山形自宅ゲーム会09/08/01

8月になりいよいよ暑さも増す日々、エアコンを付けた室内でボードゲームというのも幸せなものである。今日は国内未紹介のゲームに、ホビージャパンやアークライトが輸入したゲームも織り交ぜた。「アメゲー」とかいうと特殊カードが炸裂してばかりの大味なゲームという印象もあるが、近年はドイツゲームの影響を受けて新しいシステムを模索した作品も少なくない。ドイツゲームの同工異曲ぶりが気になる今日この頃、ほかの国のゲームに新しい可能性が見出せそうだ。

コズミックアタックブリッジトロールアリババカードゲームマニトウの靴悪党

コズミックアタック(Cosmic Attack / R.フラガ / カクテルゲームズ, 2006)

コズミックアタック宇宙人の奇行アクションゲーム

『コズミック・エンカウンター』日本語版の発売が近づく中、フランスでこんなゲームが発売されていた。作者はR.フラガ。キワモノにかけては右に並ぶものはいないフランスのデザイナーである。このゲームも、ルールを説明しているうちから、参加者がもう盛り上がり始める。
クラクトン星人が地球に観光にやってきて、お土産を集めて帰るというヘンテコな設定のこのゲーム。円盤カードの周りに4枚、アクションカードを並べて、どれを実行したいか一斉に選ぶ。オープンして、同じアクションを選んだ人がいたら競争しなければならない。その競争は全てヘンテコなアクションばかり。
1. コスモスキャン(パソコンを見ている)……部屋のどこかに隠されたお土産カードをいち早く探す
2. コスモクラニオ(暑いところ走っている)……頭の上にカードを載せてテーブルを1周する
3. コスモバック(アヒルに追いかけられている)……後ろ向きにテーブルを1周する
4. コスモブース(牛糞に手を出している)……カルタ取りをする
5. コスモグルグル(戦っている)……ひじの上にカードを乗せ、ひじをぶつけ合ってカードを落とす
6. コスモベンティロ(息をかけている)……カードを吹いて中央まで進める
7. コスモボーボー(ハリネズミに驚いている)……立って片足を上げ「グラグラグログロ」と言う
一方、ほかに選んだ人がいなかった場合は何もしてはいけない。間違って立ったり手を動かしたりするとお手つき。アクションの選択は、指カードの向きで決めるので、右か左か紛らわしい。一瞬で判断して、一瞬で行動しなければならない。獲得したカードに書かれている星印の合計で勝敗を決める。
星印の高いカードを積極的に取りにいったぽちょむきんすたーさんが1位。私はバッティングを避けて安全なカードを狙っていた分、得点が伸びなかった。コスモグルグルでnagaさんが身長を生かしてちくたさんにプレッシャーをかけたり、コスモベンティロで神尾さんとぽちょむきんすたーさんが息を吹き掛け合っているうち、中央の円盤も飛んでいってしまったりと名場面が頻出。でもアクション自体だけでなく、難易度や得意不得意、座り位置も加味した読み合いがこのゲームにはある。

ブリッジトロール(Bridge Troll / A.スィーガート / ズィーマンゲームズ, 2009)

踏んだり蹴ったりの旅行者

橋を守るトロールとなって、旅行者の所持金をふんだくったり、捕まえて食べてしまったりする破天荒なテーマのゲーム。テーマとは裏腹に、システムはドイツ的な論理性を備えている。ズィーマンゲームズ(アメリカ)は、非ドイツ圏で変わったゲームを見つけてくる点で今、最も注目すべきメーカーである。
はじめに天候ダイスを振って旅行者の数を決める。晴れればたくさんやってくるし、嵐なら少ししか来ない。その数の旅行者カードを場に並べて品定め。「ウォッホホ、こいつは美味そうだ。」中には、せっかく集めたお金を盗む泥棒や、「食料」を解放する騎士、お金も泥棒もなくさせるドラゴンなど、橋を渡ってほしくないのも混じっている。それから1枚は裏返しで、捕まえてみてのお楽しみ。
旅行者は、手持ちの石で入札して、多く出した人から優先的に選べる。旅行者が多いときは2周、3周することもある。必ず1枚ずつ取らなければならないから、嫌なカードを取らないで済むよう、計算して入札したい。取った旅行者は、お金にするか、肉にするかを選んで振り分ける。
入札をパスする(0個を握る)と、橋が通行止めになり、旅行者は来ないがその間にストックから石を補充できる。補充できる数は、入札に参加した人数×2なので、できるだけ単独でパスしたいところ。入札に参加した人も、握った数の少ない順に、入札で使った石を取ることができる。石はたくさんあったほうがいいが、ストックになくなると一番多い人が奪われるので持ちすぎないようにしたい。
トロールの目的は何か? それは自分の橋を立派にすることだ。そのためには旅行者の肉を食べて体力をつけ、旅行者から巻き上げた金で材料を買わなえければならない。全ては橋のために。肉と金の両方そろってポイントがあるとき、その分を得点チップやカードに換えられる。例えば肉が6ポイント、金が5ポイント分あるとき、これらを捨てると5点が入る。
 得点に換えたら、再び天候ダイスから。こうして旅行者カードがなくなるまで続け、自分の橋を一番立派にしたトロールが優勝する。
石を惜しみなく使いきってはストックから補充した神尾さんが1位。旅行者カードの中にお約束の特殊能力が入っているのはなくてもいいような気がしたが(その分インスト時間が延びるので)、旅行者カードの並びを見ての入札の読み合いは深く、また石を補充するシステムも完成されていて面白い。

