秋葉原ゲーム会09/08/10

2日目の秋葉原。2泊3日の上京で、2日とも秋葉原にしか立ち寄っていないという偏り方である。平日だったが、お誘いしてふうかさん、moonさんに都合をつけていただき、さらにmoonさんのご紹介で初対面のすいせいさんという顔ぶれ。折角このメンバーだからと、山形から大箱のゲームを持ち込んだ。荷物を減らすために箱から出して圧縮していったが、当日はあいにくの大雨。カバンに入りきらなかったボードにはビニール袋をかぶせていったが、水が流れ込んで概要図が濡れてしまった。雨はボードゲームの天敵である。
会場はアークライトのロール&ロールステーション。夏休みのせいか全卓がTRPGで埋まる盛況だったが、壁から下ろせるスクリーンがあるのでとなりの卓が全く気にならない。貸し出しゲームもアークライト扱いの品が充実しており(紛失も少なくないが)、料金も1人250円と破格。テーブルも広くて清潔で、白さは写真うつりもよい。すっかり没頭して楽しむことができた。

プラネット・スチームフォーラム・ロマーナムの商人ロールシャッハラクシャク

プラネット・スチーム(Planet Steam / H.G.ティーマン / ルドアート, 2008)

プラネット・スチーム高い資源を売り抜けろ

スチームという名の惑星を舞台に、プラントを作って資源を生産し、さらに新しいプラントを作ったり、相場の高いうちに売ったりして、一番の大金持ちになるゲーム。昨年のエッセンで発売されたもので、値段も高いし敬遠していたが、今年になってドイツのゲーム情報誌『シュピールボックス』が2回も拡張カードをつけてきたので急に興味が増した。聞いてみればmoonさんもふうかさんも気になっていたという。

自分が所有するプラントや証券のほかに、お金がそのまま得点なので、シビアな損得勘定が要求される。最初はスペシャリストの競りから。
プレイヤー人数分のスペシャリストがあり、最初に競り落とした人から、好きなものを選んで取る。スペシャリストはそれぞれ特殊能力があるほか、このラウンドのプレイ順も兼ねている。1番はスタートプレイヤー(安いタンクを買ったり、いい場所を選んだりできる)になり、2番はプラットフォームの競りが有利になり、3番は生産力を向上する列を指定でき、4番はダイスを振らずにプラットフォームを作れる建設許可証がもらえる。(4人プレイでは登場しないが、5番は好きな資源がもらえる。『シュピールボックス』の付録は、新しいスペシャリストである。)これらの能力を使いつつ、競りとダイスでプラットフォームを増やす。ちょっとした陣取りになっているが、プラットフォームは隣接していても、ばらけていても生産効率を上げる方法があるので心配ない。
次にプラットフォームの上にタンクを作って、プラントを完成させる。タンクは、お金を払って中央から買うか、資源を払って地球から取り寄せるか。ノーマルタンクは水を生産するが、さらにお金を払って拡張すれば、残り3種類の資源(水晶、鉱石、エネルギー)が生産できるようになる。また、コンプレッサーを取り付けて生産力がアップさせたり、4隻の宇宙船をグレードアップして資源のキャパシティーを上げることもできる。お金も資源もかつかつなので、優先順位を考えて取り掛からなければならない。
 そしていよいよプラントが稼動して資源を生産する。稼動するには、タンク1つにつき1エネルギーが必要で、コンプレッサーがついているタンク、3番手のプレイヤーが指定した列にあるタンク、同じ種類で隣接しているタンクは、追加で生産できる。これまでの計画が報われる瞬間だ。
こうして生産した資源は、中央と売り買いできる。中央では在庫と価格が示されており、売れば在庫が増えて価格は下がり、買えばその逆になるようになっている。在庫がなくなって買えなくなると、誰かが売るまで在庫はどんどん上がる。手番順がもっとも重要になるのがここで、1番手は在庫十分で安い資源を優先的に買うことができ、4番手は在庫切れで高騰する資源を売って大儲けできるかもしれない。でも、浮かれて全部売ってしまってはいけない。次なる設備投資のために確保しておきたい。この売買の選択が最も考えるところであり、ゲームのメインである。
 ここで資源を払って有価証券(ダイスを振らずにプラットフォームを作れる建設許可証と、高得点の所有権証)を手に入れるチャンスがあって、1年は終わる。中央にある資源の在庫のうち、鉱石とエネルギーを使ってタンクを補充し(不足するとタンクも少なくなり、値段が高くなる)、スペシャリストの競りに戻る。規定年数(4人なら5年)で終了。

私は序盤から積極的にどんどんプラントを建てた。プラントが多い割には資源に恵まれなかったが、その乏しい資源も売り払ってまた次のタンクを買う。水晶プラントは早々に立てて売り抜けたが、鉱石プラントを作っておかなかったのが後に響く。終盤になって私が停滞する中、水晶と鉱石のプラントで1枚1枚着実に所有権証を集めたすいせいさんの勝利。moonさんは特定の資源を独占的にたくさん作って大量に売りさばくという戦略、ふうかさんは少ないプラントに3番手の特殊能力で資源を増やす戦略と、臨機応変で幅広い戦い方があった。あそこではこうすればよかった、ああすればよかったと思い返されるところも多く、また遊びたい。
ちなみに、moonさんから昔々のコンピュータゲーム『M.U.L.E.』を教えてもらったが、アクションの要素や台無しイベントなどは削除されているほか、8割近く同じシステムのようだ。

フォーラム・ロマーナムの商人(Händler auf dem Forum Romanum / F.イゼンゼー / イゼンゼー出版, 2008)

