半年ぶりとなるつくばでの自宅ゲーム会。いろいろ声をかけてみて、県内から米出さん、諸岡さん、T.V.Flipperさん。遠方からかゆかゆさん、のごさん、カワサキさん、puppiさん。ろくなおもてなしもないところに時間をかけて来てくださるのはいつも感謝。
今回はエッセンで発売された新作を持ち寄って遊ぶ。新作のテストプレイ会という色彩も強く、遊ぶゲームがたくさんあったため再会の喜びもそこそこにゲームに没頭。前評判のよいゲームが多かったこともあり、よくできたゲームにめぐり会えた。終了後はボードゲームのデータベース化や日本ボードゲーム大賞について夕食を食べながら意見交換。
次はまた何ヶ月か後になるだろう。めったに遊ばないとどうしてもゲーム貧乏性になってしまう。夕食でやっと親交を深められたが、本当の理想を言えば月に1回とか2回気軽に集まって、ときどきゲームをメインにしないでいろいろ語り合うのがいいが、それはまだ未来の話になりそうだ。ドイツ人がうらやましい。
ルドフィール|シャングリラの橋
ルドフィール(Ludoviel / F.Friese etc. / Tagungshaus Drubberholz, 2003)
「箱が正方形」「アブストラクトゲーム」「2人専用」などのカードに従って、当てはまるゲーム名を言うゲーム・トリビア。昨年のエッセンで発売されたまさしくマニア向けのゲームです。ルールがインターネット上で公開されているものも含めて10あり、いろいろな遊び方ができます。
最初はチックタックルド。時限爆弾タイマーとカード1枚を回して、カードに当てはまるゲームを言っていくゲームです。ただし、前に言われてしまったゲームは言えません。「2人専用」…将棋、チェス、バベル、カエサルとクレオパトラ、バトルライン、ヘラス、雷鳴と稲妻、ギプフ…うー、うー、爆発!!。タイマーがなったときに爆弾を持っていた人が負け。何周も回ると言えるゲームも少なくなっていきます。言おうと思っていたゲームを直前に言われてうろたえたり、マイナーどころを積極的に言ったり。落ち着いて考えればわかるのに、爆弾が回ってくる緊張感で思い浮かばないこともしばしば。爆弾の時間設定は負けた人が40秒~1分30秒くらいの間で自由に設定し、あとは残り時間が見えないようにして回します。たかが1分だと思っていても、何周もするので気が抜けません。なお、タイマーは「タイム・イズ・マネー」のものを使いました。
そして3つ目にはルドッサ。3枚のカード全てに当てはまるゲームを言えたら、1枚を除いて手札から1枚を加え、次の人に渡します。言えなければ手札が増えます。こうして手札を早くなくすことが目的です。「2人専用」+「犯罪がテーマ」+「ドイツ以外のメーカー」…これは難しい!(私にとってですが)
一応カードの難易度を下げるルド・イージーを使ったのですが、それでも2枚に当てはまるゲーム、3枚に当てはまるゲームとカードが増えるにつれて難易度は加速度的に上がっていきます。最低カード5枚に当てはまるゲームを考えるルドミオ、無限に増えていくルドフィールなどはまだまだ修行が必要です。「鉛筆を使う」「アクションポイント制」「音が重要」など、それだけで思いつくゲームが絞られてしまうカードがきついと思いました。
それにしても今回のメンバーはこのゲームを遊ぶのに優秀だったと思います。知っているゲームが30~40タイトルくらいでは、歯が立ちません。
諸岡:ボードゲームのクイズゲームで完全にゲームフリーク向け。ゲームの作者や出版元、絶版等の遍歴を知っているととても盛り上がります。 答えを聞くと、ああ、あったあったと納得できるのに、自分の番には答えられな いのはクイズ物のいつものことです。
シャングリラの橋(Die Brucken von Shangrila, Bridges of Shangrila/ L.Colovini/ Kosmos, Uberplay)
ボードには村が点在しており、それが橋でつながっています。村には7つの職業がありますが、そのうちはじめは少しだけ、師匠(自分の色のコマ)がいます。これを増やして近隣の村に送り込んでいきます。
手番にできることは、1.自分の色の師匠の上に弟子を置く(同じ色のコマを重ねる)、2.同じ村の空いているマスに新たに師匠を置く、3.隣の村に弟子を送り込むのいずれかです。
まずは師匠と弟子を増やしていきます。師匠と弟子が多くいる村から送り込まれた弟子は強いのです。隣の村に送り込むと、弟子はその村の師匠のポストを奪って、新しく師匠になります。この設定、リストラ時代の日本を思わせます。
