エッセン国際ゲーム祭 10月23~26日

開催中に現地で遊んだゲームの写真入りレポート。

薔薇の名前シカゴエクスプレススペースアラートジャイアントブロックバスターユカタンマチュピチュの王子川のフィーバーコムニカーヴムウィンドリバードミニオンモニュメント

薔薇の名前(Der Name der Rose / コスモス)

薔薇の名前最後まで隠し通す

敵の正体を探り、自分の正体を隠し通すゲーム。カードを出してコマを移動し、そのコマのポイントを増減する。増減の仕方と、途中で明かされるカードで少しずつ相手の正体が分かってくるのだが、ゲーム終了時に予想ラウンドがあるので、最後の最後まであからさまなことができない。ドイツ語のイベントカードが少々。『アンダーカバー』は単純すぎて飽き足らないという方に。最初に思い切りマイナスを食らってマークを外した神尾さんと、前にも後にもならないようにして目立たないようにしていた能勢さんの勝利。

シカゴエクスプレス(Chicago Express / クイーンゲームズ)

その鉄道は誰のもの?

アメリカを舞台に、5つの鉄道会社の株を競りで買い、鉄道を延ばし、配当を増やす。これだけ聞くと敬遠したくなる人もいるかもしれないが、60分弱とかなり軽い。株券が少なくてすぐ売り切れになることと、鉄道延伸のコストが安くてどんどん延ばせることによるものだ。その展開の速さは爽快ですらある。鉄道会社はプレイヤー固有のものではなく、どの鉄道会社がどのくらい得なのか分かりにくいが、見えてくると至るところに駆け引きが隠されている。序盤から積極的に株を買いにいった笹山さんの勝利。

スペースアラート(Space Alert / チェコゲームズ)

緊急事態発生!

船員たちが宇宙船を外的の攻撃から守るリアルタイム協力ゲーム。3方向から襲ってくる敵に合わせて、船員たちが船内を移動し、持ち場から電力を送ったりビームを撃ったりバリアーを張ったりする。1番の特徴はCDを使う点。「注意、注意! 敵がレッドゾーンに出没」などの指示にあわせてカードを引き、攻撃ゾーンに配置する。コマは話し合いながら自由に動かしてよいが、CD終了後に再び元に戻して検証することになっている。敵の出現順・手番順にアクションが処理されるので、ビームを撃ったのに敵がまだ来ていなかったり、電力が補充される前にビームを空打ちしてしまったりといったハプニングが笑う。ビームボタン押し係となった笹山さんの活躍で、3機も撃ち落とした。でもこれはあくまで練習ラウンド。本番には緻密に攻撃しないと撃墜できない外的がどんどん出現する。英語のCDが聞き取りづらいので要注意だ。

ジャイアント(Giants / マタゴー)

ご利用ありがとうございます

モアイを石切り場から切り出して海岸まで運ぶゲーム。競りでモアイを手に入れ、労働者を配置してモアイを移動し、海岸に立てる。さらに帽子を運んで頭の上にかぶせると得点アップ。だが、一番の見どころは、ほかの人のモアイの移動を手伝ってポイントを稼げるところだ。ポイントは稼げるが、同時にほかの人の手も進めてしまうというジレンマ。相乗りして相互に恩恵のある状態を作り出せるかが勝敗の鍵となる。能勢さんが要所要所に自分の労働者を配置して皆からたくさん利用され、また自分も相乗りで遠くまでモアイを運んで高得点で1位。私はほかの3人と別方向に一人で黙々とモアイを運んだために、効率が悪くて最下位。モアイのコンポーネントが素敵で(帽子がきちんとかぶせられず、崩れないようにそっと乗せるのがプレイアビリティを下げるが)、イースター島の雰囲気がよく出ていた。

ブロックバスター(Block Buster / ヴィジョナリ)

囲んで攻めて

韓国のメーカー、ビジョナリ社の新作。レゴのようなブロックを並べて、マークの周りを過半数で囲んだ者が得点する。同じマークを集めるほど得点になるが、盤上の陣取りは熾烈でなかなか取りにくいかもしれない。新しいブロックは、同じ色のブロックにつなげておく。つなげないで2マスまで離れたところから始められるが、その場合はマイナスポイントになってしまう。マイナスポイントをもらうことで活路が開ける場合もあるので、マイナスポイントを恐れてはならない。マイナスポイントを受けないまま空きスペースをたくさん作った私が1位。先手を取りたい箇所がいくつも出てきて悩ましい。

ユカタン(Yucatan / ウォルフファング)

ピラミッドができる日はいつ

奴隷を集めてピラミッドを建設するポーランドのゲーム。戦士コマを移動して村を襲い奴隷を持ち帰る。奴隷3人ごとにピラミッドを1階増築。戦士がほかの戦士に襲いかかると、じゃんけんの仕組みで勝敗を決める。両方のコマを裏返して、ジャガーは蛇に、蛇は鳥に、鳥はジャガーに勝つ。倒した相手も奴隷になるので、村が減ってくるとリベンジ合戦になる。取って取られて、取られて取って。将棋のような進退がある。

マチュピチュの王子(Die Prinzen von Machu Picchu / PD出版)

