『ティチュー』『盲目のニワトリ』などカードゲーム10タイトルの日本語版、1月15日発売
日本語化されるのはいずれもルールがシンプルでプレイ時間が短めなライトな作品ばかりで、内容もバラエティーに富んでいる。販路の広さで定評のあるジーピー社が扱うことで、カジュアルプレイヤーの拡大が見込まれる。
また側面に縦書きのロゴを配置することにより、書籍のようなディスプレイも可能になっているところが新しい。デザインが統一されており、集めて並べても楽しめるだろう。
カードゲームとはいえ、10タイトルの日本語版が同日発売されるのは異例。
アイル・オブ・キャッツ(The Isle of Cats)
海の藻屑となる前に
毎ラウンド、島の周りに袋から引いたネコタイルが並べられる。悲しいかな、救出できないとディスカードされてしまうので、何とか1匹でも多く救いたいところである。
各プレイヤーに7枚のカードが配られる。カードには、得点条件、ネコ救出、隙間を埋める財宝タイル、いつでも使えるアクションカードがあり、そこから2枚ずつピックアップしてとなりのプレイヤーに回すドラフトを行い、ドラフトが終わったら、ほしいカードの魚コストを支払って手札に入れる。
使うタイミングも内容も異なるカードをひとまとめにしてドラフトし、コストを使用時ではなく獲得時に支払うことで、手順をシンプルにしているところに好感が持てる。ただし、カードに偏りがあると、ドラフトではどうしようもないこともある。
全員がキープするカードを選んだら、カードの種類ごとにフェイズを行う。まずは得点条件カード。自分専用のものは伏せて自分の前に置き、全員共通のものは公開して読み上げる。これによって方針が決まっていく。得点条件カードはどんどん増えていって覚えきれないので、伏せてあるカードを時々確認しておく必要がある。
次にいよいよネコ救出カード。一斉にカードを出して、ブーツの数字の合計が高い人から順にタイルを選べる。中央の島から1匹ずつ取るが、ネコを入れるバスケットと、おびき寄せる魚がその都度必要になる。バスケットは毎ラウンド1つは保証されているが、それ以上はカードやアクションカードで入手しなければならない。魚は毎ラウンド一定数配られるので、やりくりして計画的に使いたい。
救出したネコは自分の船ボードにのせる。最初はどこに置いてもいいが、次からは隣接してつなげていかなければならない。ゲーム終了時に、連続している同じ色のネコタイルが得点になり、部屋の空きマスや見えているネズミが失点になるので、ネコタイルの形状を選んでうまく配置しよう。
ネコタイルは5~7マスあって、形状もさまざまであり、ぴったり並べるのは難しい。そこで重宝するのが1~4マスの財宝タイルである。これは船ボードの宝の地図を同じ色のネコタイルで覆ったときと、財宝タイルのカードで手に入る。袋から出てくるレアな財宝タイルは最後に得点になるので効果的に使いたい。5ラウンドでゲーム終了し、得点計算して終了。
マス数が多めの使いにくいタイルを、マス数が少ないタイルで調整するというタイプのグリッドカバーゲームは『ニューヨークズー』にも見られるが、そこにさまざまな得点条件を加え、あえて空きマスにしたり、一部だけ埋めるようにしたりするよう仕向けている。埋めたほうが得なのか、空けておいたほうが得なのかは簡単に計算できないようになっていて、かなり悩ましい。これにどのタイルを選ぶか、選んだタイルをどの向きで配置するかというパズル的な悩ましさが加わって、深く考えさせるゲームになっている(この悩ましさに耐えられない人には、ファミリールールも入っている)。ネコちゃんのために。
The Isle of Cats
ゲームデザイン&イラスト・F.ウェスト
ザ・シティー・オブ・キングス社(イギリス, 2020年)
1~4人用、8歳以上、60~90分