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カードをめくってビッド!『ビート・オークション』、3月15日発売

beatauction.jpgグループSNEは3月15日、カードゲーム『ビート・オークション』を発売する。ゲームデザイン・黒田尚吾、アートワーク・ちゅぱみ、さかいだちひろ、松田実愛、3~5人用、10歳以上、20分、1800円(税別)。3月10日のゲームマーケット大阪で先行発売される。
『デモンワーカー』『リキュール・ザ・ゲーム』などの作品がある黒田尚吾氏の新作。クラブイベントを開催し、ミュージックシーンに名を残すことを目指すオークションゲームだ。
イベントの開催権がオークションにかけられるが、山札から資金カードをめくり、競り値を上げるか、その分のお金を得てパスするかを選択する「めくり競り」というシステム。オークションから降りて資金をコツコツ貯めるか、一千一隅のチャンスをつかむためイベントを開催するために残り続けるかの選択に迫られる。
イベントカードを見て、どれぐらいの資金がもらえるかも重要。想像力と勘、そしてここぞというときの度胸を見せたプレイヤーがゲームに勝利する。コンポーネントは70~80年代のクラブミュージックのジャケットをモチーフにしており、プレイ中に音楽が聞こえてきそうな作品だ。お洒落にアゲて、クラブイベントを競り落とせ!

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ブリックス(Brikks)

回転エネルギー

クニツィアの『フィット(Fits)』(2019年)をはじめ、テトリスをボードゲームに落とし込んだ作品は数多ある中で、昨年最注目のゲームデザイナー、ヴォルフガング・ヴァルシュ(オーストリア)がデザインしたテトリスゲーム。同氏がドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞した『ガンツシュンクレバー』など、シュミット社の「小さくて洗練されたゲーム(Klein & Fein)」シリーズに連なっている。
テトリスといってもパズルピースを使うわけではなく、2個のダイスで指示されたピースのかたちを全員、自分のシート(ゲームセンター風のレトロなドット絵も見どころ)に×印で書き込むダイスロール&ライト方式である。その点で『スイーツスタック(Sweets Stack)』(操られ人形館、2016年)に近い。
2個のダイスは手番プレイヤーが振り、気に入らなければ1回だけ振り直しができるところと、指定されたピースを回転させるには「エネルギーポイント」が必要なところがこのゲームの面白さとなっている。
毎回ダイスでランダムに決められるピースは毎度都合よくいかず、ましてやただでは回転できないため、ままならない。そんなとき、手番プレイヤーが振り直しすると、ほかのプレイヤーは悲喜交々だ。「これでよかったのに!」「いやいや変えましょうよ!」手番プレイヤーはときに、ほかのプレイヤーの状況を見て振り直すかどうか決める。「私はこれでもいいんですけどね、皆さんには良すぎるんで振り直します」「えー!」インタラクションの入れ方がうまい。
回転させるにはエネルギーポイントが必要で、これはタイルが同じ色のマスに落ちると得られる。また5エネルギーポイントを使うと好きなピースを落とせるので、ここぞというときに使おう。
2列以上を一気に埋めると、ボーナストラックに×印をつけることができる。こちらはゲーム終了時に入る得点が上がっていく仕組み。またゲーム中3度だけ、気に入らないピースを爆破できる爆弾が使える。これも使わなければ使わないほどボーナスがもらえる。
こういった融通ができるようにしておくのは、各段が最後にどれくらい埋まったかによって得点が入る仕組みと関係している。基本は完全に埋まっている段が5点、1マス抜けていれば2点、2マス抜けていれば1点だが、上の段になるほど高い倍率が付き、一番上の段に至っては4倍となっている。しかしそこから1マスでも上にはみ出してはいけないので、ここを埋めるのは至難の業。エネルギーポイントを貯め、爆弾もキープして終盤に臨みたいところだ。
3人プレイで20分。下の段はなかなか揃わなかったがエネルギーポイントが貯まっており、これを駆使して上の段を埋めることができ1位。最後に大逆転のピースを狙っていたサカモトさんは爆弾を使い切ったがダイス目に恵まれず。
直感的で分かりやすく、それでいて毎回悩みどころがあり、ダイスロール&ライト方式では薄れがちなインタラクションも確保されている。使い古されたテーマに新風を吹き込んだ作品である。
Brikks
ゲームデザイン・W.ヴァルシュ/アートワーク・A.ペツケ
シュミットシュピーレ(2018年)
1~4人用/8歳以上/20~30分