弟子は同じ職業のポストに着くので、他のプレイヤーのポストを奪えって蹴落とせるよう、どの村に送り込むか考えながら増やさなければなりません。そしてこのゲーム最大の特色は、一度弟子が通ったルートは橋が落ちてしまってもう通れなくなるというところにあります。新たな弟子にポストを乗っ取られたプレイヤーが報復しようにも、別なルートを辿っていかなければならないのです。ルートは早い者勝ちです。
次の特色ですが、弟子は村ごと全員移動するので、他のプレイヤーが送り込むのに便乗することができます。そのため、例えば「雲(雨乞い)」のポストを奪われそうな場合には自分の弟子を「星(占星術師)」に置いて別のポストを奪い返すという牽制ができます。しかしその弟子は別の意図しない村に送り込まれてしまうかもしれません。そちらの村の「星」に自分の師匠がいたら、共食いになってしまいます。そこでどのポストを増やすのか、周囲それぞれの村をよく見ながら考えなければなりません。
情報は完全公開、運の要素はありません。一手を争う村でいかに先手を取るか、隙を見つけて未開の村に布石を打っておけるかの勝負で、ほかプレイヤーのマークをかわしながら最大限のポストを確保できれば勝利です。
今回は3人で遊びました。諸岡さん(黄)が写真右に大帝国を築き、ほかのところで叩かれることになりました。誰がポストをいくつ奪われたか把握できるので、出る杭を打つ展開に。僅差の中、争いをうまく回避しつつ漁夫の利を得た諸岡さんが1位。
ルールは簡単ですが選択肢が多いため長考になりやすいかもしれませんが、誰を叩けばよいかを念頭に置いていけばだんだんするべきことが見えてきます。3人で楽しく遊べましたが、4人でも問題はなさそうです。アブストラクトになりそうなシステムに、うまくイメージを重ね合わせることに成功しています。
諸岡:7種類の駒を1回1つづつ配置して、配置数を競うゲームで、配置する代わりに移動して攻撃もできるが、橋が落ちるので1回しかその方面に攻めれないのが味噌のゲーム。運の要素がなく、ジレンマの連続なのでかなり好き。攻めと守りの攻防が砂漠を越えてに似てるように感じました。
石器時代(Neolithibum / H.Bilz & P.Gudbrod / Heidelberger Spieleverlag,1991)
全員アクションを選んで、一斉に公開します。そして手番プレイヤーから行動を行っていきます。
「石を積む」というアクションは大きい石、中ぐらいの石、小さい石の3種類があり、大きいほどごほうびも増えますが、難易度も上がります。
「食料を得る」では食料チップを取ります。食料は石を積むときに必要となり、大きい石ほど必要な食料も増えます。適度なところで補給しておきましょう。
誰かが「食料を得る」を出しているときに「食料を奪う」というアクションを出せば食料を取ることができますが、これがバッティングすると取れません。
このゲーム最大のポイントとなるのが、「あざ笑う」というアクションです。これで「石を積む」を選択したプレイヤーを指示できると、それだけでごほうびがもらえるだけでなく、指示されたプレイヤーは「ハンディキャップカード」を引いて石を積まなければなりません。写真は「利き手と反対」「テーブルに鼻をつけて」「足の下から手を出す」というハンディキャップが重なって四苦八苦しているところ。インドでやっていたヨガのおかげか成功しました。
業師の米出さんが次々と積み上げましたが、ごほうびの骨は9種類全部集めなければなりません。たくさんもらっても骨がかぶっていると上がれないのです。ハンディキャップが私に集まる展開でしたが、写真のポーズでの成功ですっかり調子付いた私が最後の1枚を引き当て、勝利しました。健康によいゲームだと思います。
諸岡:石を積み上げていくゲームでバランス系だが、食糧補給や人の邪魔をできるので変化がある。石の大きさも3種類アリ(本物の石!)面白かった。置けそうになくても上手い人は置けてしまうのには脱帽。邪魔カードで メガネ外して(もしくは掛けて)プレイするとかがあり笑える。6人までできるので、人数が多いと読みの要素も出てきてもっともっと面白くなると思う。
裏番組で創世記1503(Anno 1503 / K.Teuber / Kosmos, 2003)。
アッティカ(Attika / M-A. Casasola-Merkle / Hans im Gluck, 2003)
手番には建物を山から引いて建設するか、自分のストックにいったん置くか、またはストックから建物を建設するかのいずれかです。建設するときには資源カードを払いますが、建設地とその周囲に資源が描かれていれば現地調達できます。はじめは資源が豊富な場所にコストの高い建物を建てておきましょう。そこから都市を広げます。
