山形自宅ゲーム会09/06/27

6月はたくさん用事が入っていたが、自宅ゲーム会を結局3回も開くことができた。いつも100km超の遠くから参加して下さるメンバーに感謝である。今日はnagaさんとちくたさんの3人。ボードゲームのプレイ人数は3~4人というものが多く、2人では遊ぶものが極端に限られるので、最低人数は3人ということになる。麻雀の影響もあるせいか、4人がベスト人数で、3人は1人足りないものと取られがちだが、3人には3人なりのよさもある。自分の手番が回ってくるまで待ち時間が少ないこと、間に2人しか挟まないので戦略を立てやすいこと、トップと最下位の差が開きにくいことなどがそうだ。今日も会話楽しく盛り上がった。

ザ・スリーよりペグスファウナバボーンひも電オットット族の酋長ブラックシープエヌークドミニオン

ザ・スリーよりペグス(Pegs aus Die Drei / A.ランドルフ / フランニョス, 1998)

ペグスカードに合うパターンの棒はどこ?

ランドルフ作の3つのゲームが入っているゲーム集。前回の「ヘプタ」のレポートはこちら。今日遊んだ「ペグス」は、1975年に、ラベンスバーガーから『ペッギーノ(Peggino)』というタイトルで発売されたもののリメイクである。1975年は『ドメモ』が発売された年だが、ランドルフはどちらもペンネームを使っている(『ドメモ』はハルヴァー、『ペッギーノ』はボーンズ)。
このゲームではビンゴゲームみたいにいろいろなところに穴の空いているカードを使う。各6マスあり、全く穴が空いていないものから、全部空いているものまでパターンはさまざまだ。はじめに先攻がボードに棒を7本差して、後攻が7本以下を差して、カードをシャッフルしたらスタート。
手番にはまずボードに棒を1本差して、山札からカードを3枚引き、その中から1枚をボードに配置する。配置するときは、穴が空いているところに棒が通すというのがルール。置けたら山札からまた1枚補充して、これを繰り返す。置けなくなるか、置かないことにしたら交替。
交替したら山札をひっくり返して裏面にし、ボードを1本差して、3枚引いて1枚置く。棒さえ通せば前に置かれたカードの上に置いてもよい。こうして青の面と白の面が互いに重なり合う攻防を繰り返す。ボードがカードで埋まって棒が差せなくなるか、山札が切れたらゲーム終了で、自分の色がボード上に多いほうの勝ち。
カードの全パターンを憶えればまた違うのかもしれないが、結局立てたある棒のパターンに合うカードが山札から出てくるかどうかの勝負だった。前半はnagaさん(青)が好調にカードを置きまくったが、終盤に私(白)がいいカードを引きまくって一気に逆転。アブストラクト風のみかけに比べて運の要素が大きい。

ファウナ(Fauna / F.フリーゼ / フッフ&フレンズ, 2008)

マムシって、どこに住んでるの?

