秋葉原水曜日の会 05/11/30
水曜日の会で遊ばれるゲームは、歴代の傑作ゲームが多いのだが、最新の注目作も持ち込まれる。買おうか買うまいか悩んでいたり、買ったのに遊ぶ機会がなかなか見つからなかったりする人にとって、新作をがんがん遊ぶのにも貴重な機会だ。
余談ではあるが、夏ごろから入ったアルバイトの女性がかわいいと思っているのは私だけだろうか?無料で遊ばせてもらっているんだし、毎回何か買っていきたいと思うのだが買いたいものがなかなか見つからないのは残念である。
ルッカ・チッタ|ワンスアポンナタイム
ルッカ・チッタ(Lucca Citta / A.ズッキーニ / ダビンチ出版, 2005)
今年のエッセンで発表され、今月からバネストが完全日本語版(箱まで日本語)を発売したイタリアの新作。色を揃えてたくさん建物を建てるカードゲームだ。
場札から3枚1組でカードを取り、自分の街に並べていく。同じ色のカードが4枚揃ったら建築完了で、窓の数だけ得点になる。序盤はできるだけ多く建築できるように色を選んでカードを集めよう。他の人の動向も見ておかなければならない。
建築完了した建物は、開店パーティをすると他の人が建築している同じ色のカードだけさらに得点になる。ここでも得点が多くなるよう、他の人の状況を見ておく必要がある。
最後は、開店した建物の種類だけ得点が入る。ここまでに塔や城壁を立てておくとその得点が2倍、3倍に。しかし塔や城壁に精力を傾けすぎると、肝心の建物の建築がなかなか進まないのだ。あちら立てればこちら立たず。
私は今回その塔と城壁を建てまくるという作戦を取り、6つも建てたものの、肝心の建物がしょぼくて最下位。場札に応じて、臨機応変に作戦を変える細やかさが必要に感じられた。1プレイ20~30分で終わるので、数回遊んで作戦を練ることができるだろう。イタリアらしいシンプルながらセンスのあるイラストもよい。
ワンスアポンナタイム(Once Upon A Time / R.ランバート、A.リルストーン / アトラス, 1995)
カードを出しながら皆で物語をつくっていくという一風変わったゲーム。RPG愛好者向けかと思ったが、そうでなくても結構楽しめる。
カードには「王様」「王子様」「魔女」などの人物や、「街」「海」「村」などの場所、「宝」「毒」などのアイテム、「逃げた」「魔法が解けた」などのイベントなどがある。カードを眺めているだけで何か話が浮かんできそうなものばかりだ。
これらを手札から1枚ずつ出して話を続ける。「昔あるところに小さな島がありました。その島には王子様が住んでいました。あるとき、王子様は風に吹き飛ばされて塔のてっぺんに着きました。そこから窓を眺めると……」
話が続かなくなったり、中断カードを出されたりすると手番終了。次の人が物語の続きを作り始める。手札がなくなったら、「真実の愛が魔法を解いたのです」とか「そして2人は幸せに暮らしましたとさ」などといった結末カードが手札に加わり、これを出してうまく物語を収められれば勝利となる。ちなみに全部英語なので少しプレイアビリティが下がるが、中学校レベル程度だしイラストもあるのであまり苦にはならない。でも日本語化されていたらもっとスムーズに遊べるだろう。
今回のお話は、塔に閉じ込められた王子様を、街の娘が助け出して、実はその娘は幼い頃魔法でカエルにされていた王子の実妹で、王子がその秘密を暴いた直後に妹が魔女に誘拐されたけれども、最後に王子が無事に連れ戻してハッピーエンドという、チープだけれども盛り上がりどころをおさえたストーリーとなった。勝敗にあまりこだわらず、よい物語を皆で作るというのがこのゲームの楽しみ方のようだ。終了後にできあがった物語を振り返るのも楽しい。
オイそれはオレの魚だぜ(Packeis am Pol / A.ジャケリウナス / ファランクス, 2005)
バンブス・シュピーレから一昨年限定販売され、レアゲームとして幻となっていた作品が今年オランダのファランクスからリメイクされた。ペンギンが流氷の上で魚を取り合う完全情報公開ゲーム。
ペンギンの動きは極めて簡単。自分が今いるタイルを獲得して、そこから一直線に好きなだけ移動する。ほかのペンギンは飛び越えられない。たったこれだけがルールだ。
ペンギンが移動するたびにタイルがなくなっていくので、ボードはあっという間に虫食い状態になる。移動先がなくなったペンギンは脱落。だからほかの人の動きをけん制しつつ、先の先まで読んで足場を確保していかなければならない。どのペンギンを先に動かすべきか、そしてどこに移動すれば安全か、これだけのルールなのにどうして?と思うほど深い。
