秋葉原水曜日の会 06/04/12

秋葉原水曜日の会 06/04/12

わずか1ヶ月休んでいただけで、だいぶ行っていなかったような気がする秋葉原。お店は12時から開くが、はじめの1時間は誰も来ないので本を読んで過ごす。そのうちpuppiさんがフランス人カップルを連れて登場。日本に仕事でやってきたフランスのゲーマーが、Boardgamegeekを通してpuppiさんにコンタクトを取ってきたのだそうだ。
 マイケルさんとクリステルさん。フェデュッティのゲーム会「ルドパティック」に出たことがあり、フラガ氏などとも知り合いだという。今フェデュッティのホームページを見たら、一昨年のレポートに写真が乗っていた(ドス・リオスを遊んでいるところ、手前の二人)。ドイツの最新作は安価な送料で手に入るし、デイズオブワンダーでフランス発のゲームも盛り上がっている。やるなあ、いいなあ、フランス。いつか日本にも憧れのゲームデザイナーに会いに外国人がやってくるような日が訪れないだろうか。
 ルール説明は英語でしなければならないが、始まってしまえばゲームは言葉の垣根を越える。とても楽しいひとときだった。

カリフォルニアトゥロン・ウント・タクシスジャングルスピードタブラ・ラサ盗賊

カリフォルニア(California / M.シャハト / アバクス, 2006)

カリフォルニアあの人にピッタリの部屋を

2003年に「パリス」と「コロレット」で始まったシャハトとアバクスの蜜月は4年目に入った。薄い箱でお得感のあるボードゲームは「ハンザ(2004)」、「チャイナ(2005)」、そしてこの「カリフォルニア(2006)」。ときたま大外れしがちな両者が、タッグを組んで安定感を得ている。

カリフォルニアの豪邸(でも平屋)にカーペットを敷き、魅力的な家具を設置して、たくさんのお客様に訪問してもらおうというゲーム。家具によって、楽器ならミュージシャン、ジム用具ならグラマーなお姉さん、アンティークなら中年のおじさんというようにやってくる客が違う。客が多いほどプレゼントが入り、また同じ種類の家具を揃えるとボーナスが入り、これらの総得点で競う。
 手番には中央の場からお金を取るか、お金を払ってタイルを買うかの2択だけ。お金を取るたびにタイルの値段が下がっていくので、次の人に安い買い物をさせてしまう。しかしお金がなくてはタイルは買えず……いきなりジレンマ。タイルを買うにしても、数に限りがあるから、家具揃えボーナスにつながりそうなもの、他の人が買いたそうなものは早めに押さえておく必要がある。お金を取って、1周した後にほしいタイルが残っているならばまだ幸せ。だが、その保証はない。場のお金かタイルの半分がなくなると、残りは全部捨てられて新しいラウンドが始まってしまう。選択肢は少ないし、時間も短いが、考えることは意外に多い。

 ゲームの展開としては、みんな狙いがかぶらないように仲良くやっていくというのと、お互いにつぶしあって血みどろの戦いにするというのがあると思うが、クリステルさんがいきなり攻撃的なスタートをきって後者の展開へ。客の取り合いでプレゼントもあまり出ず、ボーナスタイルも余る余る。終わってみれば、みんなの前に支離滅裂で殺風景な部屋が広がっていたという。私はアンティーク3つのボーナスがせいぜいで、プレゼントも1個、最下位となった。
 こんなゲーマー展開も生まれるけれども、青の家具(プールやエクササイズマシン)ばかり集めてジム通いの美女を囲っておくとか、勝手にストーリーをこしらえて遊ぶのもよい。そこは、あなただけの部屋なのだから。

トゥロン・ウント・タクシス(Thurn und Taxis / K.&A.ザイファルト / HiG, 2006)

