『パンデミック:完全治療』日本語版、6月下旬発売
2014年に発売され、ゴールデンギーク賞で総合、ファミリー、テーマ、ソロの4部門にノミネートされた作品。国内では、ボードゲームポッドキャスト「ふたりはボドキュア!」で取り上げられ、一般発売が待望されていた。テーマはボードゲーム版の『パンデミック:新たなる試練』と同じく、高度な経験と技術を持つ医療チームとなって、世界中に蔓延する凶悪な4種類の病原体と戦う。
各プレイヤーは「危機管理官」、「通信指令員」、「衛生兵」といった独自の特殊能力をもつ役割に就き、世界中を移動して感染者の治療をし、病原体のサンプルを収集して治療薬を開発しなければならない。プレイヤーチームが協力して、4つの病原体すべての治療薬を開発できればプレイヤーチームの勝利。しかし、感染率が上限に達したときや、アウトブレイクが多数発生したとき、そして感染者の数が増えすぎたときには敗北となってしまう。
各プレイヤーは独自の能力が表示されたダイスを振って、その結果でアクションを実行する。時間の経過とともに増殖する病原体を、早目に食い止めなければエピデミック、そしてアウトブレイクが発生してしまう。各自の判断力とチームワーク、CDCから供給されるイベントカードの効果を駆使し、ダイス運も味方につけて、すべての病原体の治療薬を開発しなければならない。
ボードゲーム版の緊張感をそのままに、プレイ時間を短縮して気軽に楽しめるようになった。はたして、君たちは人類を救えるだろうか?
写真は英語版です。
デウス(Deus)
神のお望みのままに作るデウス
メインはカードプレイである。お金や資源などを支払い、手札から建物カード1枚を自分の前に出して、その効果を使う。それと同時に、全員共通の盤上に建物コマを置き、陣取りをしていく。
面白いのは、カードを出したとき、前に出した同じ種類のカードも効果が発動するところだ。1枚目は1枚だけだが、2枚目で2枚、3枚目で3枚と、発動するカードが増える。終盤、5枚などになると、劇的な効果が得られて嬉しい。
しかし同じカードばかり出しているわけにはいかない。最後に大きな勝利点をもたらす神殿は、全種類のカードを出していないと増やすことができない。まんべんなく出しつつ、どれか1、2種類を特化させていくという戦略になるだろう。
さらに悩ましいのは、カードをプレイせず手札を捨て札にして補充するという選択肢だ。何枚捨てたかと、捨て札の一番上のカードは何だったかによって、カードだけでなく資源、建物コマ、お金などが補充される。資源やお金の続く限りプレイして、出せるカードがなくなったら補充というのが基本だが、不必要なカードを出すぐらいなら、捨て札にして補充したほうがよいこともある。もう1枚出そうか、それともこの辺りで捨て札にしようか悩む。
ジレンマは全員共通の盤上にもある。建物コマは、できるだけ広がるように置いていったほうが、蛮族の村を征服しやすい。しかし、同じマスに建物を集めると資源を一気に獲得できるようになるし、高い神殿ボーナスが期待できる。盤上は思いのほか狭く、うかうかしていると建物コマを置くスペースがなくなってしまうから、先手を打って要所を押さえておきたい。
このように、同じ種類のカードを出すか各種類まんべんなく出すか、もう1枚出すか捨て札にするか、盤上に広く展開するか一ヶ所に集中するかといった悩みどころが至るところに散りばめられている。カードの引きがままならない中で、ベターな選択肢を考えていくのが楽しい。
ゲームは、一定数の神殿が建設されるか、全員共通の盤上にある蛮族の村がすべて征服されると終了で、最終的には勝利点勝負で、ゲーム中に征服した蛮族の村や、神殿によるボーナスなどで勝敗を決める。
3人プレイで90分ぐらい。カードは6種類あるのに手札は5枚だけなので、ほしいカードがなかなか来ない。海を渡りたいときに船が来ず、資源がほしいときに生産建物が来ず。ここで狙った建物が来るまで補充し続けていては、その間にほかのプレイヤーが建物を作ってしまい、確実に出遅れる。そこで次善の策としてあまり必要性を感じないカードを出すこともしばしば。そのおかげで蛮族の村は征服できたが、カードのコンボがいまひとつ。その裏でしっかりとカードを出す順番を組み立て、ふんだんなお金を手に入れてパワープレイを展開したtomokさんが1位。今度はもっとうまくやれそうという気持ちを残して終わる、これはいいゲームである。
Deus
S.ドゥジャルダン/パールゲームズ(2014年)
2~4人用/14歳以上/60~90分