ニュルンベルク玩具見本市2008~ゲーム編(1)
石器時代|空中庭園|アクアレット|ケルティス|トレド|オントップ|メトロポリス|3Dブロックス
石器時代(Stone Age / M.トゥンメルホファー / ハンスイムグリュック, 2008)
石器時代をテーマにしたゲーム。ハンス・イム・グリュック社長のブルンホファー氏が『サンクトペテルブルク』に続いて制作したゲームということで注目される。
まず自分のコマを順番に置いて早い者勝ちでアクションを選ぶ。『大聖堂』『ケイラス』『アグリコラ』などで採用されている方式だ。食料や資源を取る、建物を建てる、子どもを作る、カードで特別アクションをするなどが選べる。
面白いのは食料や資源の獲得がダイスで行うこと。いくつかダイスを振って、合計が多いほどたくさんの食料や資源が得られる。ここに運の要素を入れてきた。
資源を出して建てた建物が得点になるが、投入した資源が多いほど得点も高くなるようになっている。そして特別アクションをしたカードにはボーナス得点条件が書かれており、それによって最終決算でボーナスが入る。人が点数になるカードを取ったら、ひたすら子どもを作るというわけだ。また『サンクトペテルブルグ』のように同じ種類のカードを揃えれば揃えるほど高得点ボーナスが入る。
ラウンドの最後には『アグリコラ』でも見られた食糧供給フェイズ。人の数だけ食料を用意できなければマイナスポイントになる。建物以外にも目配せしておかなければならない。
サイコロの目が弱ければ武器を増やしてダイス目に加算できるようにしておいてもよい。運任せの資源獲得を、どのようにうまくコントロールするかが問われるゲームだ。
空中庭園(Die hängenden Gärten / D.リー / ハンスイムグリュック, 2008)
台湾人の作ったドイツゲーム。台湾でボードゲーム業に携わっているドイツ人がサークルでこの作品と出会い、ハンス社に紹介したのだという。
カードを順番にとって自分の前に並べていく。ここが空中庭園。同じ地形が3つ以上つながったら神殿を建ててボーナスタイルを獲得する。これらのタイルは同じ種類を集めるほど得点になったり、特殊アクションをしかけたりできる。どのタイルを狙うか、それにはどのカードを選ぶか、ほかの人の動向も考慮に入れつつ二重の戦略を練らなければならない。
カードは、地形が描いてあるマスは前に並べたカードの上にしなければならないというしばりがあって、前の地形をつぶさなければならなくなったりもする。手軽なルールの中に、考えどころをちりばめたゲームだ。
アクアレット(Aqualetto / M.シャハト / アバクス, 2008)
昨年のドイツ年間ゲーム大賞作の後継。このところ大賞を取ったら必ず拡張や後継を出すのがお決まりのパターンになっているが、大賞を取るだけで売り上げ10倍ともいえばそれも納得できる。
『アクアレット』もトラックにタイルを並べて1台ずつ取っていくが、今度は檻がない。1つのボードに、違う種類の動物が縦横に隣り合わないように並べていくという仕組みだ。狭ければお金を払って広げることもできるが、別の動物が入ってきたり子どもができたりしてたいへん。うまく種類を絞り込めるかと、数を調整できるか、両方の管理が問われる。
お店の代わりに入るのは調教師。決まった数の動物を置くと手に入り、空いているスペースに置くと隣接するタイルの数だけ追加得点が入る。何でも芸を仕込むのだそうだ。でもタイルの中には芸を仕込めないマークがついている動物もあって、調教師を置く場所も考えながらだとさらに考えるだろう。
驚くべきはズーロレットと組み合わせて遊べる点。水族館と動物園の両方を並べ同時進行でタイルを置いていく。ゴージャス!
