エルドラド(Wettlauf nach El Dorado)

前の人が邪魔ー!
エルドラド(クニツィア)
お金をたくさん払わないと通れない街の前に立ち尽くす
黄金郷を目指してデッキ構築をするレースゲーム。R.クニツィアの作品で、ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた。クニツィアの作品が同賞にノミネートされたのは『フィット』(2009年)以来8年ぶり5回目。ノミネート制になった2004年から、毎年のようにノミネート入りしていたが、8年も遠ざかっていたのはトレンドの変化によるものだろうか。デッキ構築というシステムを取り入れなかったら、ノミネートされていなかったかもしれない。
デッキ構築自体は『ドミニオン』以来数多くの作品が作られているが、それらの作品の多くはアメリカや日本で作られており、ワーカープレイスメントが主流のドイツではまだ珍しいといえる。特にファミリーゲームでは皆無だったといってよい。この作品は、特殊効果などのテキストを少なめにし、レースという分かりやすい形に落とし込むことで広く遊べるゲームに仕上がっている。
全員、同じ組み合わせのカードをもち、シャッフルして4枚を手札にする。自分の番には、手札からカードを出してコマを進めたり、新しいカードを購入したりする。進むときは地形によって森のカードと水のカードを出し、購入するときはお金のカードを出す。森と水のカードも1/2金になるのと、進むマスによってお金のカードを出すこともあり、手札全部をコマを進めるのに使ってもいいし、新しいカードの購入に使ってもよい。
使ったカードと、要らないカードは捨て札にし、再び4枚まで山札から補充して次の手番を行う。山札がなくなったら捨て札をシャッフルして再び山札にする。このとき、購入したカードが新たに山札に加わり、移動力や購入金額が上がったり、特殊効果が発動したりできるようになっていく。さらに手札から効果の低いカードを廃棄するマスやカードがあり、強いカードだけ残していく戦術(いわゆるデッキ圧縮)も可能で、デッキ構築ゲームの要素をしっかりもっている。
とはいえ、ゲームのメインはレースである。これから進もうとしているところにほかのプレイヤーが立ちはだかって邪魔なイライラや、みんなが通れなくて渋滞しているところを一気に通り抜ける爽快さは楽しい。手札の限り先に進もうとすると途中で行き詰まるし、かといってカードの充実を優先させるとみんなが前にいて遠回りをしなければいけなくなる。
面白いシステムは、購入できるカードの選択である。市場には何種類カードが並んでおり、そこからしか購入できない。しかし1種類につき3枚ずつあり、売り切れるとサプライから新しいカードを購入できるようになる。そして誰かが買ったカードは残り2枚が市場に入り、みんなが買えるようになる。こうしてカードのトレンドが生まれ、誰かが買ったカードはやがてみんなが使うため、先手を打ってカードを取るのも重要だ。
コースはタイルを組み合わせて作り、ゲームごとに変えられるようになっている。タイルはそれぞれ工夫が凝らされており、近道をするならコストが高く、それが出せなければ遠回りしないといけないようになっている。今回のコースの地形によってカードの需要もゲームごとに変わり、使われるカードと使われないカードが出る。これがリプレイアビリティを生み出している。
ドイツ年間ゲーム大賞の発表前、我が家でノミネート3作品を全部遊んでみる会を開いた。12人が3卓に分かれて遊び、評価点を付けたが、この作品の合計点が最も高かった。レースの興奮と、カードお買い物の楽しさがあり、遊びごたえのある作品である。

エルドラド圧勝!
Wettlauf nach El Dorado
ゲームデザイン・R.クニツィア/ラベンスバーガー(2017年)
2~4人用/8歳以上/30~45分
メビウスゲームズ:エルドラド

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。