未プレイゲームや国内であまり紹介されていないゲームを遊ぶことが多い秋葉原。当たり外れがあり、どちらかというとハズレのほうが多くなるものだが、付き合って一緒に遊んでくださる方々に感謝。
ゲームの欠点を指摘することはたやすいけれども、その欠点をポジティブに捉えて楽しむくらいの余裕をもちたい。特にデザイナーの意図が強く反映されるドイツゲームにおいては、ゲームはデザイナーからの挑戦ともいえる。なぜデザイナーはそんな風に作ったのかをあれこれ考えると、ちょっと遊んだだけでは分からなかったことが見えてくるかもしれない。
ビッグポイント|モンテカルロ
ビッグポイント(Big Points / B.ディット、W.ディット / シュミット, 2008)
ゲーム内容はこちら。クニツィアの『ツタンカーメン』に似ているが、どのコマは誰のものでもなく、得点は最後まで決まらないところが新機軸である。写真はニュルンベルクで配布されたサンプルで、製品とは異なるものなのでご注意を。
序盤は何を取ればいいか分からないのでランダムに。そのうち中盤になるとほかの人が集めている色を睨みながら集め始めるようになる駆け引き。そして終盤は必要な色を取れるか、ほかの人が必要な色を取らせないかをよく考えて。わずか15分程度の間にゲームの面白さがいっぱいである。
2色を徹底して揃えた月斎さん。その色を高得点にするため階段に上げたが、その分コマが取れなくて得点が伸びず。全色を集めて白で5点を取るほうが今回は成績がよかった。
モンテカルロ(Monte Carlo / W.クラマー / ASS, 1976)
チップでタイルのパターンを予想し、そのタイルを皆で置いていくゲーム。クラマーが30年以上前に発売したゲームだが、その輝きは少しも失われていない。
まずタイルが配られ、配牌を見ながらチップで予想するフェイズ。12枚のチップを好きなところに置いて当たれば配当がもらえるのだ。パターンは一列全部揃う、数字が全部揃う、色が全部揃う、列グループがグループより多い、色グループがほかのグループより多い、両斜めが揃う、ひし形に揃うの7種類。基本的に自分がタイルを置けそうなところに予想するので、ほかの人の予想も見ながら確率の高そうなところに張る。
さて予想が終わったら今度はタイルを置くフェイズ。予め配られているタイルから、1枚ずつ置いていく。果たして自分の予想は見事当たるのか? 作為と駆け引きがまた熱い。
ほかの人の予想に乗る人が多い中、私は敢えて独自路線でビッドしてみた。予想が多かったからといって皆がそこにタイルを置くわけではない。むしろ皆が置くだろうと安心して別のところに置いてしまう場合も多かった。そのためタイルは意外に散らばっていく。その追い風で単独ビッドがが当たり、僅差ながら優勝となった。
プレイ感覚が似ている『メンバーズ・オンリー』が発売されるのはこのゲームの20年後である。ドイツゲームの歴史の深さを思い知った。
しまった!(Dumm gelaufen! / H.ビュッケン&D.ハンネフォルト / ラベンスバーガー, 1998)
マーフィーの法則カードゲーム。とはいってもゲームで出てくるマーフィーの法則は「黄色で7枚以上」とか「4以下で5枚以上」というものだ。この法則に合うように手札を交換する。
手札の交換は山札・捨て札か、ダミープレイヤーの「マック君」と。1枚出して2枚もらうか、2枚出して1枚もらうかを行う。マーフィーの法則が達成できたら手札を公開して1点。3点先取で勝利となる。
苦しいのはマーフィーの法則に関係ないカードが混じっていてはいけないこと。「黄色で7枚以上」ならば緑や赤を全部捨てなくてはならない。さらに苦しいのは、次のラウンドも同じ手札で臨まなければならないこと。黄色を揃えろといったすぐ後に緑を揃えろって……翻弄されまくりである。指定のカードがもう山札に埋まっていて絶望的な場合もある。
でも中にはアクションカードが入っていてマーフィーカードを交換してしまったり、手札を一気に捨てられたりとどんでん返しが待っている。最後まであきらめてはいけない。やすやすさんが最後の難しいマーフィーの法則を達成して3枚先取し優勝。あれこれ考えてみても始まらない、運任せでままならなさを楽しむゲーム。
レース・フォー・ザ・ギャラクシー(Race for the Galaxy / T.レーマン / リオグランデ)
3回は遊べ
ゲーム内容はこちら。あと1回ぐらい遊べば
アイコンに慣れるまで手間がかかり、はじめは確認しながら遊ばなければならないのでテンポはあまりよくない。全員が慣れて、複雑なコンボをミスなく処理できるようになって初めてこのゲームの真価が問われるだろう。その意味で初プレイ評価はどこでやってもあまり高くならないと思われる。
今回は消費施設を建てないままで高い建物に欲を出してしまった。それでせっかく生産しても消費できずダブついてしまい、1、2ラウンド停滞。勝利点チップも入ってこない。結局その高い建物の勝利点も満たせず最下位に沈んだ。1位は大量生産・大量消費のコンボを作り上げた田村さん。
一度遊ぶと、どの建物・惑星が今ほしいのかがだんだん分かってくる。手札を引いたときに出てくる多種多様なカードにワクワクし、どれを作れば一番効率がよいのか悩む。少ないラウンドで選んだ建物・惑星がうまく稼動したときの嬉しさ。ここまで楽しめるならば、ソロプレイ感はあまり気にならないほどである。同時プレイのため時間も短いし、カードの種類が多いので展開もさまざま。1日中遊んでいても飽きないと誰かが評価していたが、その気持ちが分かるような気がした。
イン・ファイティング(Inn-Fighting / R.ハインスー / ホビージャパン, 2008)
有名なRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』をテーマにしたダイスゲーム。昨年アメリカで発売されたものを、ホビージャパンが日本語化して発売した。RPGの素養がなくても遊ぶことができる。
ダイスを振ってダメージを決め、ほかのプレイヤーのHPを奪って自分の勝利点にするというのが基本。特製のダイスにはゲンコツ、イス、雷という攻撃の目がある。ゲンコツなら左の人、イスなら右の人、雷なら勝利点の一番多い人を狙う。20面ダイスを足して、自分のカードのキャラクターによってダメージを決める。一緒にいる野次馬の特殊能力を攻撃に使うこともある。殴られたほうは防御ダイス。うまくいけばダメージを受けずに済んだり、HPを回復したりできるかもしれない。キャラクターによってダメージや防御が違うので、特性を生かした攻撃がポイントになるだろう。
酒、ダイスというイベントの目はキ次の人にキープされる。これを3つ揃えられた人はHPを回復したりカードを増やしたりできる。いい目が出るよう、気合を入れて振りたい。
やすやすさんの攻撃が好調で、冒険者も野次馬も次々と倒し1位。パラディンが何度も防御に成功してHPを削らせなかったのも奏功した。冒険者がやられると次の冒険者が自動で引けるので愛着が湧きにくいが、とにかく殴りまくり殴られまくりのドタバタダイスゲームである。