昨年は平均すると月2回ほどの参加となり、ボードゲームライフの中心となった秋葉原水曜日の会に、今年初参加。この会で知り合った仲間と新年のあいさつをするのも楽しい。今回も時間短めでバラエティに富んだゲームを存分に楽しんだ。
トリック&トリート!
トリック&トリート!(Trick & Treat / 池田康隆, ハッピー翼 / ゲームリパブリック, 2006)
昨年末にゲームリパブリックから発売されたばかりのカードゲーム。ルールは簡単だが人数やメンバーに合わせて魅力が変わるという、カードゲームのお手本のようなゲームだ。
最初に配るのは4~6色の番号が振られたカード。場に「ペア」「スリーカード」など4つのルールが書かれたカードが並び、親はその中から1つを選ぶ。全員手札からカードを出し、親が決めたルールで勝敗を決め、得点をもらう。これを繰り返して得点の最も多い人が勝ち、というルール。
10種類のルールはどれも難しくなく、すぐ飲み込める。「ペア」「スリーカード」のように揃えて出すものから、「シングルカラー(親が出した色で数が大きい人が勝ち)」「センター(全員一斉に出して、数が中央の人が勝ち)」などのように1枚で決着するもの、「ミニマム(2枚を出して合計の少ない人が勝ち)」といった弱いもの勝ちになるものなど多彩。1つのカードゲームで10倍おいしい。
しかし人数少なめでフリークが遊べば別の深みが出る。点数はルールによって異なり、そのときの順位状況で高得点のものを一か八か狙うか、低得点のものを手堅くいくか変わる。そのため親が選ばなかった残り3つのルールから手札の内容を推理することも可能だ。それに配りきりで同じカードはないので、どのカードが出て、どのカードがまだ出ていないかというカウンティングを加えれば、勝率は上がってくることだろう。色によってカードの枚数が違うので、カウンティングするときその傾きがニクイ。
さらにその上で最も悩むのが手札のマネージメント。スリーカードがあったとして、後半手札が少なくなったときに「スリーカード」を選ぶため温存するか、別のルールで勝ちにいくため崩してしまうか。今度はルールのカウンティングまで必要になってくる。う~ん、深い。
1回目はスリーカードを早めに崩してしまって終盤めくられたので、2回目は温存作戦。捨てに行った勝負も意外に勝てたりしてトップ。ハロウィーンのお菓子争奪戦というテーマも斬新で、パーティーゲームとしてもよし、ガチンコ対決もよし、完成度の高いゲームだと思う。
シティー(City / W.クラマー / ジャンボ, 1988)
街にお店を開いて、上客を招き儲けるゲーム。ドイツゲーム界を代表するゲームデザイナーであるクラマーが『フォーラム・ロマーナム』と同じ年にオランダから発表した作品だ。妙に大きいボードとコマが圧倒的。
はじめは適当に客(コマ)とお店(チップ)を置いてスタート。手番にはサイコロを振り、好きな客のコマを動かす。客には黒の大金持ち、青の中産階級、茶色の一般ピープル、そして赤の万引屋がいて、止まったところに店を構えている人に収入や被害がある。
客のコマには鼻がついていて、分かれ道までは一方向、分かれ道で方向転換する(戻るのはダメ)。ほかの人がどこに出展しているかを手がかりに客の流れを読んで、儲けるチャンスを増やそう。
お金がたまったら新しい店を買ったり、すでにある店を拡張したりして収益率アップ。でも拡張したお店に万引屋が入ると被害も倍だから気をつけて。交差点にあるデパートは、そこに客が止まっている限り自分の番に収入が入り続けるというオイシイ物件だ。出店や拡張にはお金がかかるが、ぜひ押えておきたい。
上級者ルールとして、お金がなくなったらお店を半値で売らなければいけないヴァリアントを今回は採用。そのため序盤は儲ける→出店→万引で損害→店を売るが続出して停滞した。誰か捕まえてよその万引屋を! 出店・拡張すればチャンスは増えるが、コストを考えるともうしなくてもよい時期は必ずやって来る。資金繰りは計画的に! みやぎさんが終盤、拡張していたデパートで大商いになり、そのままぶっちぎり。私は序盤のダイス目が悪く全く収入がなかったのが響いて届かなかった。
