福島自宅ゲーム会09/04/29

福島自宅ゲーム会09/04/29

郡山の福島ボードゲームズで知り合ったトンデモブラウさんに招かれ、福島のご自宅へ。家から福島に行くには、『天地人』で盛り上がっている米沢を通っていかなければならない。渋滞がイヤなのでパーク&ライド。長井線、米坂線、山形新幹線を使った。鉄道のたびもなかなかよい。途中でルールをじっくり読んでいくこともできる。
この頃、自宅でゲームをすることが多かったが、子供たちがまとわりついたり、電話がかかってきたりして落ち着いてゲームできなかった。そういうこともあって誰にも邪魔されないで集中できる至福のひとときとなった。

山形県長井市でゲーム会を定期的に開きます。興味のある方はこちらへ→

ダイスタウンポンペイ最後の37分詐欺師マオリヤギだけ数えて

ダイスタウン(Dice Town / B.カタラ、L.モーヴラン / マタゴー, 2009)

ダイスタウン今日も繰り返される西部劇

 フランスのメーカーではイスタリ社以上に注目しているマタゴー社。『ユートピア』と『ジャイアント』など、直感的でスマートなルールで、ドラマチックな展開を生み出している。そのマタゴー社から、多作のカタラと独創的なモーヴランのコンビ作品が発売になった。このコンビは『ミスタージャック』でも知られる。
 西部劇とダイス。どちらもゲームでは使い古された要素ばかりで特に目新しくはない。ルールを読んでも、ダイスの目でお金やカードや獲得して、特殊効果のカードが入ってといったごくオーソドックスな作り。ところが遊んでみると印象がまるで違い、心理戦と駆け引きを存分に楽しめるゲームだった。
 5つのダイスには9、10、J、Q、K、Aの目があり、これでポーカーの役を作る。カップに全部入れてジャラジャラ~。その中から1つだけ残す。残すものを決めたら一斉に公開。ほかの人が何を残したかをよく見つつ、ほかの4つを振ってまた1つ残す。これを繰り返して5つの目を確定させる。役がかぶると損なので、すでにここから心理戦がある。
 ダイスを2つ以上残したいときと、振り直したいときは、お金を払う。誰かがダイスを確定させてしまうと、残りの人は1回しか振れなくなるので、たくさん残すのは得策だ。ちなみにこのあたりの処理は、『賽は投げられた』で誰かが置き切ると残りを置けなくなるところと規を一にしている。ダイスゲームのスピード感を失わず、しかも駆け引きまで生まれるのには感心する。
 さて、全員ダイスが確定したら、左側の建物から順番にトップ賞を受け取っていく。まず鉱山は9の目の一番多い人が金塊(1個1点)ゲット。銀行は10の目の一番多い人が現金(2ドル1点)、道具屋はJの目の一番多い人が特殊カード(効果いろいろで得点もあり)をもらえる。酒場はQの目の一番多い人がほかの人からカードを取り、警察はKの目の多い人が保安官になる。そして市役所ではポーカーの役(ワンペア・ツーペア・スリーカード……ファイブカード)の一番強い人が得点カードを取る。最後は医者で、このラウンドに何ももらえなかった人は皆から金塊や現金などを恵んでもらえる。
 Aはいくら揃えても、市役所でしか使えない。だがその分、市役所で一番強い役を取れれば得点カードをたくさんもらえるようになっている。あちら立てればこちら立たずというバランスが見事だ。
 さてゲームを面白くしているのが保安官の存在。同点の場合は、保安官の裁量に委ねられる。ダイスが5つしかない以上、同点はよく起こるので、保安官を持っていれば相当有利なのは間違いない。そして、ほかの人は保安官に賄賂を払って、選択に影響を与えることができる。「1ドルで権利をくださいよー」「いや、これは2ドル払ってもいいだろ?」「2ドル払いますからぜひ私に!」賄賂の交渉をするこの腐敗ぶりがたまらない。
 先行したcarlさん、お金プレイに走ったぽちょむきんすたーさんが目立ってむしられる中、後から伸びてきたアクセルさんが1位。私は狙いが絞り込めなくて最後までいいところなし。
 ダイスを1つずつ残して勝負するスリルと、保安官の強権ぶり、そしてダイスの組み合わせの妙がどれも素晴らしくて楽しめた。

ホビージャパンオンラインショップ:ダイスタウン

ポンペイ最後の37分(Pompeji: Die letzten 37 Minuten / J.ウィダリッチ / カードチェス, 2005)

溶岩こっちに来い!

