山形自宅ゲーム会09/04/19

山形自宅ゲーム会09/04/19

翻訳を依頼されたゲームが大量に届いたので、ルールのチェックも兼ねてゲーム会を開催。日本語ルールの出来は、実際遊んだことがあるのとないのとでは大きく違う。遊んだことがあるといっても、ずっと前に遊んだものより直前に遊んでいたほうがよい。コンポーネントを分かりやすい名称にしたり、外国語特有の表現を噛み砕いたりするには、実際のプレイが欠かせない。ものによっては現物がない状態で翻訳をしなければならないこともあるが、読みやすい日本語ルールとそうでないものとの違いは、この辺にありそうだ。
 今日お越しいただいたのは、郡山からくさのまさんとかぎやさん、福島からcarlさん、県内も庄内から鴉さん。みなさん遠くからの参加である。もしこれをご覧の方で近くにお住まいの方がいらっしゃったら、下記のアドレスまでご一報ください。遊びましょう。

チキンハント水のオランダじたばた泥棒上陸

チキンハント(Hühnerjagd / I.ヴォルフ / W&L, 2001)

チキンハントえっ、競るの?

このメーカーのゲームは微妙なのが多いよね~などといって取り出したこのゲーム。ルールを読むと「ダイスを振って、その目の色まで進めます」…あー、『ベッポ』と同じか(いやこっちの方が先ですが)なんて言ってると、「そのダイス目を競ります。」ウオー、急にエキサイト。
 農夫から逃れて、柵の外に脱出するというゲームである。競りは、エサコマを握って一斉に公開。単独で一番多く握った人が進む権利を得る。一番少なく握った人は、全員が握ったエサを獲得。悲しいのが二番目に多く握った人で、ダイスの裏側の目まで戻らないといけない。それと、握った数がほかの人とバッティングすると、進めもしないしもらえもしない。権利は単独で次点の人へ。
 競り一辺倒にならない変化も用意されている。黒が出ると農夫に捕まったことになり、近くの黒まで戻ってエサを捨てないといけない。その間にほかの人は白まで進む。白が出ると競りで進めるが、二番目に多く握った人は黒まで進んでエサを捨てる。
 盤面の状況と、バッティングのルールが競りの思惑を左右する。今の位置によって、同じ色でもたくさん進める人と少ししか進めない人がいる。たくさん進めるなら多く握りたいし、少しならいったんしゃがんで、コマを集めに行くだろう。中途半端に握るとバッティングが怖い。引くところは引いて、出すところは出して、最初にゴールした人の勝ち。
 ケチってバッティングしているうちに出遅れた上に、最後に全投入するタイミングを間違えてビリ。農夫にハントされてしまいましたとさ。

水のオランダ(H2Olland / J.ウィダーリッチ、R.ヴァン・フークト / カードチェス・インターナショナル,2005)

チューリップ畑にかけろ

カードチェス・インターナショナルというオランダのメーカーは、わずか数年前に大々的に立ち上がって今はもう活動していないらしい。入手できるのはショップ在庫のみ。このゲームのコンポーネントを見れば、お金をかけすぎたなという気がしないでもない。ゲームの要となる風車のコマは、ちゃんと回るようになっていたし、労働者コマは、後頭部だけ髪が残ったおじさんだった。
 コンポーネントの見かけばかりではない。湖を干拓して、作物を作って、その収入で新しい風車を買って、自分の陣地を広げる。やがてチューリップ畑も作り、最後にチューリップ畑を労働者コマで取り合う。限られた土地をときに協力し、ときに競い合って利用するという、実によく作りこまれたゲームである。
 ゲームはまず春から。自分の風車や小屋の周りにタイルを配置し、その先にまた小屋や風車を置く。畑はほかの人と共有できるので、うまく相乗りしたい。一方、最後のチューリップレースでは、風車を起点にチューリップ畑を取り合うので、布石を打っておくも大切だ。
 夏になったら、堤防を置いて干拓を進める。湖がタイル4枚以下で、全てのタイルに風車があれば陸に変わる。干拓に参加した風車は、参加賞としてチューリップタイルがもらえる。チューリップタイルは買うと高いので、この参加賞目当てで風車を作るのもアリだ。風車を作れば作るほど、グレードの高いチューリップがもらえる。
 秋は収穫。まず天候カードで、洪水や干ばつのチェックをする。天候が悪いと作物が減って計算が狂うことも。自分の小屋や風車に隣接するタイルから、作物や牛タイルをゲット。
 冬にはこのタイルで風車・小屋・チューリップ畑を買ってもいいし、次の春に植えてさらに殖やしてもよい。6年経つか、湖がなくなったら、チューリップレースに移る。
 チューリップレースとは、労働者でチューリップ畑を奪い合う最終決戦である。労働者は、チューリップ畑を1つ作るたびに1人もらえる。これを自分の風車から、順番に1人ずつ置いて、チューリップ畑を占拠していくのである。ほかの人が作ったチューリップ畑でもよい。結局は、占拠したチューリップ畑の得点で勝敗が決まるので、労働者を増やすことと、ほかの人が入ってきにくいところにチューリップ畑を作ることがポイント。そうは問屋がおろさないけれども……。
 というのも、先にどんどんチューリップ畑を作ってしまうと、その分畑が減って収穫が少なくなり、買い物ができなくなるからである。かといって、嬉々として畑ばかり作っていると、労働者もチューリップ畑も少ないままゲームが終わってしまう。どのタイミングでチューリップ畑に転換するかが難しい。
 プレイ時間は2時間を超え、時間切れで途中終了となったが、畑を増やして潤沢に買い物しているcarlさんと、割と初期からチューリップ畑に手を出して汲々の私とで、どっちが勝つことになったのか、再戦したいところである。
 