上級者ルールにはさらに、お店が連続して並ぶと収入が増えたり、プレイヤー間でお店を売買できるようになったりして、より戦略が増える。モノポリーl。未的な進行だが、お金を払うのはプレイヤーではなくお客さんなのがすさまなくてよい。
トップレース(Top Race / W.クラマー / ASS, 1996)
競りで手に入れたマシンを優勝させるF1レースゲーム。クラマーの作品で、同作者の『エルグランデ』と同じ年にドイツ年間ゲーム大賞にノミネート、ドイツゲーム賞では10位と、金の羽根賞を取っている。もとは『ニキ・ラウダのF1(NikiLauda’s Formel 1)』という作品で1980年にドイツ年間ゲーム大賞ノミネート作品。メイフェアの『デトロイト・クリーヴランド・グランプリ』はじめ4回もリメイクされているという、いわゆる名作である。今回持ち込んだのは2002年版。
配られたカードには、どの色の車が何マス進めるか書いてある。これを見てどの車なら力を出せそうか考えながら、車を競る。競りは1枚ずつランダムな順番で行い、全員1台は担当できるようにする。これで車を決めたらレーススタート。
レースは1枚ずつカードを出して車を進めるが、カードに指示された車は全部進むところがポイント。中には全色進むカードもある。そこで自分の車だけを有利に進めていくには、「前の車でコースを塞がれると進めない」というルールを巧みに使わなければならない。ちなみに同じルールを使った『アベ・カエサル』(『キュージェット』のドイツ語オリジナル版)は1989年の発売。実はこのゲームが元になっているというわけだ。
さらに上級者ルールとして、1台がコース途中の黄色い線を越すたびにレースの勝者を紙に書いて予想するというヴァリアントがある。自分の車に予想して勝てば一番儲かるだろうが、無理そうだと思ったら他の人の車に賭けてもよい。1位をピタリと当てれば、2位の賞金ぐらいの配当を得ることができる。でも外れたらマイナスだから、穴馬は注意。カードの中には特定の車まで一気に進む「スパート」と、反対に特定の車が来るまで待たなければいけない「パンク」があるから、これを使ってどんでん返しを演出したい。
本当は3レースだが時間の都合で1レースのみ。中盤までマークを避けて3位くらいにつけていた私の青号にほかの人が応援してくれて、第4コーナーを回ったところで1位、そこから一気に加速して勝った。第3コーナーと第4コーナーはヘアピンで、渋滞が起こりやすく(F1なのに……)、つなきさんがはまっていた。唯一2台を担当したFRTSさんは力が分散して2台目の車が赤字。
自分の番が来るまでにほとんど全ての車が動いてしまうのでカードによるコントロールが効きにくいが、ヘアピンカーブやゴール前の位置取りとデッドヒートが熱い。
トリュフ探し(Trüffel-Schnüffel / M.ニキシュ / ハバ, 2006)
磁石のブタ鼻を鼻につけて目当てのトリュフを探すアクションゲーム。メビウスママさんの実演写真を見て購入したものだったが、子どもゲームとは思えない仕掛けの多さで、単なるアクションゲームではない。
砂時計が落ちきるまでに、カードに指定された4種類のキノコを探し出すのが目標。キノコのタイルは全て裏返しになっており、磁石の鼻にくっつけて、同梱の鏡に映して見分ける。何という芸の細かさ。
お目当てのトリュフだったら箱の中の黄色の小部屋へ、そうでなければ赤の小部屋へ。注意しなければならないのは、お目当てのトリュフでも同じものが2つ目だったら赤の小部屋に入れなければならないこと。たった4種類だから簡単な記憶に見えるが、制限時間の焦りと豚鼻のヘンな姿勢のため意外に難しい。
