ゲームマーケット前日、妻の実家に友人を招いてゲーム会。bone5さん、つくりみちさん、かゆかゆさん、ずーあーさんにお出で頂く。このメンツなら大丈夫だろうと次々とチャレンジングな未プレイ品を投入、デザイナーの意外な一面を垣間見ることができた。
グル
グル(Guru / H.&A.オシュターターク / プフィフィクスシュピーレ, 2006)
秘密の布教使で信者を集める宗教ゲーム。エッセン出展3年目となったプフィクスシュピーレの新作。だがそのテーマが災いしてか、日本で発売されていないばかりかドイツですらあまりレビューを見ない。それどころか、メーカーのサイトまで落ちていて大丈夫なのか心配だ。
各プレイヤーはグル(尊師)となり、3人の布教使が与えられる。布教使は背景、顔、行動によって15種類あり、拝金なら拝金、ブタ顔ならブタ顔というように自分と同じタイプの信者だけを集めることができる。
中央の場は通りがかりの群集。手番にはここから自分のセミナーに引き込んできて自分の前に並べる。ほかのグルのセミナーにいる人と交換してもよいし、気に入らなければ追放(捨て札)してもよい。
ある程度集まったらまとめて施設へ。これらが信者となり、最後に寄進してくれる。どんどんセミナーに集めて施設に送ろう。しかし、あまり派手にやっているとライバルに目をつけられるかもしれない。
教団には危険がつきものだ。ライバルのグルはどんなタイプの人が信者になったのかを見て、布教使は誰なのか予想してくる。告発されて、布教使を当てられると、その布教使が集めた信者さんは寄進しなくなってしまう。告発される前に、布教使を消してしまおう。その布教使はもう使えなくなるが、それ以前に集めた信者はきちんと寄進してくれる。ひぇ~、なんてブラックなゲームなの?!
テーマも十分に生かされていると思うが、ゲームとしてもよくできている。カモフラージュのために同じ種類を集めすぎないこと。信者をあまり並べすぎるとばれやすくなるから、こまめに施設に送ること。ほかの人が勘付きそうになったら一足お先に布教使を抹殺。ブラフをかまして告発を誤らせ、弁償金をもらうという手もある。
序盤からあからさまな布教を続けていたつくりみちさんやずーあーさんは告発され続けて沈没。私もカモフラージュに腐心する間に見抜かれて、すぐ告発されてしまった。bone5さんが絶妙なタイミングで抹殺して圧勝かと思われたが、顔のパターンを取り違えるという手痛いミス。カードのパターンがかなり見分けづらいのである。最後はかゆかゆさんに勝利が転がり込んだ。信者のカードはどれもすでにイっちゃっていて、目の前に並べるだけで気持ち悪くなってくるくらいだが、インパクトの大きさに一役も二役も買っていた。夢に出そう。
コロッセウム(Colosseum / W.クラマー&M.リュプケ / デイズ・オブ・ワンダー 2007)
ローマのコロシアムを経営して、興行で客を集めるゲーム。昨年『クレオパトラと建築士』を発売したデイズ・オブ・ワンダーがまた、超ゴージャスなコンポーネントで臨んできた。しかもデザイナーがクラマーとあっては注目度も自ずと高まるというものであろう(共同作者のリュプケは『星降る金貨』などを発表し始めた新人)。
ゲームの目的は入場者数で最高記録をマークすること。ゲーム中、何回か興行ができるが、そのうち1つでマークすればよい。前の興行は収入や集客につながるものの、実績を積み重ねていく必要はない。これで最後まで脱落しないで遊べるようになっているところに感心する。
すべては入場者数のために! プレイヤーは順番にコロシアムを増築したり、新たなプログラム(30番まである)を買ったり、そのプログラムに必要な人や物のタイルを集めたりしていく。人や物を中央から競りで手に入れて、お互いの状況を見ながらほかの人と交換・売買しながら集めるところは、ゲームの心臓部分だ。たっぷりと愉しみたい。
用意が整ったら興行だ。まずサイコロを振って貴族を移動。ボード上を巡回している皇帝、元老議員、執政官たちをうまく自分のコロシアムに呼び込めば、さらに集客が増える。興行を宣言して、集客数を記録する。入場料が入るから、そのお金で次のラウンドにはさらに大きい興行をめざせるだろう。
建築あり競りあり交渉ありダイスありの、要素がたっぷりとつまったゲームをここまで見事に纏め上げられるのは、クラマーをおいてほかにはいるまい。一般のご家庭にあるテーブルでははみ出しそうなボード、彩色された貴族コマをはじめ、数々のタイル・チップがゲームの雰囲気をさらに盛り上げる。
皇帝席を早めに設けたかゆかゆさんが、貴族を呼び込んで勝利。私はこれをケチったため、貴族がなかなか訪れてくれず閑古鳥が鳴いた。タイルの引き運と貴族コマのダイス運にだいぶ影響される気がするが、初プレイ2時間級のヘビーゲームで濃密な時間を送ることができたと思う。
概要シートをplay:gameに登録したので、お持ちの方はご利用下さい。