世界の動物の生息地や体重・体長・シッポの長さを予想して当てるクイズゲーム。今年のドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされているだけあって、とてもシンプルなルールでありながら、ありきたりのクイズではなく、あーだこーだとコミュニケーションも楽しめるゲームとなっている。作者は癖の強いゲームを作るフリーゼ(2Fシュピーレ)だが、このゲームはマイルドである。もしかしたら原案では競りなんかあったのを、編集者がカットしたのかもしれない。
動物カードを箱に差し込むと、答えが隠れるようになっている。見える部分には名前、学術名、イラストがあり、その下に生息地のエリア数や当てるべき項目が並んでいる。
スタートプレイヤーから、正解を予想してキューブを1個ずつ置く。問題となっている項目であれば生息地、体重、体長、しっぽの長さのどのマスでもよい。ただし、前に置かれたマスにはもう置けないのと、生息地はエリア数が少ないほど得点が高くなるので、どこから置くかは割りと重要ではある。
1ラウンドに1個は置かなければならないが、2個以上置くのは自由。でもコマは6個しかなくて、外れると没収されてしまい、1ラウンドに1個ずつしか帰ってこないので無闇に置かないようにしたい。
全員がパスしたらカードを箱から出して解答。緊張する瞬間である。正解のマスと、正解に隣接しているマスにコマを置いていれば得点が入り、外れたコマは没収されて次の問題となる。規定点に達したら勝ち。
専門家はともかく、よく分からない問題なので知識の差はさほど出ない。あえて言えば時々地名がついた動物が出てくるので、地理の知識が役立つくらいだ。「マムシ」の生息地10エリアという問題が出たが、日本はまず最初に置いたとして、ほかにどこか?と言われると悩む。
黙々とプレイすればそれまでだが、ゲームの醍醐味はコミュニケーションにある。写真はシマトカゲ。生息地は1エリアである。「こんな珍しい動物はガラパゴスですよ」「オーストラリアにいそう」「むしろ東南アジアでは?」体重の予想では、目をつむって両手を広げ、何か重さを測っている様子。「もったことあるんですか?」「これは両手でもてる重さじゃないはず」「いやいや実はずっと小さくて……」推測だらけの薀蓄大会がおかしい。
イエメンカメレオンなのにアフリカを予想した私は出遅れてしまったが、中盤に全部コマを置いて何とか追いつく。でもそこまでで、マムシで大外れしてからは細々としか予想できず最下位。1位は博学なのか勘がいいだけなのか分からなかったけれどもちくたさん。360の動物が収録されているが、1ゲームで10体くらいなので、答えを覚えてしまって遊べないということはない。お勉強の香りもしないではないが、確率の低い高得点狙いや確実な隣接エリア狙いができるなどゲームとしても十分遊べた。

バボーン(Baboohn! / 千石一郎 / ジョゼデザイン, 2009)

めくるしかない

場札から1枚ずつめくって「丸いもの」を集めるバースト系カードゲーム。『百科審議官』で一世を風靡したジョゼデザインがームマーケットで発表した新作である。何か世界観があるのではないかと思わせる秀逸なイラストと、高品質なカードがまず目を引く。
「3,2,1、バボーン!」の掛け声でゲームスタート。全員同時プレイで、片手を使い、カードをめくっては自分の前に並べる。色のついた「丸いもの」カードが得点、ないものはハズレ。
場札には「バボーン」が入っており、これをめくってしまうと「丸いもの」カードを全部捨てて1からやり直さなければならない。全体で3回バボーンが出るとラウンド終了で、その時点で丸いものを一番多く集めている人が得点する。
ルールブックには、「様子を見ながらカードをめくるゲーム」と書いてある通り、早めくりではない。「バボーン」をめくってしまったら水の泡になってしまうからだ。トップだけが得点できるので、もうトップならばめくらないでラウンドが終わるのを待つ。トップでなければ頑張ってめくる。そのうち丸いものが見つかってトップが逆転されると、前にトップだった人が今度は必死にめくる番だ。富豪から貧民へ。いつ終わるか分からない緊張感の中で、突然の役割交替が楽しい。
最終ラウンドは全員が得点できる。「バボーン」カードはラウンドごとに1枚ずつ減っていくので、欲張って大逆転も夢ではない。でもそんなときに限ってめくるのは「バボーン」かもしれない。
ほかの2人が「バボーン」カードをめくり続けてくれたお陰で4ラウンドまでに圧倒的な差をつけて勝利。めくるしかない場面と、めくらなくてもよい場面がはっきり分かれていると思ったが、差がつけば1位でもさらにめくって得点を積み増すという選択もありそうだ。

ひも電(Himo Den / 林 尚志 / オカズブランド, 2009)

