『スコットランドヤード』はみんなで1人を追いかけるゲームだった。犯人を追い詰めるため、みんなで推理して相談するが楽しい。これを逆にして、1人でみんなを追いかけるゲームがこの『呪いのミイラ』。原題の「ミイラの呪い」も、邦題では逆になっている。作者はカサソラ。この人のゲームは興奮曲線の上がり方が尋常でない。
ピラミッドが描かれたボードを立てて、片側にミイラ役が1名、反対側に残りの探検家たちが座る。コマには磁石が付いており、立てたボードの上を移動する。ミイラのコマだけ、ボードを磁石ではさむようになっていて、探検家はミイラの動きが手に取るように分かる。これがスリルのもとだ。
一方のミイラは、ピラミッド中をうろつく探険家の動きは分からない。ただ、宝を取ったときだけ、どの宝を取ったか分かるので位置が特定できる。それをもとに推理して追いかけるというわけだ。孤独なものだが、一方ごく旅に恐れおののく探検家の顔色を見るのも悪くない。
ミイラが探検家のマスに入ると、ビヨヨーンという音がしてコマが重なり合う。これがいかにもミイラにとっ捕まった感じでものすごくいい。捕まったコマはライフを減らされて振り出しに戻る。
こうしてミイラが全員から一定数のライフを奪うか、その前に誰かが予め指示された宝を全部集めたらゲーム終了。今回は経験者stさんが裏の裏まで見透かしたように追いかけてきて、私はあれよあれよという間に瀕死。ちくたさんがリーチしたが、あと一歩及ばなかった。
探検家の動き方にも裏の裏をかいたトリッキーなものがあり、また協力プレイでおとりになるという方法もある。ミイラのすぐそばを通り抜けていくスリルは最高だ。一方、ミイラにしてみれば、リーチしている探険家をよく覚えておくほか、探検家たちの目線や手の動きの観察力も問われる。単なるおにごっこかと思ったら、意外と奥が深い。ボードゲームなのに、意外に安いのも魅力だ。
Fluch der Mumie
M.-A.カサソラ/ラベンスバーガー(2008年)
2〜5人用/8歳以上/30〜45分