今年のゲームマーケットは、仕事のためにいけないことが分かった。仮病を使ってでも参加したいくらいだったが、断念するかわりにプレイベントに参加し、さらに前々日、自宅ゲーム会を開くことにする。平日だったが、ふうかさんとかゆかゆさんが駆け付けてくださった。
25日に発表されたドイツ年間ゲーム大賞のノミネート、推薦リストを中心に遊ぶ。
島が見えた!|ごちそう畑|ヴァルドラ
島が見えた!(Land in Sicht! / S.ドーラ / ラベンスバーガー, 2009)
ゲーム内容はこちら。ドイツ年間キッズゲーム大賞にノミネートされた。今回は宝箱の5色コンプリートを目標に入れてみた。何色をとって、何色をとってないかよく覚えておかないと、同じ航路を堂々巡りするハメになる。一方、パイナップルは全く集めなくてハズレにして、がっかり感をあおってみる。
5種類コンプリートしなければいけない宝箱は、意外と近くに転がっていた。それをせっせと集めるふうかさんと私。一方、かゆかゆさんはめくるものめくるものパイナップルばかりでズッコケ。ゴールの島も宝箱エリアの近くにあって、ふうかさんがぶっちぎりの1位。
記憶の要素があるものの、航路が複雑に絡み合っているので覚えきれない。その分くじ引き気分で気楽に楽しめるゲームである。
ごちそう畑(Curli Kuller / M.トイブナー / セレクタ, 2008)
ボードの周囲からカタツムリのコマを頃がして、自分の色の苗を倒すアクションゲーム。同じくドイツ年間キッズゲーム大賞ノミネート。インパクトではこの作品が最も大賞に近い感じだが、大人なら1ゲーム3分という時間の短さがネックかもしれない。
「床で遊ぶゲーム」と箱に書いてある通り、テーブルを必要としない。約60cm四方になるよう柵を設置して、各色の苗を立てて適当に並べる。かかしタイルで席位置を決めたら(自分の色の苗を有利に並べないようにする工夫である)スタート。
自分の番になったら、滑り台にカタツムリコマを設置し、コロコロ転がして畑に投入する。倒した苗をゲットでき、決まった数ゲットすれば勝ちになる。ほかの人の苗を倒すとほかの人がもらえるので、極力自分の苗だけを狙いたい。
ルールはこれだけなので、3~4歳でも遊べるだろう。ポイントはカタツムリコマの回る部分が曲面になっているところ。まっすぐ進まないので、大人でも狙った通りに転がらない。遠くにある自分の苗だけを倒すのは至難の技。と思ったらうっかり手を離したら自分の苗に命中してヒャッホー!なんてことも。このランダムさがいい感じである。
ほかの人に倒してもらったりしたので順調に集まり1位。箱には15~20分と書いてあるが、それだけ時間があれば子供でも3~4ゲームできそうだ。実感できるほどではないが、上達する余地もあるかもしれない。
ヴァルドラ(Valdora / M.シャハト / アバクス, 2009)
今年になってから独仏で発表された新作評価アンケートで上位に入っていた配達ゲーム。ドイツ年間ゲーム大賞ではノミネートこそ逃したが、推薦リストには入った。M.シャハトが、今年になって『黄金都市』『建設期』『ヴァルドラ』と一気に発表したのは、2007年に初めて大賞を射止めたことと無関係ではあるまい。ゲームの寿命が短くなっている昨今でも、開発に着手してから製品化されるまでは1年半以上を要することを示している。
開けてみるとまず、本をめくるようにカードを変えるシステムのための木製のカード置きが目を引く。そして色とりどりの宝石、美しいイラストのボードとカード。ルールは多めだが60分程度まで抑えたプレイ時間。いずれも大賞に照準を合わせた作りになっている。1年しか間を空けずに同じメーカーが大賞を取るのは難しかったのかもしれないが、せめてノミネートまでは行ってもよかったと思う。
コマを移動して宝石を集め、契約に書かれたところに配達して得点にするというゲームである。場の状況を読みながら、どの契約を取って、どの順序で配達すれば効率がよいか、ほかの人に先を越されないかを考えて、臨機応変さが試される。
手番にはコマを移動して、移動先によってカードを買うか、宝石を取るか、宝石を配達するか、お金を補充するかのアクションを行う。カードは宝石の種類と配達先が書かれた契約カードと、運べる宝石を増やす装備品カードがあり、4つの街で内容がオープンになっている。このカードを見て、配達の経路を考えるわけだ。いいカードがなければ、お金を払ってチェンジできる(ここで本のページをめくるというギミックが活躍する)。
配達できると契約カードが得点になるだけでなく、職人チップがもらえる。同じ色の職人チップを過半数集めると職人タイルがもらえ、さらに同じところに配達すれば高得点になる。高得点のもとになる職人チップの攻防が、契約カードの選択に大きく影響する。「今からあの契約カードを取りに行って、先に配達できるだろうか?」ゲームは常に一手先を争うシビアな展開だ。う~ん、シビれる。
職人チップが1種類になるとゲーム終了。なんとかタイルを取れたとしても、高得点の配達は1回できるかどうかの微妙なラインである。さあ、勝敗はいかに?