効率よく回ろう

寡作で有名なザイファルト、「プエルトリコ(2002)」、「サンファン(2004)」以来となる発表で、しかもハンス社からという、否応なく注目度が高まる作品。ドイツのウェブ・アンケート企画Sondersiegpunktでは2006年ニュルンベルクの期待作アンケートでアレアのアウグスブルク1520を大きく引き離して1位となっている。今回は奥さんらしいカレンさんとの共同制作。Spielbox最新号の表紙も飾っている。

 中世の南ドイツ周辺を舞台に郵便網を築いていくゲーム。他の人よりも早く、より長い路線を作り、より広い地域に家を建てて勝利点を上げる。短い路線をこまめにつないで稼いでもいいし、長い路線で一気に片をつけてもいい。どのエリアからでもOKで、路線はどのように伸ばしてもいい。手札の縛りはあるが自由度が高いので、勝ち方もいろいろあるだろう。
 手番にできることは簡単で、基本は1枚引いて、1枚並べるだけ。引くカードは場札の6枚または山札から。並べるときは、実際の地図に従って一筆書きになるように。同じ都市に戻ってきてはいけない。
 3枚以上並んだら、その路線を完成させて家を建てることができる。ここで憎い演出があって、「路線の中の1エリアだけ全部か、各エリアに1つずつ」というルールになっている。すなわち1つのエリアの中で路線を作り、集中的に家を投入するという方法と、複数のエリアをまたいで路線を作り、家をまんべんなく散らすという方法があることになる。そこをよく考えて路線を引かないと、せっかく長い路線を作っても家があまり建てられなかったりすることも。各エリアで都市全部に家を建てるともらえるエリアボーナスには、クレバーな路線作りが要求されるのだ。
 ゲームは誰かが家を建てきるか、規定の長さの路線を引いてもらえる郵便馬車を全部集めたらあと1周して終了。各ボーナスがプラス点、建てられなかった家の数がマイナス点で得点を比べる。エリアボーナスは、早く取るほど高い点数になるので、他の人の狙いも視野に入れておかなければならない。

 フランス国境から始めたマイケルさんが要所であるシグマリンゲンとシュトゥットガルトを中心に上手に回ってリード。中央のバイエルンを周囲から攻めて「バイエルン外ボーナス」もゲット、ダントツで1位となった。マイケルさんの下家であるクリステルさんは狙いがかぶっていて、常に先手を取られくやしがる。私とpuppiさんはというと、バイエルンのボーナスに目がくらんでつぶしあい、終盤はなかなか家が建てられなくなってしまう。私は早くからバイエルンに乗り出していたが、レーゲンスブルクがなかなか来なくて涙の雨が降った(※レーゲンスブルク=雨の都)。
 路線はさまざまな方向に広げられるため、思うように他人を妨害するのは難しく、そのため他の人との絡みは各ボーナスを先に取れるかどうかという点に集約される。しかもみんなそれぞれの持ち場で路線を伸ばしているので、1手を争うという場面はあまりなく、ソロプレイ感は強い。それでも、手札をにらみながらの路線プロットはそれ自体、わくわくするものだ。はじめは都市名が把握できなくて迷ったが、1ゲームが終わる頃には地理的な面白さ(インスブリュックとチューリヒがアルプスのため直接往来できないなど)も分かってきた。次回は、バイエルン攻略を中心にした戦術でも強いのか、手札が合っていれば試してみたい。

ジャングルスピード(Jungle Speed / T.ヴァルシェ, P.ヤコヴェンコ / アスモデ, 1997)

紛らわしい図形あり

1枚ずつ手札をめくっていって、他の人と同じ図形なら中央の棒を先に取るリアクションゲーム。フランス製で。
 紛らわしい図形の中に、3枚のアクションカードがある。中央に矢印が集まっているカードは「とにかく中央の棒を取る」、外側に矢印が出ているカードは「全員一斉にめくる」、カラーの矢印が書かれているカードは「次は図形ではなく色が同じなら取る」。外側の矢印で一斉にめくったらカラーの矢印が出てきて、いきなり色勝負になったりすることも。
 手札を早くなくしたカワナさんが勝ち。集中力も大事だが、こういうゲームは得意不得意が割とはっきり出てしまうもので、クリステルさんは遅出しやミスばかりで手札を溜め込んでいた。