建物は、指定された順番で建設するとコストが無料になります。そのためランダムに出てくる建物をストックにためて、順序を見極めたところで一気に建設するという作戦があります。しかし建設地は早い者勝ち。ぐずぐずしていると建設する場所がなくなってしまいます。このあたり運と戦略のかみあいがよく取れています。
ゲームの目的はボードの端々にある神殿同士を自分の建物でつなぐか、自分の建物30件を全部建てるかのいずれか。どこに建設して、どうつないでいくかが重要です。
一方、建物の山が切れるとボードを新たに広げることができます。山を切らしたプレイヤーがボードを好きなところに配置できます。こうしていったん塞がれたルートでも、新しいボードから回り道していくこともできます。
今回は4人でプレイ。米出さんがつないでリーチになったところで誰も止めきれず、早々と終了してしまいました(ある条件でもらえるアンフォラ(壺)を使えば止められたかもと気付いたのは翌日…)。
建物の名前が全部ドイツ語で、建設する順序がわかりにくいという欠点がありますが噂にたがわぬ面白さです。米出さんは一巡目で「これはもう1度プレイしたいゲームだ」と絶賛。ルールに無駄が感じられず、建設と陣取りという使い古されたテーマでもオリジナリティを強く感じました。まもなくメビウス経由で届くとのこと、これは買いです。
ハエ(Fliegen / P. Pallieres / Asmodee Editions, 2003)
ゲームにはハエそっくりのおもちゃが入っています。カードがめくられてターゲットが決まると、ハエを右手に握って(それだけで女の子などは引きそう)、全員で合計いくつ握っているかを予想します。当たったか一番近い人がカードをゲット。ちなみに最高は「牛糞」+4点。「ハエトリリボン」「クモの巣」などのマイナスカードなら一番外れた人がもらいます。
スペシャルカードは手持ちのハエが増える「蛆虫」、他の人のハエを殺せる「スプレー」、答え合せの後に増減できる「銀バエ」があります。
手持ちのハエが少ないので、全員節約せざるを得ない展開に。予想する数も「0」「1」「2」ぐらいで推移しました。ブラフもかけにくいところで、最後はみんなハエがいなくなって「0」続き。シニカルな笑いのなかゲームが進みました。スペシャルカードが後に来るというカードの順番もまずかったのですが、テーマで引いてしまったのが原因かもしれません。コンポーネントは最高なんですが。
裏番組で暗闇のフロア(Finstere Flure / F.Friese / 2F-Spiele, 2003)
諸岡:ミッドナイトパーティーに雰囲気は似ているけど、モ ンスターを誘導できたり、ワープしたりするので大人がより楽しめる。モンスターは縦横で見かけたキャラクターめがけて寄ってきます!最大20歩も!(こち らは1-7歩)どきどきしますよ、これは。モンスター移動の予測が大外れして 私は負けました。
同じく裏番組でR-ECO(R-ECO / Kawasaki / Original)。
諸岡:川崎さん作のカードゲームで、5枚しか持てないと言う縛りと、2枚取らないと発動しない得点が味噌です。勝利バランスは凄く良いと思うけど作戦建てられるほど状況が許してくれないので運のゲームかな。得点バランスで掛け時の判断が生まれると良いと思う。
スカッド7(Squad Seven / R.Fraga / Jumbo, 2003)
CDをかけながら命がけで宝を集める探検ゲーム。「ドラゴンデルタ」「タイムイズマネー」などの色物が得意なフラーガの作品。オランダのジャンボから発売され、オーストリアゲーム賞友達部門、フランス年間ゲーム大賞などを取りました。
CDは17分間。ヘリコプターが到着する音から始まります。7人の隊員を並べ、ゲームスタート。
カードはプレイヤー別に山札になっており、順番に自分の山札から1枚めくります。お宝カードが出たら、かるた取りのように早い者勝ちで取ります。ただしお宝カードの中にはヘビがさりげなく描かれているものがあり、それを取ってしまうと隊員が1人死にます。キャンプカードを取るとほかの人が取った宝を横取りできますが、ここにもさりげなく見張りが描かれていることがあります。
CDははじめタイコがドンドコなっている「昼の場面」から始まり、やがて虫の声の「夜の場面」になります。お宝カードやキャンプカードにも昼と夜のカードがあり、昼に夜のカードを取ったり、夜に昼のカードを取ったりするとやはり隊員が1人死にます。
