タモリ倶楽部に出演
18日深夜に放送された『タモリ倶楽部』にて「同人アナログゲーム」が特集された。ゲームマーケットで発表された作品5タイトルを出演者が実際にプレイし、たいへん盛り上がっている。
紹介された作品は『あるみ缶』(缶詰本舗)、『刺し身にたんぽぽを載せるだけの簡単なお仕事です』(芸無工房)、『ピクテル』(ボドゲイム)、『カッパたん』(Asobi.dept)、『心霊写真』(Projection Card)。いずれも普段ボードゲームを遊ばない人でも分かりやすく、テレビ映えのする作品が選ばれた。当サイトの管理人が全て選んだのではなく、草場さん、すごろくやさん、蕪木Pさん、ふうかさんなど、同人ゲームに詳しい人から取材を重ね、それぞれの制作者に連絡を取った上での選定である。
7月にtogetterで「TVや写真映りのよいメディアからの取材うけがよさそうな『見た目が派手』な同人ボードゲームとは」というトピックがまとめられていたのも、情報収集の時期と重なっている。『枯山水』にも通じるが、まずはコンポーネントの見た目が十分惹きつけることが、メディアだけでなく普段ボードゲームを遊ばない人にとっても大切な要素といえよう。
こうして選定された5タイトルは、進行役のほんこんさんのうまいツッコミも手伝って、楽しいゲームであることが一般の方にも伝わったのではないかと思う。放映後、「タモリ倶楽部」でツイート検索しているが概ね好評のようだ。そしてツイート数の多さにテレビ番組の威力を思い知らされた。この番組を通して、ボードゲームにはたくさんの種類があることを知ったり、紹介された作品を遊んでみたいと思ったりした方は、ネットで探したり、ゲームマーケットに足を運んだりしてみてほしい。
さて、紹介されるゲームが選定された頃、私も出演することになった。お坊さん姿で、腕には数珠をかけてきてほしいという。これもまた「コンポーネントの見た目」か。ボードゲームとは結び付かないと思ったが、お寺の紹介をして頂いたり、『ピクテル』のお題でお坊さんあるあるを紹介できたり、『心霊写真』で成仏させたりと、意外とつなげられるものである。収録日は日帰りだったので道中ずっとこの格好で通し、東京駅でケロリンのたらい(『艦おけ』用)を抱えた北条投了さんとワゴン車に乗り込むのは、相当怪しい2人組だったのではないかと思う。
収録はゲームを遊ぶこと自体を純粋に楽しませて頂いた。ボードゲームジャーナリストという肩書なので、ゲーム紹介に補足して解説する場面もあったが、ゲームが始まってしまえばもう関係ない。このメンバーでボードゲームを遊んだということが貴重な経験であった。出演者がそれぞれ素のキャラクターを出して盛り上げていくのはさすがである。その中に、北条投了さんが出演者にいじられていたのは、おいしかったというべきか。
収録の時間はあっという間に終わり、出演者の方々と近くのレストランで昼食を取って解散。ゲームマーケット2015春に参加できなかったので、そこで出展された方々とゆっくりお話できたのも収穫である。
各作品の販売状況は、『ピクテル』がすごろくやとイエローサブマリンにて、『心霊写真』がすごろくやにて取り扱われている。『カッパたん』は11月15日に秋葉原で開かれる「アナログゲームラボ in 秋葉原」にて頒布される予定。『あるみ缶』と『刺し身にたんぽぽを載せるだけの簡単なお仕事です』は11月22日に東京ビッグサイトで開かれるゲームマーケット2015秋にて入手できる(かもしれない)。
ゴー・ダッ・チーズ(Go da Cheese)
えっ、何で私がチーズもらえるの?!
円形に並んだチーズカードに、手札から表や裏にしてカードを置いていき、全部置き終わったところで、それぞれのチーズを誰のネズミが獲得できたか判明する。中にはネコに捕まったり、そのネコがイヌに捕まったり、たいへんドラマチックな展開が待っている。無事にチーズを食べられたネズミと、ネコが捕まえたネズミ、イヌが捕まえたネコが得点になり、得点の多い人が勝ち。
チーズとネズミはドイツゲームに頻出のテーマだが、このゲームはカードの出し方が独特だ。自分の番には手札から3枚カードを出せるが、1枚目はいずれかのチーズの前の列に裏にして、2枚目と3枚目はそこから時計回りにとなりの列に表にして出す(表にするところでも、裏にして出せるカードあり)。
基本的に前にいるネズミからチーズを食べられるので、カードが少ない列か、チーズの多い列を狙ったほうがよいが、そういう列はすぐ長い行列ができる。それぞれの列に応じてイヌ、ネコ、ネズミのどれを出すか、裏にして出せる最初の列をどこにするかが悩みどころだ。
また、自分の番にはカードを3枚出すか、自分の山札からカードを3枚引くかのどちらかしかできない。手札は6枚しかもてないが、6枚まで貯めて選択肢を増やしてから出すか、3枚になったところで早い者勝ちでいくかも悩ましい。
このようにカードの選択、カードを出す列の選択、さらに引くか出すかの選択があり、短時間ゲームながら唸らせられる。とはいえ非公開情報も多いので、「今、ネコ置いたでしょう?」「いやいや善良なネズミっすよ」などとカマをかけながらプレイできる気楽さもあり、会話も盛り上がる。
15分ほどすると、全員の山札がなくなり、カードが全て場に置き終わる。そこでいよいよオープンして得点計算だ。まずイヌは、前後1枚にネコがいれば捕獲。それからネコは前に向かって3匹ネズミを捕獲。こうして場がだいぶ片付いた後で、生き残ったネズミがチーズにありつける。まずは王様ネズミが列の一番前へ。そしてチーズカードに書かれた数字の枚数だけネズミがチーズを食べる。こうして捕獲した動物・食べたチーズを合計して、得点の多い人が勝ち。
5人プレイでも15分ほど。裏になっているカードが結構あるので、それを推理して対抗していく。終盤は超長い列ができて、その後ろに置いたってチーズにはありつけないだろうと思ったが、ふたを開けてびっくり。イヌやネコに荒らしまわられ、前のほうにいるネズミが全滅状態になって回ってくる棚からぼたもチーズ。中には順当な列もあるが、時折起こるどんでん返しに大ウケした。
最後の最後に結末が分かるので、それまでわくわく感がどんどん上昇していく作品。子どもと繰り返し遊ぶのにもよい。
Go da Cheese
林尚志/OKAZU Brand(2015年)
3~5人用/6歳以上/15分