ケルティス(Keltis / R.クニツィア / コスモス, 2008)
クニツィアの新作大型ボードゲームは『フリンケピンケ』タイプのゲーム。カードを1枚自分の前に出してその色のコマを進め、カードを1枚引くというのを繰り返す。ゲーム終了時にコマの位置によってその色の得点が決まるという仕組み。
出す人が少ない色はマイナスになってしまうので、出すならたくさん出したい。でもほかの人より少なければ便乗されるだけで勝てないから、5色をどのように配分して出すかが考えどころだ。
さらにコマを進めたときにマスに置いてあるタイルで、宝石を集めることもできる。この宝石も数が少ないとマイナスになるので取るか取らないか迷うところ。
非常にシンプルなシステムでジレンマを生み出すという、いかにもクニツィア風のゲームである。
トレド(Toledo / M.ワレス / コスモス, 2008)
鋼と宝石を集めて剣を作るゲーム。『ケイラス』とちょうど反対に街の下手から自分の建物を並べていく。ここにほかの人が止まってアクションをしてくれたら自分にも報酬が入る。
目的はゴールのお城に着くまで、たくさんの剣を作り出すこと。鋼と宝石を取り、集めた数に応じて豪華な剣を作ろう。
各マスには定員があり、これを超えるとカードを使った戦闘が起こる。無用な争いを避けつつ、ここぞというときにたくさんカードを投入して権利を勝ち取りたい。
色とりどりの宝石、紙製だが厚みのある鋼タイル、それからトレドの街が美しいイラストで描かれたボードと、ゲームの雰囲気をうまく作り出している。時間は45~60分。このようなシステムをもったゲームにしてはスピーディな部類に入るだろう。
オントップ(On Top / G.ブルクハルト / コスモス, 2008)
ひし形のタイルを並べて、自分の色の陣地を増やすゲーム。ブルクハルト作のアブストラクトゲームというのも珍しい。『ジャスト4ファン』や『頭脳絶好調』の路線。
手番にはひし形のタイルを1枚引いて並べる。角にはいろいろな色がついており、並べると交差点が円形になる。争うのはこの交差点。1番割合の多い色が交差点を制したことになり、その色のコマが目印としておかれる。2番目、3番目の色があるとその下にコマが置かれ、得点が増える。一色で確定させても点数が低い。ぎりぎりで1位を取るようにタイルを並べたい。
ところが1位タイの場合は誰も得点できないことになっている。ぎりぎりを狙うあまり、タイになってしまってはどうしようもない。ここも加減の難しいところだ。
さらにボード下部の「ゴールデンゾーン」では得点が2倍。そのあたりの争いに積極的に参加するか、別のところで確実に行くか。漁夫の利を狙う手もある。シンプルなルールで奥深い。
メトロポリス(Metropolys / S.ポーション / イスタリ, 2008)
近年急速に注目を集めているフランスのメーカー、イスタリ社はドイツでフッフ・フレンズが販売している。フッフ・フレンズはイスタリともうひとつ注目のメーカー、エッゲルトシュピーレも手がけており、フリークゲームの要所を抑えていると言えるだろう。フッフ・フレンズ自体は『ベッポ』など軽いゲームを発売してバランスを取っている。
イスタリ社の新作は、『イスファハン』の作者によるもの。競りで街区を手に入れ、そこに置かれたチップを集めて得点にするというオーソドックスなゲームになっている。
競りでは各自がお互い隣接するところに自分の色のコマを置き、一番大きいコマを置いた人がその街区を取る。どのチップを集めているかによって取りたい街区が変わるので、うまく狙いを絞っていかなければならない。
情報完全公開のゲームだが、競りの思惑でゲームの先が少し読みづらくなっているところがうまい。これまでにないシステムの練りこみもある。イスタリの快進撃はこれからもしばらく続きそうだ。
3Dブロックス(3D Blokus / S.ケーゲル / セコイア, 2008)
ブロックスのブースに新作。デュオ、トライゴン、ジャイアントと来て次は3Dかと思って聞いてみれば何と『ルミ』だという。『ブロックス』がドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされたのは2002年、『ルミ』は2003年。5年かかってついに同じシリーズになった。
『ルミ』は確かにブロックスと似たルールである。自分のブロックに接するようにこまを積み上げて行き、最後に上から見て一番色が多く見える人が勝ち。ボードによって底面や高さが定められており、その縛りの中で上面を狙わなければならない。
前は木製だったのがプラスチック製になったものの、コンパクトでボードに高さや形が分かるようになっており、しかも回転テーブルになっている。これは買いだろう。日本版はビバリーが年内に発売する予定だとセコイア社の人が語っていた。