秋葉原水曜日の会 06/06/07

秋葉原水曜日の会 06/06/21

第51回秋葉原水曜日の会に昼過ぎから参加。参加人数は12~14時ごろは4~6人で1卓立つぐらい、14~16時ごろは6~10人で2卓、16~18時ごろで10~15人で3卓とだんだん増えていく。18時~閉店までは4~5卓立つようだ。1卓で長時間ゲームを始めてしまうと後から来た人の待ち時間が伸びてしまうが、2~3卓になれば、長時間ゲームを入れても他の卓で組替えできるので暇な人が出ない。こういう「いつものパターン」ができてくるとゲーム選択もうまくなるようだ。
 水曜日の会では50回を記念して期間限定のランキングをつけている。だからと言って競技プレイになることはあまりないが、ゲームセンスのある人というのはいるものだと知る。初めてのプレイでもコツをつかみ、すぐに効果的な一手一手を打てるクレバーな人。これはゲーム経験によるところが大きいが、頭の回転を早くすれば経験を十分カバーできる。ややもすると様子見で散漫なプレイになりがちな私も見習いたい。
 今回は個人輸入したゲームを持ち込んだ。いずれも間もなくメビウス頒布会で発送され、一般発売になるだろう。

海賊組合手荷物検査アウグスブルク

海賊組合(Seeräuber / S.ドーラ / クイーンゲームズ, 2006)

海賊組合そんなに集まったら、もう赤字

海賊が徒党を組んで船を襲い、獲物を分け合うゲーム。本年のドイツ年間ゲーム大賞ノミネート。小箱だし、実は金庫破り(Safeknacker,1996)というゲームののリメイクだから今回のノミネートで一番のサプライズだったようだ。作者のホームページでは「海賊組合は明らかに金庫破りの拡張リメイクです。金庫破りに対して今回は船カードを多くし、いろいろな価値の獲物タイル24枚を増やしました。ルールと得点方法も変更し、紙幣はより扱いやすいコインにしています。」と変更の経緯を述べている。

 テーブルに並んだ3艘の船。手番には自分の海賊コマを他の人の海賊コマの上に積み重ねて徒党を作り、人数が揃ったらこれらの船を襲う。船カードには襲撃に必要な人数と獲物などが書かれている。
 獲物の分配方法が独特だ。海賊コマには給料が書かれており、襲撃に加わった海賊にその船で得られた総額の中から給料を払っていくのだが、一番上に乗っている親方は他の全員に配った残りをもらえるのだ。いっぱい残っていれば大儲けだが、足りなかったりすると自分がもらえないどころか、自腹を切って給料を出さなければならない。
 だから下にどれくらいの海賊がいるかをしっかり覚えておきたい。海賊コマは各プレイヤー5個で、下に積まれて隠れているのはさほど多くないし、だいたい覚えていればよいのだから記憶はそれほど難しくない。だが、肝心なところでの記憶違いが積み重なれば勝敗に関わる。
 赤字のリスクを負う代わりに親方はアイテムを獲得できる。アイテムは4種類あるが、ゲーム終了時に種類ごとに一番多くもっている人にボーナス。これを狙って敢えて赤字でも上に乗るという戦法もあるだろう。15艘の船が全て襲われてゲームが終わったとき、アイテムのボーナスも加えて一番お金をもっている人が勝ち。

 3人と5人でそれぞれプレイ。人数によってプレイ感はあまり変わらなかった。どこまで積んでも黒字になるかという損得勘定が面白い。1回目は赤字が発生せず、積極的に攻めたFRTSさんがダントツ1位。2回目はボーナス狙いで必要以上に海賊が積まれ、赤字も何度か出た。「おい、まだ積むのかよ!」と笑いが起こる。ストーンRさんがもっとも高価な宝箱ボーナスを取ったが、それに費やした赤字がたたっていた。
 船によって給料が変わる「?」の海賊がいることで、船の選択に戦術が生まれたり、船が3艘ずつ出てくるので、徒党を組んで次の船団に備える先行投資があったりと、簡単なルールで面白い展開を生み出すことに成功している。ルールを読んだけでは分からない面白さが遊んでみて次々に見出されることは、ノミネート資格のひとつといってもよいだろう。

手荷物検査(Hart an der Grenze / A.ザッツ, S.ハラバン / コスモス, 2006)

悪事の楽しみ

アメリカ国境で、警官の目を盗んで違法な品物を密輸するゲーム。今年のドイツ年間ゲーム大賞推薦リスト入り。もとはブラジルで一般発売されたゲームで、コスモス社が目をつけてドイツ語版にしたという。ボードゲームの国際化が南米にまで及んでいるとは驚く。