タブラ・ラサ(Tabula Rasa / R.クニツィア / W&L, 1999)

カードを出しあって10の島を奪い合うクニツィアの対戦ゲーム。バトルラインの前年、シュピールシュパースから発売されたが、メーカーのマイナーさもあってか、国内ではあまり知られていない。

 それぞれの島に置けるのは色か数字が同じカードだけで、置いてしまったらあとは数字に関係なく枚数で競う。勝てばその島の点数、負けてもカードを出していれば宝箱(1点)、枚数が同じなら両者とも宝箱を取って引き分ける。数字の小さい島は得点も低いが、2島を先取すると5点ボーナスというのがあり、おろそかにできない。
 2人一組が対面して座り、1枚ずつカードを出していくのだが、相談は禁止。自分のカードプレイによって、どこに置いてもらうといいかお互いパートナーに察してもらえるかが勝敗のカギとなる。特に終盤はカードのカウンティングが進む中、どこに1枚を置くかで結果が大きく変わるので相手との連携が大切だ。

 有利不利があるというので先手後手をかえて2ラウンド。第1ラウンドは「1」の島にカードをつぎ込んでしまったが、第2ラウンドでは一転して広く散らす展開となり、お互い焦点を絞りこませない。序盤は、手札を見ながら後半に幅広く対応できるように調整しているはずなので、出したカードの色と数字から、どんなカードがだぶついていてどんなカードが不足しているかを推理した。もっとも、あまりにあからさまな行動は敵側にも感づかれてしまうので、相手の地味な部分を自分の手札も交えて読み解くことになる。そこまでくると読みが当たっている可能性はあまり高くなく、ほとんど勘といってもいいのだが、その努力が多少なりとも報われたのか、しむしゅさん―私コンビが僅差ながら2戦ともに制した。
 1ゲームの時間が短く、ルールも必要にして最小限。それでいて1枚1枚のカードプレイにうんうん悩めるのは、(90年代の)クニツィアならではと言えるだろう。

盗賊(Räuber / W.クラマー / ニュルンベルガー, 2005)

袋にガッポリつめて

昨年出たばかりのクラマーのカードゲームながらあまり話題になっていなかった作品。ドイツでもレビューを見かけないどころか、データベースにクラマーのクレジットすらない。有名デザイナーでも、メーカーがPRを怠ると見過ごされてしまう時代だ。

 記憶を頼りにいくつかの山を同時にカウントアップしていくというキテレツなカードゲーム。29とか70とか書いてある袋に、手札からカードを詰め込んでいく。見えるのは1番上だけ。袋の持ち主が中身を確認して、現在どれぐらいかだけ表示する。ちょうどの数だけつめられれば(例えば28の袋が24のときに4を入れる)、誰の袋でも確保できる。だから記憶が重要。でも袋は9枚も!ゲゲェ。
 分からなくなってしまったらR(盗賊)のカードを出せば、中身を見せてもらえる。でもRのカード自体は0点なので、袋をいっぱいにすることはできない。他の人がマークし始めたら、持ち主はすぐにいっぱいにしようとするだろう。さあ、間に合うか?

 マークしていた袋が一手差でいっぱいにされてしまったり、最後に残った袋を奪うカードが来なかったりと、いいとこなしで最下位。記憶とカウントの要素があるのでカードゲームらしいテンポのよさはないけれども、数字カードの見事な配分(10は10枚もあるが、微調整できる2は2枚しかない)、「R」のカードを重ねれば必ず奪える可能性、最後の一枚の同時解決など、随所にクラマーらしい芸の細かさが仕掛けてあって、好感が持てた。

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