ひもで結ぶ鉄道ゲーム

駅と駅をひもでつないで得点を増やす斬新なゲーム。ゲームマーケットで発表される同人ゲームの多くが何かの亜流という中で、このように異色なゲームはひときわ光る。
はじめに黒い輪で囲んでフィールドを作り、そこに灰色の輪で山岳地帯と、水色の河川を配置する。四隅に各自の駅を置いてスタート。
手番には駅カードを引いてフィールドに配置し、ひもを1本引いて駅をつなげる。駅カードには得点があって、新しくつなげると得点になる。多くの駅を経由するほど高得点になるので、他社にどんどん相乗りしていきたい。
しかし駅には会社数の制限がある。「ローカル駅」は先着1社のみ、「郊外駅」は先着2社まで。そういう駅は優先的に路線を引かないといけない。ほかにも他社が路線を引くと得点が入る「乗換駅」、山岳に置くと得点が高い「観光地駅」など、バラエティあふれる駅にあわせた路線配置が求められる。
ゲームが進むにつれて路線が混んでくると、ほかの路線の上を通ったり川を渡ったり山を越えたりしなければならない。ほかのひもの上を通るたびにマイナス1点。ロスしないよう、迂回するなど配置を工夫したい。路線はひもだから迂回も自由自在。でも長さは決まっているので、迂回するほど回れる駅が少なくなるだろう。
ひもは5本あり、全部引いたらゲーム終了。5本のうち1本は2倍の長さで、このひもを使うタイミングが勝敗を分ける。
ルールでは四角いフィールドで遊ぶが、山形県の形にして遊んでみた。中央に山岳地帯をひろげ、最上川を通す。ひもだからこういう設定も自由自在。nagaさんは酒田、ちくたさんは新庄、私は米沢からのスタートである。米沢から長井、寒河江を通って酒田に抜ける路線が早々と完成。現実にはありえない話である。その頃、新庄からは奥羽本線が南下し始めていたが、ローカル駅ばかりで人気がない。寒河江から新庄に路線がつながると、途中の駅もにぎやかになってきた。ついには米沢―長井間に2社が並行して走るという事態。最後に酒田―新庄間を結ぶ陸羽西線が通ってゲーム終了。最後まで僅差で進んだが私とnagaさんが同点1位。
自由度が高くてちょっと戸惑うが、ひもをまっすぐ伸ばしたり、ぐにゃぐにゃ曲げたりと創造性を刺激させる作品である。

オットット族の酋長さん(Häuptling Wackelnix / G.バース / ラベンスバーガー, 2007)

足がつる!

斬新なアイデアと驚異のギミックでファンの多いG.バースの作品。その中に全身アクションゲームが登場した。卵は電池仕掛けでジャングルの音楽が鳴っているが、中にセンサーが入っていて傾けると笑い声が出る。これを両手でもって、カードに指示された動きをし、またもとの姿勢に戻るまで、笑い声を出さないようにする。成功するとチップを1マス進めることができ、規定数進んだら勝ち。卵が笑ってしまったらチップを進めることはできない。
難易度は1~3まであるが、大人は当然レベル3で勝負。地面に頭をつけて卵をかかげるとか、足をあげてその周りに卵を回すとか、寝て起きるとか、日ごろ運動していない大人にとってはなかなかきついタスクである。股間に卵を置いて両手を後ろにつくというアクションを成功させた私が1位。大の大人が卵をかかえてそろりそろりと変なポーズを取っているだけでもおかしいが、途中で足がつってしまったり、笑ってできなくなったりするなどハプニングもさらに笑えた。
レベル1や2だったら制限時間を設けたり、また自由演技で皆に採点してもらったりするのもよいかもしれない。

ジョーコデルモンド:オットット族の酋長さん

ブラックシープ(Black Sheep / R.クニツィア / ファンタジーフライト, 2008)