火山の噴火に消えた街の最後の救出を描くボードゲーム。『水のオランダ』や『チーズ』というすごいコンポーネントのゲームを出してやがて消えてしまったカードチェス・インターナショナルのゲームである。
 手番にはタイルをめくってボードに配置し、コマを1つだけ移動する。そして砂時計コマを1分進める(実際の時間制限はない)。全部で37分、しかもダイス判定で短くなることがあるので4人だとたったの8~9手番。コマをどんどん重ねてグループで逃げなるか、足の速いお父さん・お母さんコマを利用しければとても間に合わない。
 逃走の手助けをしてくれるのが溶岩である。コマのあるマスに溶岩が流れると、そのコマは無料で移動できる。これを使って、溶岩が来る→逃げる→さらに移動→そこにまた溶岩が来るというのを繰り返して逃げるのが得策。溶岩大歓迎ってどんなゲームなのか。
 コマは、ボード周辺にいる自分のボートに乗せるか、水路を渡らせれば救出したことになる。ここで面白いのが得点計算。自分が救出したコマを自分のものと他人のものに分け、この2つの得点をかける(!)。つまり自分の家族ばかり救出しても0点で、ほかの家族も一緒に救出したほうが得点が高い。ヒューマニティあふれる設定である。
 このほかに、自分の家族の少年と犬を両方救出するとボーナスがある。この2つだけは自力救助したいもの。でもあえなくほかの人に救出されて、嬉しさ半分悲しさ半分ということも。ほかの人に助けてもらった家族も得点にはなるので、最初のうちは協力するのだが最後は競争にならざるを得ない。
 ボート乗り場が隣接していたので、逃げている間にどんどん集まってきてとんでもない大所帯に(写真右上)。そこでこのグループの奪い合いが始まる。グループは、一番多くコマがある人しか動かせないので、私のコマをどんどん投入して余裕の移動。ついでに途中でもう1グループ助けていこうかなという油断がいけなかった。そこにぽちょむきんすたーさんの引いた地震タイル。哀れ私の家族は散り散りに……。残った家族を救出したぽちょむきんすたーさんがダントツの1位。散り散りになった私の家族は、そのまま火山灰の下へ。オーマイゴッド!
 溶岩の恐さが全然なかったけれども、ドラマチックなゲームが楽しめたのでよし。

詐欺師(Hochstapler / R.クニツィア / コスモス, 2009)

贅沢品はありそでなさそで

クニツィアのブラフゲームとあれば、何か期待したくなるものだろう。そしてこのゲームは、その期待を裏切らなかった。
 基本は『ブラフ』である。全員が7種類の贅沢品カードを各1枚、7枚だけもっている。数字は0~7までさまざま。順番が来たら、このうち1種類を選んで、そのカードの合計がいくつかを宣言する。次の人はさらに大きい数字を宣言するか、ダウトをかけるか。大きい数字を宣言する前に、1枚カードを捨てて同じ種類のカードを引き直すこともできる。ダウトがかけられたら、全員その種類のカードを出して数字を合計。合計が宣言した数字未満ならば宣言した人が、宣言した数字以上ならばダウトをかけた人が、マイナス1点となる。
 「なんだブラフか~」と思って遊び始めたらずいぶん違う。というのも贅沢品の種類がころころ変わるからである。宣言は7種類のいずれかで行われるが、大きい数字を宣言するときは種類を変えてもよい。「時計が20」「時計が23」「ヨットが24」「ダイヤが25」……。
 ダウトがかけられるのは直前の1種類だけなので、そのほかの情報は少しずつ覚えこんでおかなくてはならない。「前に彼はヨットで24と言ってたから、ヨットの数字は大きいのかも。だったらヨットの25でいけるかな……」でもそれはウソかもしれない。あるいはウソだと思っていたらほかの人が大きい数字をもっていて通るかもしれない。種類が変わったために途中で止まったビッドが複数あって、そのうちどれを、どのあたりから復活させるかが悩ましい。
 宣言前に捨てるカードは公開なのがさらに悶える。数字の大きいカードを捨てられたりすると混乱。ちょっとした精神的な優越感がカードの出し方や宣言の口調に反映され、勝敗を左右する。
 妙に自信たっぷりで嘘をついているんだか分からないくさのまさんにダウトを当てられて負け。とってもドキドキした。

