゲームに賭ける情熱によるところも大きいようだ。