マーロー(Marlowe / U.ローゼンベルク / ザラゲームズ, 1992)
6人の容疑者の中からアリバイがない犯人を見つけ出すカードゲーム。時間旅行ボードゲーム『タイムズ』と共にローゼンベルクの処女作である。すでにローゼンベルク特有の手品のようなカードさばきがゲームの中に織り込まれており、天才の片鱗を感じた。
6人の容疑者にはそれぞれ3枚ずつ「アリバイなし」か「アリバイあり」のカードがあり、1人だけ3枚とも「アリバイなし」になっている。これが山札から出てくるたびに両どなりに見せ、その人たちの行動からほかの人も、何となく犯人を絞り込んでいく。
これと同時に犯人を告発するカードと、犯人の証拠となるカードも集める。山札がなくなったら各自予想をして、種明かし。犯人を当てた人と犯人の告発カード・証拠カードが得点になる。
ある程度は絞り込めるが、ゲームが終わるまで1人だけに絞るのはかなり難しい。最後はあてずっぽうで予想したエミリオが犯人で得点が入ったが、エミリオがほかの容疑者を告発するカードをもっていたためにマイナス。予想と同時に、手札のマネージメントも要求されるというゲームである。ローゼンベルクがこの後『ボーナンザ』を発売するまでもう5年。
インスピレーション(Inspiration / W.&U.クラマー / ラベンスバーガー, 1993)
2つの絵を組み合わせて、言葉を連想するゲーム。多作で数多くの対象作を有するクラマーだが、夫人がクレジットされているゲームは、このゲームを含め3作しかない。
親はカードをランダムに引き、裏を見る。裏には単語とカード番号が入っており、2枚のカードを並べてその組み合わせで指示されている単語を当ててもらうようになっている。カードを並べたら、砂時計を返して一斉にスタート。子は2枚のカードから連想される単語を早く当てることを競う。
例えば右の写真、何だと思いますか? 正解は「木目」……ってそのままかい!(正確にはちょっと違うみたいですが)。こんなのはまだ分かりやすいほうで、親がどんなにヒントを出しても連想しえない単語が続出していた。bone5さんの見事なヒラメキでかろうじてゲームが終わったときはホッ。
全然分からない理由は、クラマー夫妻の用意した答えがぶっとんでいるからではなくて、答えがドイツ語だからである。「ワッフルの焼き型(Waffeleisen)」のようにドイツ語では1つの熟語になっていても、日本語では2つに分かれてしまうことが多い。熟語になっていないと、まともに答えられないものだ。日本語にするには、絵から作り直さなければならないだろう。残念。
宝ダイバー(Die Schatztaucher / R.クニツィア / シュミット, 2006)
海に潜ってタイルに特殊な光を当て、財宝を集めるボードゲーム。昨年のクニツィアは『万里の長城』や『ブルームーンシティ』など往年の作風を残しながら、『ジェネシス』や『ヘックメック』などダイスゲームでも活躍しているが、ここにきてギミック系とは、ほんとうに手広い。
2つのダイスを振って、どんどん深くに潜っていく。コマが止まったところで、ボタンを押すとタイルの上に光線を照射。魔法のインクで、中にあるものが浮かび上がってくる(光を当てないと見えない……不思議)。気に入ったらゲットして手番終了、気に入らなければさらに深くに潜ることができる。ただし両方のダイスで×が出たらバーストだ。
宝は各種類あり、種類ごとにボーナスポイントもある。笑ってしまうのは、光線を当てて宝だと思ったら海草(0ポイント)などということ。芸が細かい。やはり海の中は暗いので、ときどき見間違ってしまうものらしい。ダイスのバーストも、深いところまで潜るのが難しい海の様子をうまく表している。
潜る前からいきなりバーストだったり、タコの怪物と戦って負けたり、ボーナスも間に合わなかったりでいいところなしのビリッケツ。でも、めくったら海草だったり、あとちょっとのところでバーストしたりするたびに、妙に笑えて楽しいゲームだった。記憶の要素があって、大人でも十分遊べるだろう。
ブタは空を飛べる?(Können Schweine fliegen? / S.ヘスラー / コスモス, 2004)
生物の特徴を学ぶ教育ゲーム。2004年の年間ゲーム大賞で推薦リストにも入った。
動物タイルを5枚めくって、親はそのうち1つを選び、その動物の特徴を答えシートで確認する。そして「卵生」「夜行性」「二本足」などの特徴タイルに1つずつチップを置いていくので、子は「この動物だ!」と思ったらストップをかける。当たっていればポイント。
もうひとつ、動物タイルを1枚だけめくって、当てはまる特徴タイルにチップを早置きするというゲームというゲームでも遊べる。対象年齢によって遊び分けるのがよいだろう。
動物によっては、特徴が10以上あるものもあって、簡単だと思ってはいけない。ラクダにはヒヅメがないことを初めて知りました。