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ジェムクロックス(Gem c’Rocks)

びた一文負けられないオークション
Gem c'Rocks
宝石を競りで集め、影響力に換えて4つの国で名誉を競う日本のゲーム。ゲームマーケット常連サークルの高天原(大阪)が今秋発売した新作で、おっさんの箱絵がまぶしい。お金がだんだん少なくなっていく中での3種の競りと最後の入札が超熱い。
舞台は「ギフ」という鉱山国家。毎回1枚のタイルとその周囲のタイルに宝石が産出され、まとめて競りが行われる。タイルで指定される競りの方法は、握って一斉公開と、1周だけの競りと、1コインずつ支払って降りるゲシェンク方式の3つ。カツカツな上に、競り負けてもお金が帰ってこないので、1コインでも無駄にできない。
競りで1位から3位(3人プレイでは2人)まで、順番に好きなタイルの宝石を取っていく。宝石は細工師カードの上においてはじめて影響力となるため、手持ちの細工師カードで指定された宝石を集めなければならない(いわゆるセットコレクション)。レアな宝石も、細工師カードによっては石ころに過ぎない(1金として使うことはできる)。
こうして場所を変えながら18回の競りを行うが、使ったお金は、2コインを支払うことで手元に帰ってくる。最初は13コインで始めるので、全部使って手元に戻すと11コイン、つぎは9コインと減っていく。ほしい宝石でない場所の競りは控えるほか、必要な宝石も(ほかのプレイヤーの動向を踏まえて)できるだけ安く競り落とせる場所を考えなければならない。5つの国に出現するサポートカード(5コインになったり、集めるほど得点になったり)も競りの対象となるので活用したい。
全ての競りが終わったら、宝石を細工師カードに乗せ、その影響力で4つの国(イシカワ、 アイチ、クサツ、 スズカ)に入札する。国によって名誉タイルの得点配分が異なり、3点以上の宝石しか受け付けないところ、枚数で勝負するところなどもあるので、配分をよく考えよう。一斉に公開して影響力の多い順に名誉タイルを配分し、名誉点の多い人が勝ち。
4人プレイで90分。どの競りにも少しずつ出しておこぼれに預かる作戦だったが、後半くらいからコインが窮乏し、何も手に入れられない状態に。細工師カードは何とか揃えたが、どの国でも1位のタイルを取れず最下位。序盤はコインを節約し、たくさんもっていることでほかのプレイヤーを降りさせたtomokさんが幅広くタイルを集めて1位。お互いの所持金はだいたい分かるので、「全部出しても負ける」という圧力が有効だった。
1回1回の競りで状況が少しずつ変わっていくため、考えることや駆け引きが多く、非常に遊びごたえのある作品である。登場する12種類の宝石もゴージャス。色味が似ているガーネットとルビーは、光沢の模様(よく見るとリボン状/カメ状になっていて芸が細かい)で見分けると目利きになった気分になれる。
Gem c’Rocks
3~5人用/10歳以上/60分
田邉顕一/高天原(2013年)
高天原:Gem c’Rocks
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こびとのくつや(Der Schuhmacher)

ただでは働いてくれない

グリム童話をテーマにしたカードゲーム。足りない材料はこびとたちが分けてくれる。でも、ちゃんとお礼をして森に帰さないと、できあがった靴をもっていかれてしまう。『枯山水』で第1回東京ドイツゲーム賞を受賞した山田空太氏の、『ポストマンレース』に続くゲームマーケット第2弾。
テーブルには材料(4色の革、2色のリボン、糸、布)、靴、こびとが何枚かずつ並べられる。手番には、場か山札から材料カードを取るか、手札の材料が揃ったら靴を作るかが基本。ほかの人より先に材料を集めて、どんどん靴を作ろう。材料が手に入れにくい靴や、材料が多い靴ほど得点が高い。
材料カードは2枚まで取ることができるが、2ゴールド分(多くは2枚)取ったら、1枚は公開しておかなければならない。こうして手持ちの材料に加え、みんなの前に公開された材料を横取りし、こびとが用意する材料も足して靴を作ることもできる。みんなのカードを使うから、できあがるのは早い。でもその代わり、こびとが自分のところにやってくる。このこびとをゲーム終了時まで森に帰さないと、こびとはできあがった靴の中から最も高いものを持ち帰ってしまうのである(ハーメルンの笛吹きみたい)。
こびとを帰す方法は2つ。1つは、できあがった靴を売ること。このゲームにコインはなく、売った分だけすぐに材料を購入する。売った靴の得点はなくなってしまうが、場にいい材料が並んでいたら、よりよい靴が作れるだろう。もう1つは、誰かがこびとを使ったときで、指定された材料をプレゼントするとこびとは森に帰ってくれる。自分で使ったときも帰せるが、使ったばかりの1人は残るから、つぎのチャンスを待たなければならない。
こうして誰かが靴を5足作るか、材料(2周)、靴、こびとのいずれかの山札が切れたらゲーム終了。残ったこびとが靴を高いものから持ち帰り、残った靴と、公開して揃えた材料の得点を合計して勝敗を競う。
3人プレイで30分ほど。レアな紫の革がたくさん手に入ったので、こびとを使わずに7点の靴を作るのに成功。その間、ふうかさんとkarokuさんはこびとを投入して靴の量産体制に入る。そのうち材料が切れてきたので、プレゼントする材料を確保した上でこびとを使ってみた。手札を減らさず靴ができるのが気持ちいい。しかし、ここでこびとを放出した後は、こびとを使う人がいなくなった。結局貧乏くじを引く形になり、最後まで残ったこびとが9点の靴をもっていって敗北。1位はふうかさん。
セットコレクションだが、こびとのリスクを取れば他人の分も使えるところが悩ましい。あと1枚あれば揃うところで、自力で引いてくるのを待つか、スピード重視でこびとを使ってしまうかは展開次第。終盤にこびとが残っていると森に帰せるかどうかどきどきする。こびとは集めている材料をめぐってほかのプレイヤーとの駆け引きもあり、最初から最後まで楽しめた。
こびとのくつや
山田空太/imagine GAMES(2013年)
2~4人用/8歳以上/30分
再版未定