咳が止まらなかったが今週も秋葉原へ。帰ってから熱を出してしまった。ゲームサークル袋小路の規約には「体調不良の際は欠席する勇気を持ちましょう」とあるが、全くその通りである。実際、救急車で運ばれた人がいるという話も聞いた。愛好者たるもの、ゲーム中に死ねれば本望だろうが、一緒に遊んでいる人には堪らない。健康あってのゲームということで。
ペッキングオーダー
ペッキングオーダー(Pecking Order / R.ガーフィールド / イモータルアイズ, 2006)
鳥の止まり木を争う2人用カードゲーム。『マジック:ザ・ギャザリング』の作者ガーフィールドによる。カードにテキストを入れたりせず、特殊効果も極力絞って、「え、これだけ?」と思うほどシンプルにできている。
争うのは1~10の止まり木。自分のデッキから1枚カードを引いて、好きなところに裏にして置く。相手のカードが同じ木に置いてあれば挑戦。相手のカードだけめくって、挑戦したほうが勝敗(カードの数字の大小)を判定する。これを13枚のカードで繰り返して、終了時に支配している止まり木のポイント合計が多いほうの勝ち。
相手のカードだけめくって勝敗を判定するというのが面白さの源泉で、挑戦された相手は何のカードが出されていたを推理しなければならない。より大きなカードを出して奪還するか、その止まり木はあきらめるか。
数字の大きいカードも無敵ではない。1枚だけジャガーのカードがあり、相手のカードを除去してしまう。そのためポイントの高い止まり木にわざと数字の低いカードを出しておいて、ジャガーで除去させてから主役登場という手もある。
ギャザとは長い付き合いだという月斎さんがまるで心中を見透かしたかのように次々と撃破していって負け。先手後手を替えて2回ずつ、4ラウンド遊ぶことになっているが、遊んでいるうちに相手のクセが見えてきて面白くなるだろう。ルール説明に時間がかからないので、2人でちょっと時間が空いたときにでも。
ミミック(Mimic / D.クック / ファンメーカー, 2006)
4枚のカードをうまく並べてセットを作るゲーム。メーカーもデザイナーも無名だが、クレバーなシステムに感心する。このごろ急速にアイテムを増やしているホビージャパンの取り扱い。
カードは中央の赤い星印カードから前後左右に並べていく。手札から2枚のカードを並べ、同じ色のツーペアを完成させた人は自分のキューブを置くことができる。キューブを最初に全部使った人の勝ち。
カードは7×7の列内に置かなければならず、ツーペアを作るときは障害物(外壁やスタートカード)にぶつからない限りはまっすぐ置かなければならない。ツーペアができるたびに新しいスタートカードが置かれ、新しいチャンスになることもあれば単なる妨害にしかならないこともある。手札と場札をにらめっこして、完成できそうな列を探そう。
このほかに場札を移動したり除去したりできる特殊カードが使える。どうしようもなくなったときや、終盤に一気に片を付けるのに使いたい。
しむしゅさんが特殊カードをうまく使ってキューブをなくし1位。カードが置かれるたびにセットを作るカードが絞られてきて、最後の1枚がなかなかこない。公開の補充札があるが、何を補充したかばれるとラインを潰される恐れがある。場札からラインを見つけるひらめきも加わって、賢い選択を毎回迫られる好ゲームだと思う。これほどの水準が、国際的なスタンダードなのだ。
ペンギン(Penguin / R.クニツィア / ファンタジーフライト, 2007)
手持ちのペンギンコマを出して重ねていくゲーム。ファンタジーフライト社が子ども向けにリリースして、作者がクニツィアとあっては注目してしまうが、対象年齢はかなり低い。
ランダムに配られたペンギンを、順番に1個ずつ出す。1段目のは8つまで。2段目に重ねるときは、1段目で挟まれたペンギンのどちらか一方の色でなければならない。出せなければパス。こうして誰かが手持ちのペンギンを全部使い切ったときに、残っている分だけマイナスポイントだ。人数分ラウンド行って、マイナスポイントの一番少ない人の勝ち。
大人がやると、自分が持っていない色のペンギンを早々につぶして大量失点をさせたり、わざと積みにくくして後の人を困らせたりといった意地悪プレイも考えられるが、ゲームはそういう遊び方でデザインされていない。和気藹々と、何色が置けるかを子どもたちに判断させ、気をつけてペンギンを上手に重ね、順番を守って遊ばせるという、ゲームの基本を学ぶゲームであると感じた。
