“E”または”F”で始まる本募集中!
ファンタジーの街の司書となって、アルファベット順に並んだ本棚を作るゲーム。今年のオリジンズ賞でカードゲーム部門賞を受賞した。毎ラウンド異なるアクションスペースで行われるワーカープレイスメントと、各プレイヤーがもっている固有の特殊能力で深みのある作品となっている。
本棚カードにはそれぞれ本が何冊かずつ描かれており、英語のタイトルがついている。BやSやTで始まる本が多いなどアルファベットによって偏りがあり(同じアルファベット内では番号がついている)、また「ファンタジー小説」「歴史書」「呪文とポーションの書」など6つのジャンルがあって(毎ゲームこの中から最後に持っていると得点になる「人気の作品」と、失点になる「禁書」が定められる)、このリアルさが本好きにはたまらない。これを各自手札に持ってスタート。
毎ラウンド、場所タイルがプレイヤー人数分並べられ、そこに手番順に助手コマを置いてアクションを行う。このほかに自分の図書館タイルに助手コマを置いて基本のアクション(山札からカードを引くか、手札からカードを1枚出す)ができる。基本のアクションがある分、場所タイルのアクションはなかなかトリッキーなものが多い。
場所タイルは手札を一番多く捨てることにした人が場札をもらえる「競売所」、ジャンル名をいいながら山札をめくってその本がもらえる「賭場」、助手が多く集まるほどもらえるカードが増える「場末の酒場」、手札を公開してほかのプレイヤーに引き取ってもらった分カードを引いて出せる「ガレージセール」など18種類。助手コマを置くたびに何かしらのイベントが起こって楽しい。
さらに各プレイヤーはゲームの最初に、12種類の図書館タイルから1枚を選ぶ。それぞれ特殊能力をもった助手がついており、これでゲームを有利に進められる。今回は、基本のアクションを一度に両方できる「本食い虫」、禁書を取ったときに交換できる「魔女」、ほかのプレイヤーが同じ場所に置いてきたらカードをもらえる「ゼラチンキューブ」、要らないカードを裏返して本棚の下に埋め込める「ミイラ」が登場した。
本棚カードを自分の前に出すときは、最終的に3段までのアルファベット順になるように計画して並べなければならない。Aは1番上の段の左上、Zは1番下の段の右下なのは間違いないが、EやQをどこにするかが悩ましい。待ちを広くするため、同じまたは近いアルファベットのカードを集めて並べておくのが良さそうだ。
誰かの本棚カードが規定枚数になったら最終ラウンドを行って終了。アルファベット順になっていないカードを裏返して、本棚の大きさ、人気作品と禁書、禁書を除く各ジャンルのセット、各プレイヤーに課せられたジャンルで得点を計算し、合計の多い人が勝つ。
4人プレイで90分。標準プレイ時間よりもかかったのは場所タイルや図書館タイルにテキストが多く、みんなで確認する必要があったためである。私は「本食い虫」で基本のアクションを必ず行い、本棚を先に構築していったが、早さを優先した分、本棚の中身は吟味できなかった。「ゼラチンキューブ」でよい場所タイルにほかのプレイヤーを近づかせなかったbashiさんが、人気作品と自分のジャンルの本を手堅く集めて1位。
テキストが多いのは好みの分かれるところだが、それがワクワクするようなイベントと展開の多様性を生み出しており、楽して遊びごたえのあるゲームとなっている。
Ex Libris
ゲームデザイン・A.P.マックアイバー/イラスト・J.デイヴィス&A.P.マックアイバー&A.オスバーン
レネゲイドゲームスタジオ(2017年)
1~4人用/12歳以上/30~60分
ゲームストア・バネスト:エクスリブリス