ファミリー版バトルライン

ポーカーの役で動物コマを取り合うクニツィアのボードゲーム。ほのぼのとしたイラストにカワイイ動物コマに似合わぬシビアなゲームが楽しめる。
遊び始めるとすぐに同じクニツィアによる2人用ゲームの傑作『バトルライン』を思い出すだろう。3箇所ある野原のいずれかにカードを出して、一番強い役を出した人が動物コマをもらえる。先に出すと、相手はそれより強い役を狙ってくる。いいカードを待ちつつ様子見をしていると、置くところがなくなって結局カスの役になってしまう。相手の出方を伺いながら勝機を見定めるこの悩ましさは健在。
変わっているのは、野原にいるコマも役の一部になることだ。例えば写真ではブタ3匹とウマ2頭でフルハウスができている。これより強い役を作るには、ほかの2人はブタのカードをもう1枚以上出して、フォーカードかファイブカードを狙わないといけない。手札が悪くても、野原を選べば善戦できるだろう。
もうひとつ悩ましいのがタイトルにもなっている黒いヒツジ。このヒツジを取ると失点だが、ゲームの最後には最多ボーナスや全種類ボーナスがあって、必ずしも損というわけではない。また同じ野原にいるもう1匹の動物がほしい動物なら、差し引きで得することもあるだろう。取るか取らないかの選択もまた悩ましい。
nagaさんの手役が見事に決まって独占状態というくらい動物を集めダントツの1位。私はどうしても我慢しきれなくて先に出してしまうことが多く、いいところなしだったが、ゲーム中ずっとクニツィアジレンマにシビれていた。上級ルールでは、はじめに指定された動物を集めるとボーナスが入るようになるので、ずいぶんテクニカルなゲームになりそうだ。

エヌーク(Enuk / S.ドーラ / クイーンゲームズ, 2008)

タイルをめくって食物連鎖

ニシンはサケに食べられ、サケはアザラシに食べられ、アザラシはシロクマに食べられ、シロクマは人間に狩られる。この食物連鎖ができないようにタイルをめくって集める記憶ゲーム。子供ゲームだが、私の好きなドーラの作品ということで遊ばないではいられない。
タイルは好きなだけめくれるが、食物連鎖ができてしまうとバーストで、食べられたほうのタイルは裏返され手に入らない。ニシンをたくさんめくった後、サケをめくってしまうと、サケは手に入るがニシンは全部水の泡。でも場所は覚えておこう。次にめくるとき同じ過ちを繰り返さないように。
人間が出るたびに太陽コマが進み、夕方になると狩りは終わる。それまで、イグルータイルをめくった人による、最後のタイル獲得チャンス。ここでは動物を1つ言ってタイルをめくり、合っていればゲットできる。もちろん、その前の段階でどこにあるか覚えていなければならない(ムリムリ)。
集中力と勘でニシンを大量に集めたnagaさんがダブルスコアで勝利。最後のイグルーフェイズにはちくたさんと私が臨んだが、1枚くらいしか手に入らなかった。人間とアザラシとニシンとか、シロクマとニシンというように食物連鎖が起こらないパターンをめくったとき、もう1枚めくるかどうか(それが別の動物だったら一気に食物連鎖が起こってしまう)が悩ましく、またスリルがあって楽しかった。

ドミニオン(Dominion / D.ヴァッカリーノ / ホビージャパン, 2009)

定番の資格十分

『ドミニオン』は日本語版も発売され、はまっている人も多いようだが、未プレイゲームを優先的に遊んでいる私は数えるほどしか遊んでいない。ちくたさんが未プレイというので久しぶりに遊ぶことができた。
「ビッグマネー」という2番目のデッキは、お金をグレードアップする鉱山、銀を山札に入れる役人、2金になり山札を切り直す宰相、お金が出るまでめくり続ける冒険者など、お金がどんどん入ってくるカードが入っている。これに村か市場でアクションを増やせば、早い時期に6点カードが手に入る。「もう11金だよ、何を買おうか」なんて悩むくらい大金持ちになるのは気分がいい。
2手番目に買った市場がずっと活躍してくれて、そこに鉱山や役人が入り、うまく回って1位。年間ゲーム大賞のターゲットであるファミリー向けではないという人もいるが、ルール説明はことのほか短いし、時間も長くないし、カードを変えれば全く別ゲームになるしで、大賞は間違いないだろうと思った。そして翌々日、予想通りの結果が出ることになる。