美しい衣装を着てもらう
手番には、手札から従業員カードを1枚出してアクションを行う。場に並んでいる布地・糸・レースを仕入れ、同じく場に並んでいる衣装を作って宮廷に出すのが基本。衣装によって製作費と必要な材料が異なるので、資金や材料が足りなくならないように計画しなければならない。作ろうと思っていた衣装を、前の人に取られてしまうこともあるので、ほかの人がどの材料を集めているかも注意しておく。このセットコレクションがゲームの中心である。
面白いのは、従業員カードによってできないアクションがあったり、追加のアクションがあったりするところだ。大きく分けて親方、助手、見習いの3種類がおり、高級な衣装を作ったり、新しい職人をリクルートしたりするのは親方にしかできない。一方、見習いは材料を2回仕入れられる。さらに、これまでの職人を「破棄」し、リクルートした職人と入れ替えることによって、より強力なアクションができるという、デッキ構築の要素もある。職人はリクルートしたラウンドから使うことができ(アクションが1回増える)、後のラウンドになるほど強力な職人が登場するので、職人のアップデートは必須だ。
さて、衣装を送り込んだ宮廷では、エリアマジョリティーの陣取りが行われる。衣装は誰が提供したのか、コマの色で分かるようになっている。宮廷はいくつかの部屋に分かれており、ゲーム終了時に部屋ごとに最多の衣装を提供したプレイヤーにはボーナスが入る。また、屋上には花火が見える特等席があり、ここを買っておくと自分の作った衣装を貴族たちが見に行ってくれる。屋上でも最多ボーナスがあるので、どんどん衣装を送り込もう。ほかにも、お金を出して雇っておくと得点になる音楽家や、収入を増やす噴水、各色の衣装を揃えると得点になる彫像などがあり、お金の使いどころにも悩む。
お金は毎ラウンドはじめに入ってくるが、カツカツである。衣装を作ったとき、宮廷に出さずに売却することで臨時収入を得ることができるが、そうすると得点源を失ってしまう。収入をもたらす職人もいるので、こつこつと稼いでおきたい。
7ラウンドでゲーム終了で、得点の多い人が勝ち。
プレイ時間が公称より長くなりがちという噂だったが、今回のセッションは4人で90分くらいに収まった。プレイ感もそれほど重くなく、年間エキスパートゲーム大賞がターゲットである、ゲーマーズゲームの入口に位置するものといえるだろう。ただ、選択肢が多いので長考になりがちだというのは分かる。
衣装をどんどん作って宮廷に出し、特典のあるマスに置いて回していく作戦だったが、そのようなマスが埋まると、材料も足りなくなって窮地に追い込まれた。職人のリクルートが遅れたために、効率的に衣装を作れない。花火席にも絡むことができず、下の階の陣取りで勝つのが精一杯だった。序盤は材料を集め、どんな衣装にも対応できるように職人を整えたcarlさんが1位。衣装を次々と売却してお金を貯めこみつつ、職人をどんどんアップグレードしていたbashiさんが脅威だったが、得点に結びつけるタイミングを逸したようだ。
テーマの面白さに加えて、セットコレクション、デッキ構築、エリアマジョリティーと盛りだくさんのシステムで遊びごたえのある作品。次はもっとうまくやれそうという感覚が残るのがよい。
Rokoko
M.クラマー、S.マルツ、L.マルツ/エッガート・ペガサスシュピーレ(2013年)
2~5人用/12歳以上/60~120分