連休明けの秋葉原。ある雑誌の取材を受けていたため、いつもとは違う作務衣姿で参加したらコスプレと騒がれてしまう。まもなく第150回を迎えるということでいつもよりさらに人がたくさん訪れ賑わっていた。150回といったら、月に2回遊んでいるサークルだって6年以上かかる計算である。そんなゲーム会に主催者のタナカマさんをはじめほとんど毎週のように参加している人もいる。このゲーム会が急速に築いてきた歴史に思いを馳せた。
私の世界の見方|80日間地球一周|サメ警報
私の世界の見方(Wie ich die Welt sehe… / U.ホシュテトラー / アバクス, 2004)
アダルトに遊ぶ
「○○―エロいね!」のお題は盛り上がった。タナカマさんが採用したのはEtaroさんの「サランラップ」だったが、ほかに「火山の噴火」とか誰が出したのか傑作ぞろい。笑いすぎて咳き込んでしまうほどだった。
私の番では「レオナルドダヴィンチはこんなものまで発明した。」hiroさんの「火」は大ウケだったが、あえて「ウォーターベッド」を選んだところこれがNG(山札からランダムで引かれたダミカード)。いつもは結構性格を読んで得点を上げるのだが今回はそんな失敗もあって振るわず。でも今回もたくさんの傑作が出て大いに笑った。
80日間地球一周(In 80 Tagen um die Erde / W.クラマー / ラベンスバーガー, 1987)
カードを次々と出して世界一周するクラマーのボードゲーム。2005年にドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた作品とタイトルが似ているが、これは20年も前の別ゲームである。
カードには象、列車、船、ラクダの4種類があり、風車コマで示されているカードだけを出すことができる。風車マスに止まるか、風車カードを出せば風車コマを動かすことができ、さらにカードをプレイできる。大きいマスに入ればもう1回。こうしてカードプレイ→風車マスでカードプレイ→大きいマスに入って風車カード→さらにカードを出して進む、というようにとんとん拍子に上手くいけばどんどんカードを出して進むことができる。となりの人を3マス戻す指名手配マス/カード、良くも悪くもいろんなイベントが起こる望遠鏡マスがあり、波乱万丈の展開を生む。
手番にはカードを出すか補充するかのいずれかで、補充は2枚までできるがゴール時には2枚以下にしなければならない。最後は出せるカードがなくてなかなか上がれないため、デッドヒートが生まれるようになっている。
序盤から私がどんどん先に進む。「直後の人まで戻る」なんていうイベントカードもあったが運よく引かず快速ペース。スタートからカードの組み合わせが悪くてぜんぜん進めなかったよたろーさんが一気に10マス進んでみんなを驚かせたが、その直後にちょうどいいカードが来て私がゴールした。カードを出す順番など考えるところもあるが、引き運が強い古きよき時代のボードゲームといったところか。
サメ警報(Hai Alarm! / J.ゼメ / ドライマギア, 2008)
サメとイルカというたった2種類のカードしか使わないというブラフゲーム。作者は『ごきぶりポーカー』のゼメ。ルールを聞いただけでは分からない面白さがこのゲームにもある。
全員1枚ずつ自分の前にカードを伏せたらスタート。手番には自分のカードをめくるか、手札から追加するかを繰り返す。自分の前にサメがオープンになったら、ほかの人の手札をめくって奪うことができる。サメだったら相手は山札から1枚補充し、イルカだったら代わりに自分のサメをあげる。
目的はほかの人より単独でサメ3匹分多くする(サメ警報)ことか、イルカを7枚表にすること。ただしサメ警報が発令されたとき、イルカを5枚オープンできた人がいたらその人の勝ちになる。
ルールは直感的に分かりづらいが、遊んでいるうちにどういう楽しさがあるか分かってくる。サメを表にしてしまった人はまずサメで仕掛けるだろう。ほかの人が伏せて置いているカードをどんどんめくってサメを探す。そこでほかの人はイルカを仕込むだろう。イルカがめくられるとサメをゲットできる。ならばその人もサメを集めて勝とうとするが、サメの数が拮抗すると勝負がつかない。そのうち誰かがイルカを着実にめくり始めて……この1枚はサメか、イルカか? 相手の顔色を見ながら悩むのである。
1,2回目は序盤でサメがどんどん出てきたため、サメ警報があっさり発令されて終了。それを見てからの3回目はまったく展開が違った。2人がサメの数を競い合っているうちにほかの人がイルカを着実に揃えてくる。これがイルカだったら終わり、サメだったら終わりという究極のめくりを何度か繰り返して熱戦が繰り広げられた。しびれる~!
