プレイ時間は42分となっているが、それは幽霊役のプレイヤーがあまり悩まないでポンポンとヒントを出していった場合のこと。特にゲーマーは「このカードだと誤解される恐れがあるし、あのカードだと伝わらないし……」と延々悩んでしまう。でもロジカルよりもフィーリングでプレイしたほうが楽しそうだ。
まず、幽霊役のプレイヤー1人と、霊能力者役のプレイヤー残り全員に分かれる。幽霊役のプレイヤーには、ほかから見えないついたてにランダムに容疑者が並べられる。こうして、例えば「赤のプレイヤーは当てるべき容疑者がお医者さんで、殺害場所は台所で、凶器は机」というように割り振られる。各プレイヤーごとに異なる組み合わせの容疑者・殺害場所・凶器を、イラストカードを使って当ててもらうのが幽霊の仕事だ。
まずは容疑者から。幽霊役は、手札のイラストカードから選んで、各プレイヤーに渡す。「お医者さん」だったら注射のイラストがあれば間違いなく分かってもらえるだろうが、おあつらえ向きのカードが手札にあることは滅多にない。どれも曖昧で、ファンタジックなイラストばかりだ。自分の感覚でそれっぽいと思うものを渡す。
こうして幽霊役からカードをもらったら、自分が当てるべき容疑者は誰かを考えてコマを置く。ほかのプレイヤーは、それが当たっていると思ったらチェックマーク、外れていると思ったらバツマークを付ける。こうして全員の予想が終わったら、幽霊役が、正解者と不正解者を発表する。正解だったら、次のラウンドは場所の予想に移り、不正解だったら、再び容疑者の予想を行う。
これを繰り返して、7ラウンドの間に霊能者役は自分に割り当てられた容疑者・場所・凶器を全部当てることを目指す。残りラウンド数が少なくなる上に、だんだん難しくなっていくのは焦る。霊能力者はあーだこーだと喋ってもよいが、幽霊役は正解と不正解を発表する時以外、しゃべることができない。これが非常にもどかしい。
最後はいよいよ真犯人を当てるフェイズ。各プレイヤーの容疑者の中から、イラストカードで最も伝わりやすそうなものを選び、霊能力者に見せる。このとき、チェックマークとバツマークがあまり当たらなかった人は、全部を見ないで予想しなければならない。
最後は一発勝負。霊能力者全員がこれだと思う容疑者にコマを置いて(冤罪くさい……)、その多数が真犯人を指していれば全員の勝利。そうでなければ全員の敗北となる。
5人プレイで45分くらい。幽霊役は私で、あまり考えないで、イメージよりもイラストの中にあるディテールを重視した。尖っているもの、丸いもの、食べ物、ハシゴなど、当てるべきもののイラストと部分的に共通しているものを配る。これが奏功して、神尾さんがほぼノーミス。ほかの人も最終ラウンドまでに全てを当て、真犯人のカードも全員が見ることができた。
真犯人は容疑者の中で唯一男性だった医者を選び、男性が書かれたカードを渡した。しかし凶器のテーブルを、丸い物つながりでシャンデリアにしたのが失敗。これを鋭利なものと取られてしまい、真犯人を当てられたのは1人だけだったので失敗に終わった。
幽霊役はもどかしい思いをする分、自分が意図したイメージをうまくつかめる霊能力者がいると、すごく嬉しい。そういう人は予想が当たってどんどん先に進んでいくので、ほかの人も同じ路線で予想を始め、次第に幽霊役のクセが共有されるようになる。こうして共通の場が醸成されていくのが楽しい(そのときには幽霊役は新しい路線に移らざるをえないこともあるが)。
Mysterium
O.ネフスキ、O.シドレンコ作/リベル(2015年)
2~7人用/10歳以上/42分