箱を開けると一番驚くのはトランクを模した缶。6つそれぞれに模様が施されている。このトランクに毎回5枚の手札から好きなだけ品物を入れる。品物は壺、マラカス、帽子、葉巻、テキーラ、彫像の6種類で、後三者が違法な品物である。全員、トランクの中に入っている品物を申告する。もちろん違法な品物を入れていたらウソをつかなければならない。「はい、マラカスが3本入ってます。」「帽子が2枚」「壺1枚だけです」……正直なふりをして怪しまれないことが大事。
 次に保安官役のプレイヤーが1人を選んで「トランクを開けろ!」と命令する。命令された人は、申告どおりだったら堂々とトランクを開ければよい。迷惑料として銀行からお金をもらうことができる。しかし申告どおりでなかったら、トランクを開けるのはまだだ。まずは賄賂の交渉。「5ドルで見逃してくれませんか?」「もっと出さないとダメだ」「じゃあ7ドルで!」……好きだなあ、こういう展開。
 賄賂を受け取ってもらったら、トランクを開けなくてよい。しかし交渉が決裂して保安官を怒らせてしまうと、トランクを開けて申告どおりでなかった品物を没収された上、罰金を払わなければならなくなる。罰金は銀行に入ってしまうから、直接もらえる賄賂の方が保安官にはメリットがあるというわけだ。リアル!
 こうして保安官を交代しながら1周してラウンド終了。無事に国境を通過した品物を売ってお金にできる。これを3ラウンド繰り返してお金の多い人が勝ちだ。勝つためには、違法な品物をどんどん輸入しても顔に出さず、もし検査が入っても少ない賄賂で見逃してもらう演技力が大切だ。
 そしてもう1つ、荷物をすぐに売らないで最後の決算まで取っておくことができる。毎ラウンド3枚、合計9枚。これは売れれば2倍の価格がつくが、売れる数が決まっている。多い人から売っていき、定数を超えた品物は0ドル。競争率の高い彫像を狙うか、安全な帽子あたりを狙うか。これで一発大逆転も十分可能だ。

 5人プレイ。演技力だけでなく、性格の読み合いもある。「ここであの保安官は私に振ってきそうだから、正直に申告しておこうか」「公正な保安官がまさか同じ人に2回連続で検査をしないだろうから、思い切って密輸しまくろう」……腹の探りあいがたまらなくおかしい。見るからに怪しそうな人、ゲーマー風の人は狙われやすいようだったが、本当はかわいい振りして大人しくしている人が密輸しまくりの大悪人だったりする。
 いつ見つかるか分からない中でこっそり禁制品を運ぶドキドキ感と、保安官になったとき偉くなった気分がゲームを高揚させ、やけに盛り上がった。私は持ち主ということでやけに狙われたような気がするが、そのせいで控えめな密輸しかできず、下位に沈んだ。正直者は損をするという話。

アウグスブルク(Augsburg 1520 / K.ハルトヴィヒ / アレア, 2006)

そして商人は成長していく

16世紀のアウグスブルクを牛耳ったヤコブ・フッガーとなって貴族に金を貸し、その恩でさまざまな特権を得るボードゲーム。アレア中箱シリーズで、発売が遅れたためそれほど話題になっていないが、遊んだプレイヤーからは「ラムと名誉」を上回る評価が寄せられている。作者のハルトヴィヒは同じくアレアから発売されたチャイナタウンの作者。この2作の他はパニングと共同でラッキーループを発表しているのみという寡作のデザイナーだ。

 はじめに配られる貴族カードから、各プレイヤーは初期資金を払って好きなだけ手札を買う。貴族にお金を貸しているという設定だが、現実もそうだったのだろう、貸したお金は返ってこない。
 この手札を使って5人の貴族を順に競る。競りは枚数勝負で、同じ枚数のときだけカードに書かれた数字の高い人が勝つ。数字の高い貴族カードは値段も高いが、こういうときに活躍してくれる。
 1つ競りが終わるたび、競り落とした人は特権カードを選んで特権をもらう。特権は財力、身分、役職という3つのジャンルでレベルを上げたり(レベル1~4)、お金や名声など(10種類)を獲得したりするもので、成長の喜びが味わえるだろう。また、ものによっては早く取るほど良かったり、人数分ないものもあったりと、他の人との駆け引きが生まれることになる。
 競りが終わればレベルに応じてお金、名声、貴族カードを受け取り、次のラウンドになる。これを人数+2ラウンドやって、名声ポイントの最も多い人が勝ち。ルイ14世と比べると、分かりやすいゲーム進行だ。
 このゲーム最大のポイントとなるのが、教会と大聖堂の建築。これがないと名声ポイントにリミットがかかって、それぞれ25点、45点以上は上げられなくなってしまう。ところがこの建築費はかなりのもので、しかも先に建てるほど高い。建築しなければいくら名声が入っても足止めされてしまうし、建築しようと思うと貴族カードの購入を控えざるを得ず、そうすると特権カードの競りが出遅れて得点も伸びないというジレンマ。憎い憎い。

よたろーさんが最高の身分を手に入れて大量得点のチャンスを作るも、教会を建てるのが遅れて全部フイ。もったいない話である。その反対に序盤は身分を抑えて他に投資し、教会を建てて一気に全員を追い抜こうとするスナフキンさん。結局誰も大聖堂を建てられないうちにゲームが終わり、45点に3人がいたが、教会の建築金額が高い順でぎりぎり私の勝利。箱の表示で25~70分だが、5人で2時間。長かったけれどもしびれる面白さと最後まで誰が勝つか分からない緊張があった。今年のゲーマーズゲームとしてはミケリノス王と並んで、郵便馬車を抜く面白さだと思う。

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