マオリ(Maori / G.ブルクハルト / ハンス・イム・グリュック, 2009)

大きな島が見つかる

中央からタイルを取ってマイボードに並べ、得点を競うゲーム。今年のニュルンベルクでハンス・イム・グリュック社が発表したゲームのひとつ。もうひとつの『フィンカ』よりもライトで、悩んでも45分くらいしかかからない。
 中央のタイルの取り方は同作者の『銅鍋屋』『ヤギの王様』で見られた方式。まず船がタイルの外周を移動し、止まったところからまっすぐの列のタイルを取る。一番手前は無料だが、奥にあるものほど高い。
 取ったタイルは、すぐボードに配置するか、リザーブしておける。リザーブは1枚だけで、後から1手番かけて配置するので手が遅れるが、高得点のパターンを狙えるならアリ。島は完成したものだけが得点対象になり、ヤシの木1点(家があれば2点)、花輪10点、ボートと貝は最多の人にボーナス、そして空いているマスが-1点。得点はボードに書かれているので混乱しない。
 ボートの数は船の移動距離にもなる。ボートを増やせば取れるタイルの選択肢が広がるというわけだ。また貝は通貨で、奥のタイルを取るときや、ボートをもっと進めたいときなどに払う。
 今回は発展ルールとして、マイボードにも船があり、船の周辺にしか置けないという縛りルールを採用。選択肢が減るのが悩ましく、時間もかからなくなるのでよい。ほかにも裏面のボードには2倍になるエリアがある(同じ作者の『オントップ』みたい)。
 carlさんとトンデモブラウさんがリザーブしたり除去したりしているうちに、取ったタイルなりに配置できた私とぽちょむきんすたーさんが円満に終了。私はボートも貝もトップだったが、花輪がなかったために2位。最多賞やほしいタイルの奪い合いという要素もあるが、中心がマイボードなのでソロプレイ感あり。

ヤギだけ数えて(Nur die Ziege zählt / G.ブルクハルト / アミーゴ, 2009)

山は険しく

ブルクハルトがアミーゴから出しているヤギシリーズ第3作。『ヤギ戦争』『ヤギの王様』そしてこれ。そんなにヒットしているのだろうか?
 今回も『ヤギ戦争』と同じく、スートのないトリックテイキング。単純に数字の大きいカードを出した人が取る。そして、取ったカードのヤギマークだけコマを進める。
 得点は、手札が配られた時点で、コマがどこまで進むかを予想しておいて、それが当たればもらえる。予想に使うのが台形のタイル。2点なら4列、3点なら3列、4点なら2列に張ることができる。5点だけは特別で、0点(1回も取らない)か61点以上(ほとんど取る)に賭けるときだけ使う。タイル同士が重なってはいけないというルールで、ほかの人と予想を変えなければいけなくて無理をする羽目になったりもする。
 予想が当たったかどうかのチェックをしたら、また手札を配り直す。これを人数分行って点数の多い人が勝ち。
 0点予想を2回当てたぽちょむきんすたーさんがトップ。私はほとんど毎回予想を当てることができたが、3点か4点を重ねたので1点及ばず。獲得トリック予想ゲームとしては平凡な感じがするが、予想のタイル配置にアヤが生まれてなかなか面白い。

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