かゆかゆさんが惜しげもなくお金をつぎ込んでページをめくり、必要な契約カードで高得点を上げ1位。私は後手後手で、残り物みたいな契約(宝石ではなくてお金を配達するという、一番手軽で安いやつ)を地道に集めていたが最下位に終わった。
シャハトのゲームではしばしば、やりたいのにできないことが多すぎてフラストレーションがたまるのだが、このゲームでは、アクションの選択肢を増やすお金もさほどカツカツでなく、選択の自由度が高くて楽しい。いろんなことを考えて、創造的な手を打つことができる。カード運もほどほどにあり、しかし皆が共通に利用できることで不公平感がない。ニュルンベルクの新作で1,2を競う出来ではないだろうか。
ニムトジュニア(6 nimmt! Junior / W.クラマー / アミーゴ, 2009)
『ニムト』を子供でも遊べるようにリメイクしたカードゲーム。数字ではなく、動物を揃えるようになっている。手札もなく、山札からめくってどこかの列に置くという手軽さ。ドイツ年間キッズゲーム大賞の推薦リストに選ばれた。
基本ルールは、山札から1枚めくって4列のどこかに置き、動物が揃ったらもらえるというもの。置くルールは、カードに描かれた動物がまだいない列に置くというもの。どの列にもいるならば、どの列に置いてもよい。
曲者は、1枚のカードに動物が2~3種類描かれているものがあること。1枚置いただけであっという間に列が揃うこともある。
そして『ニムト』と違うのは、取って集めた人が勝ちというところ。もっとも、山札から引いてそのまま置くわけだから、列の選択の余地が多少あるとしても、坊主めくりに近い運任せなゲームである。バリアントで、取ったら負けというのもある。
これだけならば、推薦リストに入らなかったかもしれない。バリアントその2を遊ぶと、ここまでのルールは準備に過ぎなかったことが分かる。バリアントその2は、山札からめくったときに、どこかの列が揃うならば、どの列が揃うかを真っ先に言い当てなければならない。当たったらその列のカードをもらえ、外れたら前に取ったカードを返す。
バリアントその2で、複数の動物が描かれているカードが効いてくる。5枚未満でも、一気に列が揃うことがあるからだ。どの列に、どの動物がまだいないのかを把握しておくのはものすごく頭を使う。
基本ルールでは運のよさで1位だったが、バリアントその2では頭の回転が追いつかず最下位。この日一番頭を使ってヒートアップしてしまった。
シティーズ(Cities / F.マルティン / エンマゲームズ, 2008))
タイルを並べて観光に相応しい美しい都市を作るパズルチックなゲーム。オランダのゲームだが、ドイツ年間ゲーム大賞推薦リストに入った。
各プレイヤーはニューヨーク、ベルリン、ロンドン、パリのいずれかの都市を担当するが、イラストが違うだけでパターンは変わらない。赤はテラス、黄は建物、緑は公園、青は水場。いろんな組み合わせの1~24番のタイルを使う。親が4枚のタイルをランダムに指定し、それを斜に並べたらスタート。
親が自分のタイルから1枚引いて、番号を言う。みんなはその番号のタイルを取って、好きな向きで並べる。そして『カルカソンヌ』のように、今置いたタイルに自分のコマを置く。コマを置いたマスは得点源になるが、コマの数が限られているので、高得点を狙えそうなところに置きたい。