将来の相場を作る

小麦、ガラス、ワイン、木材、錫という5種類の品物を物々交換で売買して資産を増やし、勝利点を買うカードゲーム。クニツィアのテイストも感じられ、『交易王』の上級版といった趣き。特殊能力もなしのシンプルな構成で、ここまで奥の深いゲームができるとは、マンネリ化しているドイツゲームもまだ捨てたものではないと思う。
商品の価値は、場(各プレイヤーのお店)に出ているカードの枚数である。多く出ているほど高い。誰かが支払いのために捨てれば、その分価値が下がってしまう。そうなる前に先に使えるか、あるいはこれから誰かが出して価値が上がりそうな品物を先読みしなければならない。
さて手番には3枚の商品を選び、競りにかける。支払いはお店に並んだ商品を、今の価値で充てる。競り落とされた商品、支払いに使った商品は、それぞれの手札(倉庫)に入り、後でまた店に並べられることになる。将来の商品の価値を決めるものであるから、よく考えて選ぼう。
支払いが終わって、商品の価値を修正したら、自分のお店の品物で、勝利点カードを購入できる。自動的に品物が生産される生産施設と、1点~5点の建物から選んで買う。面白いのは、安い建物ほど効率がよいこと。5金の建物は1勝利点だが、50金の建物は5勝利点にしかならない。普通は高いほど効率がよくなるものだ。いずれも早い者勝ちの限定品なで、積極的に安い建物から買っていくことになるが、仕入れの支払い用の商品も残しておかないと後が続かなくて苦しくなるだろう。
そして手番の最後に手札の商品をお店に並べる。並べるのは8枚までで、そのうち5枚は表で相場に影響を及ぼし、残りの3枚は裏で相場に影響を及ぼさない。商品の選択だけでなく、どの商品を、表裏どちらで出すかにも駆け引きがある。ほかの人に儲けさせないようにするにはどうすればよいか、自分は儲かるようにするにはどうすればよいか。
ゲームは誰かが12点分の勝利点カードを集めた時点で終了。
 序盤はmoonさんとすいせいさんが生産施設でリード。私は皆と違う商品を先に並べたので出遅れてしまう。同じくらい出遅れたかと思っていたふうかさんだったが、実はわざと買い惜しんでチャンスを虎視眈々と狙っていたようだ。並べていた商品が高騰した瞬間、一気に得点カードを買ってリーチ、そのまま誰も止められず勝利。コツコツ稼ぐのも、数少ないチャンスを待つのも、どちらも勝ち筋はありそうだ。カードゲームとは思えない重量感で大満足。

ロールシャッハ(Rorschach / D.ティブルズ、J.ホルコンブ / ブケパルス・ゲームズ, 2008)

見れば見るほど、そう見えてくる

インクのしみが何に見えるかを問う性格検査をもとにしたゲーム。「元気そう」「エレガント」「宇宙から来た」などのお題が与えられ、番号がついたインクのしみから、これはと思うものを選択する。同じ番号を選んだ人からチップがもらえ、全部集めた人の勝ち。ただし、自分のチップだけは、ほかの誰も選ばなかったときに手に入る。
何にでも見えるようで、感性は意外に変わらない。同じ番号を出した人は、また同じ番号を選びやすいのである。したがって最初こそ自分の感性で答えてよいが、ずっとそれではチップは増えない。まだチップをもらっていない人の選択をよく観察し、傾向を自分なりに分析して出さなければならない。でもあちらも同じことを考えていて、すれ違いが起こるかもしれない。
1回目はみんなの答えがほとんど同じで、3枚で終わるという異常な展開。仕切り直しは私とふうかさんがかぶりまくる中、moonさんが揃えて勝利。感性で選んでいるために、合わせたい人の傾向は何かと考えてもなかなか出てこない。毎回何に見えたかを話し合ってみたが、抽象的で曖昧な説明が多かった。どうやって勝つか分からないけれど、絵を眺めているうちに答えが浮かんでくるという、不思議なゲームである。眺めれば眺めるほど、全部がそう見えてきて訳が分からなくなってくる。

ラクシャク(Rukshuk / M.バイサイカー / ザバズーコーポレーション, 2006)

紫の石が難関!

ランダムで引いた石をお題に合うように積み上げるアクションバランスゲーム。恐山の賽の河原で磨いた腕をいかんなく発揮するつもりだったが……。
石を7個引き、予めもっている2枚の板石と合計9つでスタート。お題カードをめくり、砂時計をひっくり返して、全員一斉にそのお題に取り組む。砂時計が終わったら手を止めて、得点計算。
得点はまず、お題通りの位置に積むことができた石の点数。白い石が1点~黄色い石が5点。石は樹脂でできており、得点が高いほど、とがっている部分が多くなって積みにくい。見事な工夫である。それから、お題カードで指定された位置に指定された色の石があれば2~3倍のボーナス。完成ボーナスが5点、同じ色の石3つ以上を使うとボーナス5点。得点を記録して次のラウンドを始める。
石の凹凸を考えてうまくはまるように積んでいるつもりなのに、1つも完成に至らない。これは難しいぞ?と辺りを見回すと、moonさんとkarokuさんがものすごく高く積み上げている。両手で支えながらやってみたが、両手を取った瞬間崩れる。結局、最後まで上手な2人との差が分からないまま、お題の積み方を2回も間違えるなど痛恨のミスもあって最下位で終了。完成したものは1つもなかった。トップはmoonさんとわずか4点差でkarokuさん。2人とも大作を完成させるなど、私の知らないところでデッドヒートを繰り広げていた。完成させたら、達成感もさぞ大きいだろうなあ。
悔しいので、「買ってソロプレイルールで練習したい」と言ったら、「強すぎると相手にしてもらえなくなりますよ」とみんな。強すぎるくらいになったら、ソロプレイのスコアを公開して自慢しようか……これはどうやら、はまってしまったようだ。