フェデュッティ氏によると、『スモールワールド』はダイスやカードを使わないシンプルな戦闘システムと各民族のもつ特殊能力によって、戦況や勢力が激変したり、同盟関係が移り変わるほか、戦略的な深みや展開の多様性が魅力的であり、リメイク元の『ヴィンチ(Vinci)』よりはるかに優れているという。ドイツ年間ゲーム大賞には推薦リスト入りもしなかった理由については、ドイツ人はウォーゲームがいまだタブーであることと、リメイクに新しさがなかったことを推測している。
このほかに6つの特別賞が挙げられ、重量歴史ゲームに『孔夫子(Confucius)』、重量得点ゲームに『プラネットスチーム(Planet Steam)』、2〜3人ゲームに『カルタゴの貿易商(Traders of Carthage)』、トリビアゲームに『ファウナ(Fauna)』、カードゲームに『魔法にかかったみたい(Malédiction)』、キッズゲームに『魔法のラビリンス(Le Labyrinthe magique)』を選んでいる。『カルタゴの貿易商』は日本人ゲームデザイナー、川崎晋氏の作品で、アメリカのズィーマンゲームズから発売された。フェデュッティ氏は、「『シャドウハンターズ』と『カルタゴの貿易商』はズィーマンが英語版を出すまで日本語でしか遊べなかった。ゼヴ(ズィーマンの社長)が日本からもっとゲームを見出すのを期待しよう」と日本のゲームに期待を寄せている。
ドイツ年間ゲーム大賞も受賞した『ドミニオン』については、確率計算のゲームで展開の多様性・運の要素・直接攻撃性が欠けており面白くないと切り捨てた。これからの情勢については、経済不況の影響で各メーカーが安価な小箱のパーティーゲームを作るだろうと予想。またテーマとしてはファンタジー、システムとして競りゲームの復権があるのではないかと述べている。
・Bruno Faidutti:Mon jeu de l’année 2009