特に終盤、周囲と断絶した島に自分のペンギンだけがいるという状況を作り出せれば、あとは安心して1つずつタイルを獲得できる。そんな状況にするには、中盤からの位置取りが重要だ。
1プレイ20分ほど。2回遊んだが2回とも手稲さんの勝利だった。まだまだ研究の余地があると思わせる、非常に優れたゲームだと思う。コンポーネントもクールで気に入っている。
迷宮コンクエスト(Meikyu Conquest / 河嶋陶一朗 / 冒険企画局, 2005)
有名なTRPGをカードゲーム化したもので、「大大阪」に続いて今年のエッセンで冒険企画局から発売された。元ネタを知らない人間でも遊ぶのには問題ない。
迷宮カードには数値が書いてある。冒険者カードを手札から出し、ダイスを振って合計が数値を超えれば獲得。カードに書いてある特殊能力を使えるようになる。特殊能力はさらにカードを獲得するのに役立つだろう。獲得したカードをさらに発展させれば勝利点が上がる。こうして勝利点10点をめざす。
基本的に迷宮カードは場札から獲得するが、ほかの人に戦闘を仕掛けて勝てば勝利点が高いカードを奪い取ることもできる。ただし、戦闘を仕掛けるには「げっちゅカード」をもっていることが必要で、泥沼の争奪戦にはならないように配慮されている。特殊能力もゲームを破壊してしまうような極端なものはなく、バランスが取れているように思われた。
私は序盤にドラゴンの洞窟を獲得し、再三の攻撃を斥けて勝利目前となったが、娼館(写真右)に目が眩んでしまい、無駄な冒険者を出すという失敗をしてしまった。それでばんゆうさんに差されて勝利ならず。それほど娼館が魅力的過ぎて……面目ない。2980円という価格が少々気になるが、ゲームの出来はいいので機会があったら遊んでみてほしい。
大名(Daimyo / P.チオーニ / テンキゲームズ, 2005)
外国人が考えた日本のゲームというのは、我々がどう見られているかを知るようで興味深い。今年イタリアから発売されたこのゲームは、戦国時代をテーマにした弱肉強食のゲームだ。
目標は誰でもよいから、大名の首を取ること。武士を雇い、軍勢を作って敵陣に乗り込んでいく。
手札には武士の移動、武士の雇用、大名の移動、新たなタイルの配置、タイルの移動、特殊アクションという6種類のカードがある。ここから2枚を選んで、一斉に公開。カード番号の順に行動を実行していく。
同じマスに敵同士が入ると戦が起こり、同じ数だけ相殺する。2対2では相討ちになってしまうが、3対2なら1人生き残るというわけだ。こうして大名のいるマスに攻め込み、首を取る。
とても面白かったのは、実行し終わったカードは1枚ずつ両どなりの人に渡し、再利用されるという点。強いカードをうっかり使ってしまうと、となりの人からしっぺ返しを食らうかもしれない。盤面の状況を見ながら、どちらのカードをどちらに渡せば大丈夫か考えないといけない。
膠着するゲームかなと思ったが、特殊アクションで防御をあっさり崩されたり、一方の敵陣を狙っているときに反対側から襲撃されたりで2回ともあっさり終了。一触即発でゲームがすぐ終了する危うさは、サムライらしい清々しさすら感じられた。長期戦になるのかどうか、もっと遊んでみたいと思った次第。
スノルタ(Snorta / C.チャイルズ、T.リチャードソン / アミーゴ, 2005)
カードをめくって絵があったらすばやく動物の鳴き声を真似するゲーム。昨年アメリカで発売され、1年でドイツに上陸した。鳴き声は覚えておかなければならず、それを一瞬で想起するという普段使わないようなスキルが要求される。
まず、全員動物カードを1枚ずつ引いて、誰がどの動物か、そしてどんな鳴き声かを確認する。「ブーブー」「モーモー」「ヒヒーン」……確認が終わったら動物カードは裏返し。誰がどんな鳴き声なのか、覚えておかなくてはならない。
そして自分の山札から動物カードをめくっていく。同じ動物が出たら、出た人同士で鳴き声勝負。早く相手の鳴き声を言う。負けた方はそれまで出ていたカードを引き取って、自分の手札に入れる。早く手札をなくした人が勝ち。
まぎらわしいのは、Aさんが「ブーブー」、Bさんが「ワンワン」という鳴き声で登録されていたとして、羊でかち合ったりすること。羊だからといって「メーメー」なんて言ってはいけない。ここではAさんなら「ワンワン」、Bさんなら「ブーブー」と言うのだ。さらにゲーム中鳴き声が変更されたりして、もう何が何やら。この混乱がゲームを盛り上げる。
この手のゲームは得手不得手が出やすく、テンポに乗り遅れるともう勝てない。慣れてくるとカードはさくさくめくられていくので、頭はフル回転しっぱなし。楽しかったけれども最初から最後までテンパっていなければならないので終わった時は心底ほっとした。