秋葉原水曜日の会11月26日

秋葉原水曜日の会11月26日

仕事や行事続きであわただしい11月下旬、何とか時間を捻出して秋葉原に足を運ぶ。今回は朝から新幹線で山形に行って、昼にまた新幹線で東京まで戻っての参加。先週は2歳の長男を連れて顔だけ出した。我ながら執念だなと思うこともあるが、余暇は日常の活力の源でもある。大切にしたい。

悪童ルーピノヨーヨーテネキーレースフォーザギャラクシー拡張パワーボートエックス・ホップ忍者VS忍者

悪童(Böse Buben / M.シャハト / シュミット, 2000)

悪童押すな押すな

ゴブリンたちが、押し合いへし合いしながら繰り広げる数比べゲーム。シンプルな作りのかげに細部まで作りこまれており、日本では未紹介ながらシャハトの隠れた名作といえるだろう。
 最初にみんなが持っているカードの構成は同じで、1枚ずつ5つの列のいずれかに置く。3枚たまったところに置くと、一番最初に置かれていたカードが押しのけられる。こうして常に3枚で争い、自分の色の数字の一番高い人がその列を制するという仕組みだ。
 競りのような感じで、はじめは弱いカードから置かれ、後からは1位を目指してだんだん強いカードが置かれるようになる。しかしその後にまた弱いカードを置いて、強いカードを押しのければ1位を奪取できるところが面白い。
 またカードの半分は特殊効果があり、列を入れ替えたりできる。どの列にカードを置いて、どの列をいじれば自分に一番有利か、じっくり考えなければならない。
 1つの列で4枚の脱落が出るとラウンド終了となり、その時点で列ごとに1位は賞金をゲット。それから脱落したカードを、お金を払って回収できる。でもお金は最後に勝敗を決めるものだから、無駄遣いしてはいけない。残りラウンド数を考えながら、ほどよい数を回収することだ。
 カードの置き方が下手なのか、中盤までほとんどレースを取れない。そこでばんばん回収するほかの人をよそ目に、回収をほとんど放棄。手札はずいぶん寂しくなったが、結局これが奏功してビリだけは免れた。特殊効果も含め選択肢は多いので考えどころが多く、静かにじっくり遊ぶようなゲームになった。なけなしの強いカードが押しのけられたときは、心の中で叫ぶ。

ルーピノ(Loopino / K.アドルング / アドルングシュピーレ, 1997)

スイーッと滑っていくカード

目標カードに向かってカードを投げ、近くに止まったカードが得点するゲーム。カードは手裏剣を回転させるように投げる。イルカが海の中をすいすい泳いでいくような、そんな幻想的な雰囲気のおかげでこのゲームがおバカなアクションゲームにならずにすんでいる。
 テーブルのコンディションによってずいぶん変わりそうだが、今回の秋葉原YSのテーブルは、手前がなぜか滑らなくて、奥に行くとよく滑るという難コース。手前で撃沈するか、滑ってテーブルの外に落ちてしまうかというカードが多い中、2回目でもうコツをつかんだ草場さんが2枚もカードを近くに集めて1位。ゲームにしては珍しいことをしているので、ギャラリーがついた。

ヨーヨー(Yoyo / H&W.クーン / アミーゴ, 1998)

上って、下がって

数字を高下させながら手札を出し切ることを目指すカードゲーム。見た目がほとんど『ウノ』で華がなく、遊んだことがある人もクソつまんないと言っている。でもそう言われるとかえって気になってしまう天邪鬼たちで遊んでみた。
 青いカードはアップ、赤いカードはダウン。青いカードを出されたら、その数字以上のアップカードを、赤いカードにはその数字以下のダウンカードを出さなければならない。ただし、同じ数字ならばアップとダウンを反転できる。上に、下に数字が行き来するさまはまさにヨーヨー。
 出せるカードがなければ山札から引かなければならない。20(最高数)のアップカードとか1(最低数)のダウンカードなんて出されたら、出せるカードがなかなかない。「もっとゆっくりアップしてよ~!」
 助けになるのが黄色のカード。アップダウンのどちらのときでも、どの数字でも出すことができ、しかもスキップやドロー2など『ウノ』でおなじみの特殊効果が発動する。ただしドロー2は山札からではなく、ほかの人の手札から。さらに「カオス」という恐るべきカードがあって、全員の手札を集めてシャッフルし、同じ数だけ配りなおす。これは衝撃的。ドロー2で手札を引かれて終了とか、カオスで手札が1枚だけになってすぐ終了とか、意外でドラマチックな結末がある。あとは連番なら何枚でも出せるというルールもあり、ゲームはいつ終わるか分からない。
 わりと淡々とプレイされたが、それでもあまりに楽しくて3回連続プレイ。これは面白いですよ。

テネキー(Tenakee / M.フェルトケッター / アミーゴ, 2008)

