カルカソンヌ日本選手権、予選会各地で開催
今年で5年目となるカルカソンヌ日本選手権(主催・メビウスゲームズ)の予選会が、横浜と松江を皮切りに始まっている。3月末までの募集に応じた28ヶ所、30の予選会が全国で開かれる。重複して参加することも可能。世界大会を目指す方も、とことんカルカソンヌを遊びたい方も、ぜひ参加してみよう。
今回予選会が開かれるのは、札幌(2ヶ所)、秋田、仙台、富山射水、東京新宿、東京高田馬場、東京目黒、東京中目黒、東京港区、東京調布、千葉船橋、千葉木更津、横浜、静岡長泉、名古屋(3ヶ所)、大阪高槻、大阪四条畷、滋賀草津、岡山、松江、鳥取米子、熊本、中国上海。今回初めて、海外でも予選会が行われることになった。日程・参加要項はホームページを参照のこと。定員があるため、申し込みはお早めに。
各予選会は、参加人数によって本戦への出場枠が決まり、本戦は8月15日に東京・豊洲で行われる。この優勝者が日本代表として、10月にドイツ・エッセンで行われる世界選手権に臨む。過去4年の日本代表の成績は準優勝、5位、25位、優勝。好成績を収めてきた日本代表に続こう。
・カルカソンヌ日本選手権:予選会情報
プレイスタイル再考
プレイスタイルの違いはそんなに大きくないものだから、こだわらずに一緒に遊びましょうよという話。
標準的なプレイヤー(Standard Player):勝つことに普通の関心をもち、ルールに従って楽しもうとする。
凝るプレイヤー(Dedicated Player):勝つことに強い関心をもち、ルールに精通して、大きな熱意で楽しもうとする。
姑息なプレイヤー(Unsportsmanlike Player):勝つことに強い関心をもち、暗黙のルールを破る。弟に勝たせない兄や、野球で打者の集中を見出そうとする捕手など。
ごまかし屋(Cheat):勝つことに強い関心をもち、操作のルールをこっそり破る。楽しもうとする心構えがあるふりをする。
妨害屋(Spoil-Sport):勝つことにもルールを守ることにも興味はなく、楽しもうとする心構えもない。チェス盤上のコマを全て払いのけてしまうプレイヤーなど。
この分類の軸になっているのは、楽しもうとする心構えの度合い、ルールの権威に対する敬意、勝つことへの関心である。
楽しもうとする心構え | ルール | 勝つこと | |
標準的なプレイヤー | ○ | ○ | ○ |
凝るプレイヤー | ◎ | ◎ | ◎ |
姑息なプレイヤー | △ | △ | ◎ |
ごまかし屋 | △ | ✕ | ◎ |
妨害屋 | ✕ | ✕ | ✕ |
ここで注目したいのは、凝るプレイヤーは、楽しもうとする心構えがより高いということである。ガチゲーマーほど、エンジョイゲーマーなのである(したがって「ガチ勢」と「エンジョイ勢」を対比させるのはおかしい)。この分類には入っていないが、凝るプレイヤーと対比されて「カジュアル(気楽に遊ぶ)プレイヤー」「暇つぶしをしたい初心者」などが言及されている。いずれも相対的なものであることに注意しなければならない。AさんはBさんよりガチだけど、Cさんよりはカジュアルだというように。
楽しもうとする心構え | ルール | 勝つこと | |
カジュアルプレイヤー | △ | △ | △ |
標準的なプレイヤー | ○ | ○ | ○ |
凝るプレイヤー | ◎ | ◎ | ◎ |
姑息なプレイヤー、ごまかし屋、妨害屋については、この書籍のテーマであるルールの探求上は興味深い事例だが、自分のプレイスタイルを位置づけるには考慮しなくてもよい。しかし、カジュアルプレイヤーから見て、凝るプレイヤーが姑息なプレイヤーに見えるという指摘は重要である。
例えば、ゲーム仲間の間で一目置かれている筋金入りのゲーマーであるプレイヤーは、姑息に思われるかもしれない。なぜなら、気楽に遊ぶプレイヤーと一緒に遊ぶときでも、競争する気満々の「パワーゲーマー」だからだ。(『ルールズ・オブ・プレイ』上巻P.550)
本人はすごく楽しもうとしているのに「大人げな~い」「何、あいつ真剣になってんの」「ゲームなんだからもっと楽しそうにやればいいじゃん」などと冷ややかな目で見られる。ボードゲーム愛好者なら、そんな場面を何度も目にしたことが(あるいは自分がそう思ったり、思われたりしたことが)あるだろう。
逆から見れば、「もっとゲームに集中してくれよ」「ろくに考えないで適当な手を打つなよ」「ろくに勝ちも目指さないで何が楽しいの?」となるだろう。こうしてお互いにネガティブに相手を捉え、ディスり始めることになる。これがゲームの目的は勝つことか楽しむことかとか、勝敗重視かコミュニケーション重視かとか、ガチ勢かエンジョイ勢かとか、定期的に繰り返されている論争の正体である。
つまり、楽しもうとする心構えや、勝つことへの関心が違いすぎるために、プレイヤーのミスマッチが起こるということなのだ。
この解決策として、スタイルが違いすぎるプレイヤーとは卓を共にしないというは確かに手っ取り早い。しかし初対面では避けられないこともあるし、大都市圏でなければボードゲームをする人自体が少ないので選り好みもしていられない。TPOに合わせて、柔軟に変えられるのがスマートだ。
いつも遊ばないメンバーと一緒になったとき、軽く雑談をしながら、このテーブルで最適なところを探る。楽しもうとする心構えや勝つことへの関心をどれくらいにして臨むか。会話を楽しみながら軽く遊ぶかガチでいくか。そういう自己調整をして、メンバーも楽しませつつ自分も楽しめるように最適化するオールラウンドプレイヤーになれたらいいなと思う。