『ごきぶりポーカー』より分かりにくいが楽しさは匹敵。たった2種類でこんなゲームができてしまうことにとても感心した。
魔法にかかったみたい(Wie verhext! / A.ペリカン / アレア, 2008)
予言者と魔女の親方がひそかな人気
前回は絶好調だったが、今回は同じ職業を狙う人とまずくかぶって振るわなかった。正攻法としては緑のカードで材料を集めて青のカードで得点にするというのが基本になるだけに、小さい飲み物を着実に手に入れる予言者と毎回違う呪文で得点を上げる魔女の親方は裏をかいた結果バッティングしやすい職業である。自分の手札にはほしい職業ばかりでなく、ほかの人の動きを封じるためだけに捨て札にするカードを少し混ぜておくのがいいかもしれない。下家がスタートプレイヤーを取ってくれると有利なので、時には下の段で誘導を試みるという戦術も考えられる。ただのバッティングゲームではない、手番の流れを見据えたカード選択もこのゲームにはあって面白い。
パレード(Parade / bone5 / グランペール, 2008)
不思議の国のアリスの行列にカードを加えながら、はみ出してくるカードをできるだけ引き取らないようにするゲーム。昨年のゲームマーケットで骨折ゲームズから販売されたものを、今年グランペールが製品化した。イラストは『クク』の齋藤由加氏。
はじめに何枚か並んでいるアリスの行列。その最後尾に1枚、手札からカードを加える。すでに並んでいるカード枚数よりもカードの数字が大きければセーフ。でも小さいときははみだしたカードの中で退屈チェックを行う。
退屈チェックは、はみだしたカードの中で、同じ色と、数字が低いカードを引き取るというもの。うまくいけばたくさんはみだしていても引き取らないですむこともある。引き取ったカードは色別にして自分の前へ。これが失点になる。
さらに面白いのは、色別に一番多く引き取った人は数字ではなく枚数が失点になるところ。数字の大きいカードを引き取ってしまったら、積極的に同じ色を集めて色のトップを目指したほうがよくなる。最後に手札から2枚を自分の前に入れるというルールもあって、終盤はあえて取るという選択も出てきて面白い。
今回は6人で遊んだのに全員失点が20点以内というシビアな展開(ふつうは誰かがガマンしきれず引き取りまくって大きく沈む)。上手く取ったつもりが、かろうじて最下位を逃れる程度であった。
カタン(Catan / K.トイバー / ハナヤマ)
お店に来ていたアメリカ人のジョセフさんという方に声をかけて、娯楽堂さん、きんどーさんと4人でプレイ。今TGWのアンケートでも聞いているが、「カタンは定番」といっても新作が次々と出てくる今、遊ぶことはかなり珍しくなってしまった。
早々と騎士賞、道賞を取って独走するジョセフさんを3人で止める展開。2位につけていた娯楽堂さんが4位のきんどーさんに資源を援助して道賞を取らせたところに感心した。こういうマルチプレイ的な一手はやりこんだ人なら当然のことかもしれないが、私には思いつかない手である。
私はといえば材木港を取り8で材木を量産する体制を整えた途端に8が出ない。特定の数に特化していたこともあって後半の2~3周を何もできない状態が続き、ずるずると後退した。もっとも、負けてもダイス目のせいにできるのがカタンのいいところかもしれない。そんなことでは上達しないけれど。