ルール和訳公開の是非(1)国内ショップへの影響

最近、最新のボードゲームでもすぐに翻訳が公開されるようになった。これに加えて、アメリカアマゾンが日本への販売を解禁、ドイツアマゾンもすっかりおなじみになり、ボードゲームを個人輸入で購入する人が増えていると思われる。国内ショップと比べた記事、どれくらい安いかを比較した記事もある。
ボードゲームのネット通販 国内サイトと海外サイトの比較(k.bigwheelの日記)
amazon.deを使って海外でボードゲームをまとめ買いした(同上)
ゲーム歴長い人(ゲーマー)のゲーム購入事情 (spielplatz)
Amazon.de, オークション VS …(たっくんのボードゲーム日記)
Amazon.de(ドイツアマゾン)で買える格安ボードゲーム(部屋とボードゲームと私と酒と泪と男と女)
徒然草のページ(ボードゲームの素敵な世界)
ネット上に公開される日本語ルールが増えてくると、ドイツアマゾンやヤフオクから買う人が増えて、国内のショップは厳しくなるのではないか――そんな心配が私にはあって、国内のショップで扱われているものについては原則、ルール和訳の公開を控えるようにしている。
この心配について、国内ショップ店長も含めて何人かに伺ってみたところ、大方は心配に及ばないという意見だった。まず国内購入層と個人輸入層は全く別のクラスタで、海外購入層は圧倒的に少ないという考え方。
・国内ショップで購入している大部分の層はフリークではなく、海外から直接も買えることを知らない
・海外から直接輸入するような人は極少数であり、またそのような人たちは国内のショップで扱っていても、和訳が公開されていなくても、いずれにせよ海外から買う(それぐらいの語学力がある)
海外からの個人輸入のメリットがそれほど高くないという意見もある。
・外国語の壁、支払い・紛失・箱つぶれ・欠品などのトラブルのリスク、到着までの日数を考えると国内ショップのほうが安心
・送料固定のドイツアマゾンですら、特定のセール品以外はそんなに安くない。送料が固定でない専門店はなおさら高くつく
国内ショップへのメリットもあるという意見。
・たくさんのゲームが次々と発売されている中、和訳が公開されていることから興味をもつ
・予算や保管スペースなどの都合で購入量を絞っている人はよく吟味しており、公開されている和訳が購入の決め手になる場合もある
・以前購入したゲームの翻訳を紛失したときにダウンロードできる
・少部数しか売れないようなアイテムは個人輸入で手に入れることで、ショップの在庫リスクが減る
国内ショップのサービスは、日本語ルールの添付だけという時代ではもはやないという意見も寄せられた。
・ルールを和訳するコストは実はあまり高くない
・オリジナル製品、トークショー・大会などのイベント主催または協賛、店内のディスプレイなどの工夫をして買わないお客さんを買うお客さんにすることが求められている
ゲームマーケットでは、ボードゲーム人口の拡大を肌で感じることができたが、拡大にともなって多様性も増していることも事実である。フリークにはいまさら感や微妙感の漂うゲームがあるショップでバカ売れしていたり、特定のコミュニケーションゲームしか遊ばない集団がいたりと、自分の来歴では想像できない人たちのほうが多い。さらに節電でボードゲームという全く新しい層が流れこむ。
こういった変化の中では、ルール和訳公開の是非やデザイナー表記問題など、小さな界隈で起こっている、取るに足らない問題なのかもしれない。その小さな界隈でしか問題にならないことかもしれないが、すでにたくさんの和訳を公開している私が、気持ちを整理するためまとめてみた。私自身の心配はまだなくなったとはいえず、引き続き調査検討していきたい。

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