そしてきわめつけがアクションカード。これはめくった人が指示に従います。机を1周して戻ってくる「つり橋」、それまで出た捨て札を切り直して全員に配る「クモの巣」、そして遠くに置かれた的を銃で撃つ「恐竜」、机を1周してから的を銃で撃つ「ミイラ」。これらのアクション中にCDから「ギャー!!」という悲鳴が聞こえると、隊員が1人死にます。いつ悲鳴がなるか分からない中で焦りながらアクションをするのはまさに必死です。
このほかに「妖術使い」を取ると死んだ隊員を1人復活させることができます。
ゲームはCDが最後になってヘリコプターの音が聞こえてくると終了。それまでに取ったお宝の数で勝敗を決めますが、隊員が死にすぎると持ち帰れるお宝が少なくなってしまいます。もちろん途中で全滅すれば脱落。
みんな焦りながらやっているので、17分がとても長く感じられるほど、猛スピードの展開。カードをめくればヘビがいるかもよく見ずにすぐタッチ。射撃はタマを入れないで撃ってしまったり、カードの配りなおしも手が震えてカードが集められなかったり。プライドを捨てて童心に帰れるひとときを過ごしました。勝者は瞬時の判断力で宝を集めまくった諸岡さん。
藤沢ボードゲームサークルでは無事遊ばれたようですが、公共の施設で遊ぶのはサークル存続の危機を招きかねません。怪しげな音楽が流れてきて、「うるさいですよ!」と言いにドアを開けたらたまたま銃口が向いていたり…。
諸岡:17分間の探検ゲーム。とてもやりたかった、まさかやる機会があるとは思わなかった。日本でも一桁しか入っていないだろう。音を流すのでゲーム会には出てこないし。みんな走ったり、ヘビ取ったり、射的外したり笑いが止まらなかった。どう説明して良いのやら、カルタと罰ゲームを足し て2で割ったゲームといえば何となく当たっている気がします。
でっかい馬鈴薯(Dicke Kartoffeln / D.Mattaeus & F.Nestel / Abacus,1989)
ゲームは1ヶ月ごとに進んでいきます。堆肥を仕込み、畑を耕し、種芋を買い付けて植え、化学肥料や農薬をまき、アクシデントが起こり、収穫して市場に出荷し、収入を得る、その流れを4年(6年)繰り返します。最後の持ち金の多さと環境に配慮した畑の状態で勝敗を競います。
堆肥を発酵させて増やす以外は全てお金がかかり、最初の1,2年は借金をしながらの苦しい経営。3,4年目あたりで土壌が豊かになって段々収量が上がっていきます。短期的な資金調達と長期的な展望の両方を見ないといけません。
種芋は肥料をやると収量が倍増するけれどもアクシデントに弱いもの、どうやっても収量は少ないけれどもアクシデントに強いものなど3種類あります。そして価格は出荷量によって決まります。みんなが同じ品種を大量に出荷すると値崩れを起こして利益が出ません。
さらに、化学肥料や農薬を使わずに栽培していると土壌がよくなっていきます。ここで獲れたジャガイモは「有機栽培」として出荷することもできます。一般に有機栽培は高く売れますが、ここでもみんなが大量に出荷するとやはり値が下がります。ジレンマですね。
今回は4人で4年間。安定した経営と思い切った投資のバランスをとって着実に儲けを増やした諸岡さんが1位。設備投資で過剰な借金を抱えていたのごさんがその利息が響いて2位。私はケチケチした経営で思い切りが悪く3位。土壌を悪くしながら化学肥料主体に栽培した米出さんは儲けもそこそこに、後半失速してしまいました。
農業の奥深さ、そして厳しさをよく学習できるゲームです。出荷して利益をもらうときの喜びはひとしおですが、それ以外の時期はひたすら苦しまなければなりません。買い付けや出荷は各自が紙に記録していくようになっており、傍から「ゲームじゃなくて仕事しているようにしか見えない」と言われました(写真提供:puppi氏)。
諸岡:5つの耕地に3種類のジャガイモを植えて収穫するゲーム。リアルで土地の土壌改良が大変である。農薬は使うと反動も大きいです。ゲーム中は農家さんに成りきっていて、とてもゲームしてる雰囲気ではなかったとの事、これはかなり熱中していたわけで、儲かったときは嬉しかったし、借金返済できたときも嬉しかった。実際のプレイはジャガイモの需要と生産量を読んで、バランス良く出荷した人が有利です。高校生ぐらいの教育の一環に是非一度プレイをしてほしいゲームですね、、、、(小遣いを*けて)。
裏番組でマヤ(Maya / B.Eisenstein /Abacus, 2003)、壺の悪魔(Flaschenteufel / G.Cornett / Bambus, 1995)。