アリババカードゲーム(Ali Baba Kartenspiel / 作者不明 / ピアトニク, 1997)

お宝は2つに1つ…だったはず

『アリババ』というタイトルのゲームはいくつもあるが、ギークにも載っていないマイナーな記憶ゲームである。12種類のツボは各4つずつあって、2つは宝、1つは空、1つは盗賊が隠れている。手番には好きなだけめくることができるが、空か盗賊をめくったら即終了で、盗賊だったら、その手番にめくった宝を全て失ってしまう。
盗賊が出てしまえば場所を覚えるのはさほど難しくないし、空だったらそのタイルは取り除かれるので、記憶はさほど難しくない。いずれも残った同じ柄のツボから、空や盗賊に当たらないように宝をめくれるかという勝負である。前の人が空のつぼを引く。同じ柄のツボはあと3つで、宝の確率は3分の2! 思い切ってめくってみると……あー!盗賊だったー! ロシアンルーレットのような楽しさがある。
空のツボを引いてばかりで負け。一度めくった盗賊をまためくるのはショックだが、空っぽというのもまた笑えておかしかった。

マニトウの靴(Der Schuh des Manitu / 作者不明 / ラベンスバーガー, 2002)

なんだこの映画?

2001年と2002年、映画『ロードオブザリング』三部作でラベンスバーガーはクニツィアによるカードゲームを発売した。残念ながら『王の帰還』までもたなかったが、『旅の仲間』ではノミネート入りを果たすなどゲームも成功。それで調子に乗ったのか、ドイツでヒットした西部コメディ映画をカードゲームにした作品がこれだ。映画ファンを狙ったものだろうが、トリックテイキングにしたあたり、ドイツらしい。
カードは1枚1枚映画のワンシーンが入っているが、月影をバックに動物交尾しているシルエットや、股を触っている女の人とか、どんな映画か気になってくる。ゲームはトランプ『ハーツ』の簡易版。はじめに3枚を左どなりの人に渡してラウンドを開始する。茶色は数字の数だけマイナスで、緑の9はマイナス15点。獲得したトリックのマイナス点を合計し、順位を決める。1位は0枚、2位は2枚、3位は3枚……とチップを受け取り、5ラウンドで一番チップの少ない人が勝ち。マイナスなしで終われば返すことができる。
緑の9は岩か何かよく分からないが、みんなは「ウンコ」と呼んでいて、「わ、ウンコもらした」(自分で緑の9を出して自分で取る)などと言って盛り上がった。
神尾さんが元ネタを探してくれた。映画の内容はこちら。『荒野のマニト』という邦題でDVDも発売されている。今度レンタルしてこよう。

悪党(Rapscallion / T.アルパチ / ベジエゲームズ, 2008)

競って集めて役作り

アメリカで『蒸気の時代』マップを出しているベジエゲームズのカードゲーム。トランプのカードを、入札で集める。最強だけれど、バッティングしたら無効になる「悪党」カードの使いどころが勝敗のカギ。
はじめにサイドベットといって、入札カードか悪党カードを1枚隠しておく。このカードはラウンド中ずっと使えないが、一番強いカードを出していた人にはボーナスがある。
さて、ラウンドが始まるとトランプカードを1枚ずつ配り、場にプレイヤー人数分のトランプカードを並べて入札スタートだ。1枚は裏向きで、中身は取ってのお楽しみ。入札カードを一斉オープンして、数字の高い順に好きなトランプカードを1枚ずつ取る。またトランプカードを並べて入札。使った入札カードはいったん脇によけておく。
ここで、今度は入札カードをトランプカードで入札する。逆転の発想だ。入札カードを人数分並べ、1枚裏にしておき、トランプカードを一斉オープンして、数字の高い順に好きな入札カードを取る。使ったトランプカードは捨て札に。
前に使っていた入札カードを手元に戻すと、今手に入れたものと合わせて3枚になる。これで3回、トランプカードを競る。終わったら新しい入札カードの入札。4枚になった入札カードで4回の入札。これでトランプカードは合計8枚になる。
1. 入札カード2枚→トランプカード2枚
2. トランプカード-1枚→入札カード+1枚
3. 入札カード3枚→トランプカード3枚
4. トランプカード-1枚→新しい入札カード+1枚
5. 入札カード4枚→トランプカード4枚
システマチックな入手方法である。その中で役が次第に絞られてくるが、カウンティングも重要で、ほかの人とかぶらないほうがよい。いざとなったら「悪党」カードも使えるが、使わないでおけば最後に得点になるので節約しよう。
こうして手に入れた8枚の中から、5枚でポーカーの役を作って公開。ストレートフラッシュからフラッシュまで得点が入り、そのほかに役の一番強い人にボーナス、役の一番弱い人にペナルティ、最初に隠していたカードのボーナス、残った悪党カードのボーナスが入り、得点を記録したら新しいラウンドを始める。合計100点以上を最初にマークしたら勝ち。
ちくたさんが2回もストレートフラッシュを決めて勝利。ほかの人の狙いとかぶらないように気をつけていたという。私は狙いがなかなか定められず、最下位のペナルティを2回も取って堂々の最下位。競りで選べるといっても、高い役を狙う以上ほしいカードがくるチャンスはわずかである。そのわずかなチャンスをものにできた人が勝つ、シビアなゲームであった。