16枚置いて都市が完成したら各自得点計算。計算方法には初級・中級・上級があり、複雑さが増す。写真は中級。建物エリアと公園エリアはつながっているマス数だけ得点。テラスから直線につながっている水場のマス数だけ得点。
欲張ったのが功を奏したり、意外なつながりがあったりで全階級で得点1位のグランドスラム。同じタイルを並べるが、並べ方は皆違うので、得点計算までお互いのプレイは全く見ない。ソロプレイもここに極まれり。しかし、皆がめいめい独り言をつぶやいているのが楽しい。「ここか、そこか、いやいやいや……」子供の頃、家族がテーブルを囲んで内職していたのを思い出した。
マオリ(Maori / G.ブルクハルト / ハンス・イム・グリュック, 2009)
ゲーム内容はこちら。ドイツ年間ゲーム大賞で推薦リストに選ばれた。タイルを取って、絵が合うように並べるという手軽さが評価されたのだろう。
序盤は大きい島を狙うので、場には小島や海ばかりになる。ボードはとても狭いので、そうなると選択の余地がなくて苦しい。絶好のタイルが来るまで、そこをいかに乗り切るかがカギのようだ。
今回も最初から船を使うルールでプレイ。2つの島を交差させるようにタイルを置くという痛恨のミスがあったが、小屋のある大きい島の得点で挽回して最下位は免れた。
発展ルールに中央のマスの得点が2倍になる「環礁」と、タイルを置く予定地を毎回変えなければならないルールがある。これもゲームに慣れたメンバーならばデフォルトにしてもよいかもしれない。
ゴッドダイス(God Dice / R.マクシー / マクスヴェルドゲームズ, 2008)
最後はノミネートでも推薦でもない、アメリカのゲームをプレイ。アークライトが輸入している。推薦リストやノミネートもいいが、ウェブでもほとんど注目されていない未知のゲームがこうして訳付きで発売されるというのはありがたいことである。
ダイスの役でお互いのキャラクターにダメージを与えて、生き残ったら勝ちというゲームであるが、攻撃は左どなりの人ということになっていて、直接攻撃のギスギスした感じがあまりないのがいい。キャラクターごとに役があって、その役ができたときに、5の目の合計数だけダメージを与えられる。
ダイスの振り直しルールが面白い。まず戦闘ダイスを全部振る。そして振り直すときは、1種類を選んでその目を全部振り直さなければならない。しかも一度選んだ目はもう振り直せない。大きな役を狙うか、確実な役で行くかの選択が悩ましい。
ヒーローは青1だけで基本攻撃ができ、しかも体力が多いので生き残りやすい。アサシンは役が難しく、体力も少ないが、役が豊富で成功すれば多大なダメージを与えることができる。
この攻防よりもインパクトがあるのが、戦闘の前に振る2つのゴッドダイス。キャラクターのイニシャルが書いてあり、自分のキャラクターのゾロ目がでると相手を一気に消すことができる。ダイスゲームはこれくらい派手な効果があったほうがいい。
かゆかゆさんはアサシンが2人もいて、すぐに倒せそうなのにダイス目に恵まれない。その生き残ったアサシンが暗躍して、はじめにふうかさんが全滅。残る一騎打ちは、ヒーローが生き残っている私が有利だったが、かゆかゆさんのゴッドダイスでいきなり死亡してしまった。ドラマチックな展開で笑う。
考えることの多いドイツゲームの後は、こうしたダイスゲームもいいなと思った。イラストもバカバカしくていい。