村を回って捧げ物

生産や捧げ物を通して名誉点を増やす重量級の戦略ゲーム。作者はエッガートシュピーレによるロンデル三部作の作者ゲルツ。自分のコマをマチュピチュのエリアを移動してそこのアクションを行う。隣接しているエリアなら無料だが、離れたところに行くにはラマが必要。ここはロンデルのシステムが取り入れられている。アクションの中には先着1人というのもあって、選択の順番はよく考えなければならない。アクションには、とうもろこし、ラマ、コカ、壺、布の生産や売買、神殿での捧げ物、それから手下を増やして生産能力を上げるものなどがある。神殿で捧げ物をすると、斥候のメーターが進んでカードを手に入れられる。このカードに指示された手下が最後に得点になる。カードを集めつつ、手下を増やす。カードは伏せられ、得点状況が最後まで明らかにされないのがミソだ。

川のフィーバー(Flussfieber / 2Fシュピーレ)

押して押されて流されて

フリーゼの新作は『フィロー』よりもさらにファミリー向けのレースゲームだった。3枚の手札から1枚出して自分のコマを進める。ボードには急流の箇所があり、移動後にその上にいると矢印に向かって流される。進む場合も、流される場合も、先にコマがあると前に押しやられるところがポイントだ。押しのけられた自分のコマが前に進めるか、脇に追いやられるかの位置取りが重要で、パズルチックである。『暗闇のフロア』よりは見通しがよいが、次にどうなるか予想がつかない。渋滞を抜け出した能勢さんが快走して1位。ストーンRさんと私はお互いに吹き溜まりにはまってしまった。ボードがたくさん入っていていろんなコースを楽しめるようになっている。

コムニ(Comuni / テンキゲームズ)

豊かさは荒廃のもと

イタリアの都市が街の豊かさを競う。建物カードを入札で手に入れ、自分の前に並べる。これによって得点や資源が手に入る。資源には金、石、巡礼者、戦士があり、入札を有利にしたり、建物をたくさん建てたり、街を守ったりするのに使う。ポイントはゲーム中4回発生する内乱で、得点が進んでいればいるほど危険が大きい。戦士で鎮圧しないとマイナス点になってしまう。この戦士は両手に握るが、右手はイタリア全体への貢献、左手は自分の都市だけへの貢献となる。イタリア全体に多く貢献した人には、勝利点が与えられる。発展した都市に見合う戦士を用意できるかが勝敗のカギだ。この内乱のほか、入札で負けたとき、建物を建てる順番、最後の得点計算など細部にいたるまでよく作りこまれている。

カーヴム(Cavum / QWG)

一筆書きで宝石集め

クラマーがオランダのメーカーから発表した作品は、山に穴を掘って宝石を集めるタイル配置ゲームである。六角形のタイルにはトンネルが描かれており、道がつながるように置く。その上に発掘タイルを置くと宝石が出てくる。最後に、予め置いてあったキューブからキューブへ一筆書きで進みながら宝石を集める。ほかの人のキューブは通れないので、うまくブロックして自分だけの発掘現場を作るのがポイントだ。集めた宝石は、競りや契約カードで得点にできる。手持ちの契約カードに従って、計画的に必要な宝石を集めなければならない。これが基本だが、ほかにも手番順の競り、ダイナマイトによる爆破、街からの得点など、細かく作りこまれている。積極的に初手番を取った能勢さんが宝石をかき集めて1位。すごく考えるゲームである。

ウィンドリバー(Wind River / アルゲントゥム)

前に回ってバッファロー取り

今年のニュルンベルクで出展されていた作品がようやく製品化となった。バッファローとともにゴールを目指す情報完全公開ゲーム。手番にはまずバッファローを進める。そして自分のテントのマスにバッファローがいればセーフ、いなければキューブを1個払う。その後でテントを移動させる、余剰のバッファローからキューブを得る、キューブを使ってテントを増やすなどから1つ行う。ほかの人より前にテントを置かないと、どんどんバッファローを持っていかれてしまうので、先を争うような展開になる。能勢さんがゴール間際に真っ先に入り、皆が連れてきたバッファローを独り占め。その余裕で新しいテントを作り、次々とゴールさせて1位。神尾さんもたくさんテントを作ったが、途中で食料がなくなってしまった。展開は早いがシビアである。

ドミニオン(Dominion / ハンス・イム・グリュック)

はまり系カードゲーム

今回のフェアプレイで1位になったカードゲーム。アメリカのデザイナーの作品で、リオグランデが手がけたものをハンス・イム・グリュックがドイツ語にした。『レース・フォー・ザ・ギャラクシー』に続きリオグランデは今ドイツでも存在感を増している。
アクションカードでカード交換やほかプレイヤー攻撃などのアクションを行い、お金カードで新しいアクションやお金や得点を買う。とても面白いのは使ったカードが捨て札にならず、デッキの中で循環するところ。使ったカード・購入したカードは山にしておいて、山札から補充できなくなったら切り直す。カードはどんどん増えていくが、手札は基本5枚なので、グレードアップをしていかないと厳しい。カードは500枚も入っているが、テキストがあるのはほんの少しなので遊びにくいことはない。しょっちゅうシャッフルしていなければならないが、その間に次の人が始められるので待ち時間も少ない。

モニュメント(Monuments / アバクス)

出せば出すほど価値が上がる

カードを出してピラミッドや万里の長城を建て、歴史家コマで価値を上げて得点を増やす。モニュメントをたくさん建てればいいというわけでもなく、歴史家コマを適切なタイミングで出して一気に得点したり、少数のモニュメントに集中して価値を上げたりと多様な戦略が取れる。『ズーロレット』くらいの軽さで遊びこみがいのあるゲームである。歴史家をうまく使った神尾さんの勝利。