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納期まで時間がなくて・・・夏

テンデイズチームも大わらわのようだが、今月はボードゲームの日本語版制作者にとって、一年で最も忙しい時期となっている。当サイトの管理人も、非常にタイトなスケジュールで翻訳と校正が入っており、睡眠時間を削って対応している。


当サイトの管理人は主に、ドイツの出版社のボードゲームを翻訳することが多い。ドイツの出版社だからドイツ語というのは昔の話。今ではドイツの出版社でも英語のルールが優先となっている。ある出版社から、英語のルールとドイツ語のルールで違いがある場合、英語のルールを採用するように指示された。ドイツ語から翻訳できないのは少々寂しくもある。
英語も以前はドイツ語から機械翻訳した感じだったが、この頃はすごくこなれている。もしかしたら最初に英語ルールを作って、それからドイツ語訳しているのかもしれない。レイアウトも、英語ルールのほうが整備されており、ドイツ語ルールは手抜き感が漂うこともある。
英語優先になった理由は明白である。数年前まで10月のシュピール(ドイツ・エッセン)に合わせて多くの出版社が新作をリリースしていたのが、最近は8月のジェンコン(アメリカ・インディアナポリス)に合わせるようになってきている。英語版か、英語を含む多言語版を先に作らなければならないが、ドイツ語版はその後でも間に合う。
秋の新作ではなく夏の新作になったことに加え、日本市場の拡大に伴い、日本語版が前倒しで制作されるようになったのも大きい。以前であればシュピールでの評判を参考にして、初めは輸入版で様子を見て、売れ行きが良ければ日本語版に切り替えるということがよく行われていたが、そうこうしているうちに次の新作が出てしまって話題性が薄れるのが現状。そこで最も早いパターンであるオリジナル版と同時制作を目指すことになる。
というわけで海外の出版社も日本の輸入代理店も大急ぎでボードゲームを進めているこの時期。ドイツ年間ゲーム大賞のT.フェルバー氏が「納期を急ぐあまりルールの分かりやすさや漏れのないことに十分な注意が払われていない」と嘆いたのは、ドイツの出版社に限った話ではない。短い納期でも何とかエラッタを出さないで済むように、神経をすり減らす日々が続く。

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発掘は危険だらけ『考古学カードゲーム』日本語版、8月下旬発売

archaeology-newJ.jpgホビージャパンは8月下旬、『考古学カードゲーム(Archaeology: The New Expedition)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・P.ウォーカー=ハーディング、イラスト・A.カナーニ、2~5人用、10歳以上、30分、2200円(税別)。
『クマ牧場』や『イムホテップ』など、骨太のドイツゲームテイストで人気のあるオーストラリア人デザイナー・ウォーカー=ハーディングのデビュー作を2016年にズィーマンゲームズがリメイク。旧版からイラストが変わっただけでなく、テント、6種類の遺跡、新たな工芸品が加わった。
プレイヤーは古代の遺跡を発掘する考古学者となり、財宝を発見して博物館に売却し、それによって最も多くのお金を得る。手番には山札からカードを1枚引いて、財宝や地図ならば手札に入れ、泥棒ならばほかのプレイヤーの手札から盗み、砂嵐なら全員の手札が半減する。その後、手札と場札を交換したり、地図で遺跡を調査したり、財宝のセットを作って博物館に売却したりする。ゲーム終了時に最も多くのお金を持っているプレイヤーが勝者。
泥棒や砂嵐のリスクを考えて、どこまで財宝を集め、どの時点で売却するか、スリルあふれる発掘が楽しめるカードゲームだ。
内容物:カード106枚、遺跡タイル6枚、ルールブック