じたばた泥棒(Der verrückte Räuber / M.ルートヴィヒ / ゴルトジーバー, 2006)

憶えられそうで憶えられない

ゴルトジーバーは、メジャーなのになかなか日本に入ってこないメーカーだ。ジンバトイズという親会社が大企業なので、小口の注文に対応できないらしい。もっとも、フィオーレとハッペルというデザイナーコンビが作り続けるファミリーゲームシリーズ(『お金は匂わない』『ヴェネツィアの柱』『サバの女王の神殿』『アッコン』)は、ドイツ年間ゲーム大賞やドイツゲーム賞から遠ざかっているので、需要が見込めないのかもしれない。
 このゲームは子どもゲームのデザインであるが、遊んでみると大人でも舌を巻くような難しい記憶ゲームだった。9マスの「隠れ家」の中に泥棒が隠れており、隠れ家が前後左右に動く。一緒に移動している泥棒はどのマスにいるかを当てる。
 ポイントは、隠れ家の中にある4枚のしきり。泥棒は位置によってしきりに引っかかったりスルーしたりする。なので隠れ家を移動するときは、1回1回注意深く観察して、泥棒が一緒に移動したのか、それとも動かなかったのかを見極めなければならない。
 隠れ家をセットしたらまず6回移動して、それから順番にダイスを振って、その数だけさらに移動する。矢印が出たら盤面を90度回転。警察マークが出たら、今泥棒がどこに隠れているかを当てる。座標カードを出して一斉にオープン。当たっていれば獲物カードをゲット、外れれば前に取ったのを返す。獲物カードは1~3点があり、取ったカードが少なくても運がよければ勝てるかもしれない。
 隠れ家の中の壁やしきりに泥棒がぶつかると、カチッという手ごたえがある。この手ごたえが見失った場合に復帰する手がかりとなるが、ときに紛らわしいことも。はじめて当たった場合と、すでに壁際にいて改めて当たった場合の見分けがつかないからだ。自分が思ったのと違うところでカチッという音があったりなかったりすると、思わず混乱に陥る。
 というわけでカチッという音ににすっかり翻弄された私はカードを取っては失うのを繰り返し最下位。一番取ったのはcarlさんだったが、鴉さんが3点カード連取で1位。

上陸(Landgang / R.ヴィティヒ / ギゼー, 2008)

つい欲張ってお縄

昨年ギゼーというマイナーなメーカーから発売されたこのゲーム。同人もびっくりの真っ黒な箱で、ボードは布素材。でも調べてみると、1989年に発売されたヴィティヒの作品のリメイクであった。よくこんなゲームを見つけてくるなあと感心。
 目標は、見張りがゴールにたどり着くまでに、自分の船員を全て酒場に入れること。酒場はいくつもあり、1つの酒場に船員が1人なら6点、2人なら各2点、3人なら各3点、4人なら各4点、5人以上なら0点になる。酒場に入らなかった船員は-2点。
 見張りが進むのは、船員が船員を飛び越したとき。1人飛び越すごとに1歩進む。さらに、ダイスの目は使い切らなくてもよく、残った分だけ見張りが進む。ゲームを早く終わらせたければ、近くの酒場に入って、後はダイス目を残して見張りをどんどん進ませることだ。そういう人が出る前に、できるだけ奥の酒場に逃げ込んで独占したい。
 見張りの位置を見ながら、奥に行くか、今すぐ入るかを判断していくのだが、見張りの進み方はプレイヤーの選択次第。奥に行く人が増えれば見張りが進み、近くに入る人が多ければ進まない。そんな見張りとプレイヤーの相互依存関係が、ゲームを面白くしている。
 遠くに進もうと自分の船員を並べてみたものの、ゲームが恐ろしい速さで進んでマイナス終了。欲張りすぎた。簡単なルールで、しかもダイスでコマを進めるといういまどき感の漂うスゴロクが、ここまで面白いことに驚いた。これは20年経ってもリメイクされる価値がある。

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