まず目を引くのがボックスである。波平さん(?)がロボットと宇宙空間でこのゲームを遊んでいるイラスト。アブストラクトゲームとはいえこのシチュエーションにはいろいろ思いを馳せざるを得ない。ミスターゼロとはいった誰のことなのか……?
1985年にドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた2人用ゲーム。赤と緑のチップを交互に置いて、中央にいるコマを自分の陣地に誘導する(ちょっとだけ『ロボトリー』みたい?)。
中央のコマは、チップを全部置き終わるまで動かない。0〜9から、好きなチップを、マスとマスの間(ブリッジ)に置く。コマは常に一番数字の小さいチップが置かれたブリッジを通ることになっている。そのため、自分が望む方向に誘導するには、できるだけ小さいチップを置かなければならない。
チップが同じ数字の場合は、進行方向からみてより右手のほうに進む。スタートでは進行方向が決まっていないので、そこからのブリッジだけは、一番小さい数字が2つあってはならない。
小さいチップのほうがよいといっても、大きいチップも置かなければいけない。それに得点計算では、大きいチップを通ってもらったほうがよい。そこが悩ましいところである。
チップを全部置き終わったらいよいよコマの移動開始だ。上述の通り、色に関係なく一番小さい数字のチップが置かれたブリッジを通って移動する。移動し終わったチップは裏返す。そして自陣のポイントについたとき、その時点で裏返っているチップを取って自分の得点とする。
そこからロボットはさらに移動を続けるが、すでにチップが裏返ったところは通らない。行ったり来たりしながら、今度は相手の陣地のポイントにたどり着くだろう。それまでに通って裏返しになったチップが相手の得点となる。
問題は、自陣のポイントつくまでに、どれだけ多くのルートを通るか、数字の高いチップの上を通ってくるかであり、ただ先に自陣のポイントに着けばいいというものでもない。お互いによいルートを目指した攻防は実に深い。
くさのまさんと勝負。相手の出方を見ながら置く必要があり、さらに残りのチップも考慮に入れるのでついつい先の先を読みたくなる。先に自陣のポイントに入れた私が僅差で勝利。コンピュータに計算させたら強そうだが、ボックスの波平さんは勝つことができたのだろうか?
Mister Zero
W.バウアー、R.シュヴァイカート作/ダカーポシュピーレ(1984年)
2人用/10歳以上/30分
絶版・入手難