小部屋へは壁にこすり付けたり、首を振って振り落としたりして入れる。この磁力があってなかなか落ちさまがまさにブタそっくり。本ルールでは箱を手で押さえてもよいとあるが、今回は大人だけなのでNGにしたらさらに難易度アップ。
1人ずつやるのでほかの人はゲラゲラ笑いながら見ている。これが恥ずかしいが、2周目、3周目になって勝敗がかかってくると、どんどん恥も外聞もなくなって本物のブタになりきっていく。1周目は恥ずかしそうに、2周目はテクニカルに、3周目はブタになりきって。「ブヒー」とか鳴き声をあげてしまうから不思議だ。
勝敗に関してはタイルの中に1枚だけ混じっている金のトリュフが重要。金のトリュフコマ(木製)を手に入れるが、新しく金のトリュフをめくった人がいると奪い取られてしまう。プラティニさんが驚異の集中力で金のトリュフまでもぎ取り1位。つなきさんが編み出した首振りだけでトリュフを落とす方法は、うまいこと小部屋に入れにくかったが、なんかいい汗をかいた。
ハンディ(Handy / C.ハンディ / シンプリーファン, 2005)
指でやるツイスターゲーム。メーカーであるシンプリーファンは、『犬の散歩』といい、このゲームといい、ルールが超簡単で強烈なインパクトのあるゲームを作り続けている。今度の新作は5分でセッティングできて30分で終わる「シンプリーカタン」だとか。注目したいメーカーだ。
プレイヤーは両どなりの人とチームを組んで勝敗を競う。隣り合うプレイヤー同士で5指のカードからランダムに1枚めくり、対応する指同士にボールをはさむ。次は時計回りに次の2人。1周目は何とかなるが、使うのは片手のみで2周目は相当キツイ。落としてしまったボールは没収。こうしてボールを落とすたびになくなっていき、なくなったボールをはさむ2人組が負け。
勝敗はさておき、「この角度でいこうか」「おっととと、そこ落ちる落ちる!」「そこよりも、こっちこっち!!」と全員連帯でパニックになっていくのが大笑い。「野郎だけでやるゲームではない」という意見もあったが、いやいや、「手さばきがいい」とか、「柔軟性がない」とかあーだこーだしゃべりながら楽しめる……たぶん。
「マジシャン」タナカマさんがポロポロこぼして、私と一緒に負け。悔しい。
セパレーツ(Zeparate / G.ラップ / ゴルトジーバー, 2005)
4人まで遊べるアブストラクトゲーム。トミーダイレクトから発売された『スピン・アンド・トラップ』と並んで、ゴルトジーバーが昨年のニュルンベルクで発表したものだ。
自分の色の4つのコマを1つずつ並べて大きな島を作ったらゲームスタート。手番には縦か横の1列を1マスずらす。ただし単独でいるコマはずらせない。
ずらした結果、島が2つに分かれると小さいほうの島が取り除かれる。これを繰り返して、自分の色のコマを全て、最も早く取り除いたら勝利。
取り除かれる島はたいてい1つか2つだが、島の形によってはいきなりどっさり取り除かれたりして油断できない。見落としをなくし、先の先を読む思考力が要求される。
1回目はボケボケなプレイで敗北。気を取り直した2回目は、一か八か大量に取り除く手を打ってみたが先を読みきれていなかった。つなきさんの勝利。私は苦手だが、長考しなければブロックスよりもさらに短い時間で終了し、かつ上達できるのでやりがいはあるだろう。コマがずらしやすいように作られているところに好感がもてた。
ダイヤモンド(Diamant / B.フェデュッティ, A.R.ムーン / シュミット, 2005)
ゲーム内容はこちら。もう古典の風格を備え始めた超定番級ゲーム。新版でボードがなくなったことを残念がる声もあるが、お値段高めの輸入ゲームの中で安価で手に入れやすいことのほうが大きいと思う。
進むも戻るも独り占めが一番美味しいが、その誘惑がえてしてアダになる。「チキンだ」とか「もう帰ったほうがいいぞ」とか言いながら、8人で盛り上がった。私はここで帰ったが、こういう手軽で盛り上がるゲームが最後に来るととてもいいゲーム会だったなぁという思いを強くするものだ。