フタをするのは私

みんなでトーテムポールを積み上げて、それを早い者勝ちで奪い合うカードゲーム。2005年にオルフェスシュピーレというところから出ていたゲームを、アミーゴ社がメジャーデビューさせたようだ。アミーゴ社は、こういうパターンが多い。R.シュタウペをはじめ、目利きがいるのだろう。『ビザンチン』『ポイズン』『テネキー』と、今年もアミーゴのカードゲームの面白さは他社を寄せ付けない。
 自分のデッキから3枚を選び、順番に出す。カードには点数が書かれているトーテムポールカードと、フタをして自分のものにする先端カードがある。先端カードの枚数は全員同じだ。3枚出し終わったら、また3枚選ぶ。
 トーテムポールは全員共通で作り、常時3本しかない。どれくらい高くなったところでフタをして手に入れるかは悩むところだ。欲張りすぎればほかの人に取られてしまうし、低いうちに取りにいっては点数が伸びない。さらに悩ましいのは、先端カードを手札に選ぶかどうか。すごく高くなっているのに誰も先端カードをもっていなくて次のラウンドに持ち越しになったり、逆に低いままで泣く泣く先端カードを置いて引き取らなければいけないこともある。先を読んだり、裏をかいたりと、シンプルなカードゲームなのに心理戦が深い。
 これに味付けをしているのが、女の子の乗った先端カード。これでフタをするには、その前に男の子のトーテムポールがなくてはならない。男の子のトーテムポールは誰が出してもいいので横取りもできる。一種の予約のようなものだが、予約と同時に縛りにもなっているというすごい仕掛けだ。
 ゲーム中1度は期待したい棚からぼたもち的な状況に恵まれず、裏をかいたつもりが相手の援助になるばかりで振るわず。先端カードのカウンティングは重要そうだが、4人だとほぼ不可能だし、そこまで深読みしないで、その場その場の思惑を読みあいながら気楽に遊ぶのがよいだろう。

レースフォーザギャラクシー拡張(RftG – The Gathering Storm / T.レーマン / リオグランデ, 2008)

どこで爆発するか

ここでクロアチア人のAさんが登場し、遊ぶことになったのが拡張入りの『レース・フォー・ザ・ギャラクシー』。私はやりこんでいないので、どれが拡張のカードなのか分からないくらいだったが、使いどころが決まればものすごい爆発力のあるカードが入っているようだ。
 巷は『ドミニオン』旋風だが、彼はどちらも遊んだ上で『レース・フォー・ザ・ギャラクシー』のほうが面白いという。コンビネーションの多彩さと、ゲーム全体を通して考えられる戦略性が理由だという。ソロプレイ色が強いのは確かだが、行動選択には相手の動きを読むところもある。その分、プレイアビリティは下がるわけだが、『ドミニオン』によってこちらが廃れてしまうことはないだろうと思う。
 Aさんが生産施設を増やし、1回の交易で10点くらい稼げる体制を作ってダントツ勝利。私は最後までちまちまとした生産しかできなかった。「次はもっとうまくやれそう」という感触が、このゲームを繰り返し遊ばせる原動力になる。

パワーボート(Powerboats / C.v.モーゼル / クワリ, 2008)

止まれなくて暴走

スタートからブイをいくつか回って湖を一周するレースゲーム。スピードを出しすぎると止まれないというコンセプトは、97年のドイツ年間ゲーム大賞作『ミシシッピー・クイーン』を彷彿とさせるが、ダイスを入れることで、スピーディな展開が楽しめる。
 自分の番にはダイスを±1個まで増減して進む数を決める。前に振ったダイスは振り直しても、振り直さなくてもよい。振り直さないという選択肢があることによって、堅実なレース運びもできるようになっている。
 進む数が決まったら、ボートの向きを±60度まで変えて進む。問題は前方に島などの障害物があって進む数を使いきれない場合。そのときは、強制的に最も進める方向に進まなければならない。スピードが出すぎていると、とんでもない方向に暴走してしまい、復帰が難しくなるので注意が必要だ。どの方向でも進みきれない場合はダメージを喰らい、スピードが0になってしまう。堅実に少ないダイスでゆっくり進むか、リスクを犯してダイスをどんどん増やすか。
 リスクを省みず、しかもダイス目に恵まれたITAXさんがぶっちぎりの1位。早すぎです。私は堅実すぎて4位。面白かったのは5位と6位のデッドヒートで、一度はリタイアしかけた爆走タムラ号が最後に大逆転で5位に入ったのは見ていてとても盛り上がった。

エックス・ホップ(Ex & Hopp / R.ドーン / ラベンスバーガー, 1996)

どうぞお取りください

カードを並べてチップを取ったり押し付けたりするゲーム。若手有望デザイナーのR.ドーンが出した2番目のゲームである。
 予めプレイヤーの色が決まっており、めいめいが自分や相手の色のカードを好きな列に置いていく。チップの点数と同じ枚数だけカードが並べられたら、合計の一番大きい色のプレイヤーがそのチップをゲット。黒チップはプラスだから嬉しいが、赤チップはマイナスなので押し付け合いになる。
 だから基本は自分のカードを黒いチップへ、相手のカードを赤いチップに置くことになるが、黒いチップしかないのに、自分の色のカードが手札にないなんてこともある。そのときはトップ目に点数が行かないように注意しなければならない。2位や3位にさせることで回避することができる。
 たいへん面白いルールとして、手札を出す代わりにほかの人とカード交換ができる。その場合は数字を言わずに、色だけをいって交換に応じる人を募る。トップでない人同士が協力体制になってカードを融通しあうこともできる。こういうひとひねりが、後に大成する秘訣だろう。
 黒チップを取るたびに赤チップがやってくる始末で、合計は辛うじてプラスという程度。「どうぞどうぞ」などと言って押し付けあっていたが、交換を使ってもう少しうまく立ち回れたような気がした。

忍者VS忍者(Ninja versus Ninja / T.ギーワラ / アウトオブザボックス, 2004)

相手の陣地深く入り込む2人用ゲーム。2つの4面ダイスを振って、合計数だけ忍者を動かす。相手の陣地に入って、無事に帰ってこられれば、その深度に応じて得点になる。忍者は1回だけ曲がることができ、相手の忍者のマスに入れば捕獲。深く入れば入るほど、捕獲されやすくなるし帰りにくくなるという次第である。
 しょぼいダイス目が出ると相手の陣地に行くことも、相手のコマを取ることもできないわけで、ほとんど何もできず負け。フルカラー彩色の見事なコンポーネントなのに残念。

上へ前回のゲーム会レポート一覧トップページ