キャットインザボックス(Cat in the box)

存在可能性の消去

15分以内で終わるコミュニケーションゲームと並んでゲームマーケットで盛んなジャンルが、トリックテイキングゲームである。ボードゲーム愛好者の中には一定数、トリックテイキングをこよなく愛する層がおり、一般には割と取っつきにくいこのジャンルを支えている。

ゲームマーケット2020秋でもいくつかのトリックテイキングゲームが発表されたが、その中で最も注目されたのがこの作品だ。獲得トリック数を予想して当たれば得点となるビッド系だが、カードは1色で、スートはプレイするときに決めるというアイデアが非常に斬新である(モチーフは「シュレーディンガーの猫」)。果たしてゲームはどのように成り立っているのか。

スタートプレイヤーから手札を1枚ずつ出し、出すときに4色のうち何色か宣言する(写真では緑の3をプレイしたことになる)。マストフォローのルールが適用され、別の色にしたいときは、「その色はもう持っていない(=これ以降その色を選べない)」ということを宣言しなければならない。

さらに、カードを出すたびに、「研究シート」で対応する色・数字(緑の3など)のマスにチップを置く。その色・数字は世の中に1つしかなく、誰も出すことができなくなる。こうして出せるカードはどんどん少なくなっていき、手札のどのカードも出せないという状況が起こる。これが「パラドックス」で、そのトリックはノーカウントとしてラウンドを終了し、得点計算に移る。

得点計算は獲得トリックが1回1点、ビッド正解でボーナス点。ただし「パラドックス」を発生させたプレイヤーは獲得トリック1回につきマイナス1点で、ボーナスはない。

ボーナス点にもうひとつ面白い仕掛けがある。それはカードを出すたびに置いていった自分のチップが縦横に連続する最大グループがボーナス点になるというもの。このボーナスを狙って、カードを出すときに出す色や数字を変えなければならないことがある。これがまた、パラドックスを誘因するのだ。

パラドックスが起こらないように、いろいろな数字を残しておきたいところだが、残り2枚くらいで起こることが多く、どうしようもないこともある。絶体絶命かと思ったら前の人がパラドックスを起こして助かることも。このあたりのコントロールできそうでできない不透明感が、終盤の興奮曲線を上げ続ける。世界中のトリックテイキング愛好者に遊んでほしい一品。

Cat in the box
ゲームデザイン・横内宗幸/イラスト・井上磨
操られ人形館(2020年)
3~4人用/10歳以上/30~45分

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