ミッション・レッドプラネット(Mission: Red Planet / B.カタラ、B.フェデュッティ / アスモデ, 2006)
ロケットに飛行士を乗せて火星に飛ばし、行き先で陣取りをするゲーム。フェデュッティが『操り人形』風の秘密職業選択を取り入れ、さらにドイツゲームの王道である多数決陣取りを加えたゲームとして注目される。
9種類の職業カードは全員1枚ずつ持っており、好きなものを選んで伏せて出す。1番から順番にコールされるので、コールされた人は自分の職業を明かして手番を行う。手番にはまずロケットに飛行士を乗せ、職業の特殊能力を使う。
- リクルーター…飛行士1+使用済みキャラクターを手札に戻す
- 探索者…飛行士1+火星にいる自分の宇宙飛行士を3つまで移動
- 科学者…飛行士2+イベントカードを引くか、探索カードを見る
- 秘密諜報員…飛行士1×2台+定員に達していないロケット1つを発射させる
- 破壊工作員…飛行士1+離陸していないロケット1つを破壊する
- 悪女…飛行士1+他の宇宙飛行士を自分の宇宙飛行士と入れ替える
- 旅行代理人…飛行士3を1つのロケットに置く。置けるロケットがなければパス
- 兵士…飛行士2×1+外側ゾーンの宇宙飛行士を1人殺す
- パイロット…飛行士2×1+ロケット(離陸していてもよい)の目的地を変更する
後ろになるほど高い効果があるが、その分後回しになるので自分の番が回ってくる頃には状況が変わっていることもある。また、ゲームは10ラウンドしかないので使う職業は延べ10種類。いつリクルーターを使って手札に戻すかも重要だ。う~ん、悩ましい。
さて、飛行士を乗せたロケットは定員に達すると自動的に離陸し、全員の手番が終わると表示された目的地に飛行士を下ろす。こうして火星への入植が進んでいくのだ。ロケットに飛行士を乗せるときの行き先の選択も勝敗の鍵を握るだろう。
勝敗の行方を分からなくしているのが、科学者が引いてくるイベントカード。これによって火星のゾーンでポイントの配分が変わったり、ボーナスポイントが入ったりする。勝敗に大きくかかわるが強弱の差が激しく、歓迎しない声も多い。しかし終盤、見るからに飛行士の配置が偏っていて勝ち目がなさそうな人にもチャンスが与えられるのはよいゲームの条件であろう。
高得点のゾーンを少ない飛行士でものにしたFRTSさんが1位。無闇に飛行士を送り込むだけでなく、ほかの飛行士が乗ったロケットを破壊したり目的地変更したりして来ないようにするといった防御策も光った。
これだけの分量があるゲームにしては60分強で終わり、3回の決算ラウンドの間がどんどん狭まっていくのでゲームが引き締まる。何よりも宇宙へ飛び立つというテーマがゲームでうまく表されていてロマンを感じるのがいい。
取る(Toru / 作者不明 / ハズブロー, 2005)
ゲーム内容はこちら。無駄なまでに豪華なコンポーネントが、ゲームを妙に盛り上げる。
フェイントもただ取るふりをするだけでなく、「うわっ、ジュースこぼした」とか「天井から水が落ちてきた」とか適当なことを言って注意を逸らすのがポイント。『そっとおやすみ』もそうだが、そんなメタゲームも楽しめるようになるともっと面白くなるだろう。真剣に黙々と遊んでいたんでは得意不得意もあるだろうし、単なる反射神経のゲームになってしまう。
ジョーカーのチップが実はワナ。揃ったんだか揃っていないんだか躊躇している間にほかの人が揃って取られてしまったりもする。こんなちょっとしたスパイスが嬉しい。
ファブフィブ(Fab Fib / S.アルベルタレッリ / キダルトゲームズ, 2004)
ちょっとした時間でも遊べ、10人までできるということで重宝するゲーム。カウンティングがほとんど意味をなさない以上、ウソかホントかの判断材料は確率がちょっと、あとはその人の顔色にしかない。もちろん、自分の顔色も読まれないように。「951の5と1を捨てて~おっと8と7!」「その数はありえないでしょ」「でも引いちゃったもん」……一体どこまでが本当なのか。ブラフゲームとは他人を騙すゲームではなくて、自分を騙すゲームなのだ。ブラフゲームは数あれど、ギャンブルの要素もあってほんと飽きないゲーム。入手が難しいのが惜しい。