昨年に引き続き、山形ボードゲームクラブ(YBGC)主催による新春ゲーム会。仙台・遊友会のみなさん、東京から各駅停車で7時間かけていらしたかゆかゆさん、今月から札幌に戻られる筒井さんなどの参加で12名という人数になり、3卓4人ができあがった。カードを引いてランダムに決め、卓ごとに遊ぶゲームを決める方式。長時間ゲームが1卓で行われても、残り2卓でメンバーを変えながら短時間ゲームを回していけるので、めいめい好みのゲームを選ぶことができたと思う。
温泉でホカホカに温まり、山形の銘酒に舌鼓を打ちながら、ワイワイガヤガヤ、午後1時から午前3時頃まで至福のひととき。それからゲームオリンピック反省会やボードゲーム裏事情談義を午前6時まで。すっかり堪能した。
この機会に行われた共同輸入は年末年始の繁茂期で届かず、筒井さんがお持ちの珍しいゲームを中心に遊ぶ。エッセンの新作はカタンのシナリオを含めて3つ。定番を外したプログラムは、面白いゲームを発掘するという意味合いがある。ルールの翻訳がたいへんなことや、たいして面白くないことが多いという落とし穴があるものの、この砂金掘りは当分やめられそうにない。
ミシシッピ|王位継承|フッガー家
ミシシッピ(Mississippi / R.Siegers / Mattel, 1988)
川を渡る船は六角形のコマになっており、各辺に1~6の数字が書かれています。自力で進むには薪を消費しなければなりませんが、他の船と隣接すると、隣接している辺を比べて多ければその差分だけ無料で進むことができます。進んだ先にまた他の船がいれば、また辺同士を比べて多ければさらに進みます。このような連鎖をうまく利用してトップを狙います。
しかし辺を比べたときに自分の方が少なければ、相手のコマが進んでしまいます。ですからどの辺をどの方向に向けて走るか注意しなければなりません。回転は60度までなら無料、それ以上はまた薪が必要です。薪には限りがあり、後退することでのみ補充できます。
さらに複数の船と隣接した場合、勝っていればそれぞれの差分の合計だけ進むことができ、かなり進みます。ところが、どの船からも勝っていなければ、他の全部の船が進んでしまいます。多人数で遊ぶほど、複雑な連鎖反応が起きてダントツビリの船がトップに躍り出たりするなど、順位変動が激しくなります。
川はジグザグに進むことになっており、至るところで隣接が起きます。抜きつ抜かれつ、もみあいのレースは、ゴール間際で一層激しさを増し、うまいタイミングで他のプレイヤーをごぼう抜きにしたプレイヤーの勝ちとなります。
最大人数の6人でプレイ。自分の番に他の船も動くのでどう動かせばどうなるのか、自分の番が来てからでさえもほとんど読めません。最後まで薪を節約して一気に飛び込んだかゆかゆさんの勝利。4人ぐらいだと、もう少しじっくり考える余地が出るかもしれませんでした。
王位継承(Viva il Re! / S.Luperto / daVinci, 2003)
各人にははじめにどの人物を応援するか書かれたカードが配られます。そのカードを見ながら、お城に人物を配置していきます。配置が終わったら、ゲームスタート。自分の番にできることは、人物をひとり選んでお城の中のランクをひとつ上げるだけ。下げることはできません。とても簡単です。
上げていくうちにお城の一番上の王座に上がる人物がでてきます。そうしたら国民投票。各プレイヤーが賛成か反対の票を投じ、全員が賛成すれば王様の就任です。ひとりでも反対がいると、その人物は追放となってしまいます。
王様が出ると得点計算で、王様を応援していたプレイヤーは10点、他の人物も、お城の上のほうにいるほど点数が上がります。得点計算が終わったらはじめからやり直し、3回やって点数の高いプレイヤーの勝ちです。
自分が応援していない人物をわざと王様に上げて反対票を投じ、王位争いから脱落させるという方法もあり、自分が応援している人物をどのタイミングで上げるかがポイントです。賛成は何回でもできますが反対票には限りがあるので、節約しなければなりません。「誰かが反対してくれるだろう」と思って反対票を出し惜しみすると、皆同じことを考えていて意外な人物が王様になってしまったりもします。
応援する人物は複数おり、他のプレイヤーと重なっていることもあるので微妙な利害関係でブラフも単純にはいきません。誰かが反対票を投じて人物がどんどん追放され、その中で自分が応援する人物が王様になれるかハラハラしながら見守るのが盛り上がりどころです。
今回はみんな油断して反対票を出し惜しみし、あっさり王様が決まる展開が続き、やや盛り上がりに欠けるゲームとなりました。でも軽いので何ゲームでも遊べ、いろいろな展開を楽しめそうです。口三味線やストーリーを作って遊べばもっと盛り上がるでしょう。要素としてのオリジナリティはないものの、ドイツゲームがいつの頃か失ったシンプルさがかえって新鮮に感じられました。
フッガー家(Die Fugger / K.-J. Wrede / Adlung, 2003)
品物はコショウ・ワイン・絹・宝石・銅の5種類があります。手番には山札から1枚カードを引くか、自分の前に1枚公開します。全体でどれかの品物が5枚出た時点でラウンド終了。枚数が多く出た品物上位3つまで、出た枚数分だけ値段を上げます。すなわち5枚出た品物は5つ上がるわけです。公開していた手札をそのときの価格で売り、収入とします。
ところが値段は9までしかなく、それ以上上がると暴落してしまいます。みんな値段の高い品物をたくさん出して儲けたいわけですが、値段の高い品物はあまり多く出されると暴落してしまうというジレンマがあります。他の人が何を出しているかよく見ながら何を出すか上手に選択し、相場をうまくコントロールしなければなりません。
これに加えて中央にNPCのヤコブおじさんが最初から2枚、品物を公開しています。その品物も全体の枚数に加えられるので、何を出すか考えるときに考慮しなければならない要素です。また、品物の中には王様印のカードが混じっており、これらのカードは全体に3枚以下しかない場合にのみ、倍の値段になります。どのタイミングで5枚目を出し、ラウンドを終了させるかさらに悩ましいものとなります。
そのほかに最初の2ラウンドのみ、手番にカードを1枚裏返して出すことができます。これはゲーム終了時に公開し、その時点での相場で売ることができます。序盤では相場の行方が全く読めないので、一発逆転の宝くじみたいなものになっています。誰かが100フローリン(当時の通貨)稼いだ時点でゲーム終了。一番お金の多い人の勝ちです。
山札の中に商人カードというラッキーカードがあって、これを公開すると次のラウンドの前に追加でカードを補充できます。当然補充するカードは多いほど有利で、商人カードを引けるかどうかという運も勝敗に結構影響していました。
商人カードと王様印で大儲けしたゑびなさんがぶっちぎりトップ。損得勘定をしっかりしながら出す品物を選ぶところがポイントで、注意力・計算力を必要とするクニツィア系のゲームです。フリンケ・ピンケ(ロコ)が好きで、もう一味ほしいという方におすすめ。
キャッシュ(Cash / W.Kramer, J.Grunau / Ravensburger, 1990)
場には7つの金庫が出ます。それぞれの金庫には開けるのに必要な4本の鍵の組みあわせと、開けたときにもらえる金額が書いてあります。鍵は赤・青・黄・緑の4種類。手番には1枚、好きな鍵を取って手札にします。
金庫カードに書かれた鍵の組み合わせができたら、これを公開。金庫カードをもらうことができます。鍵を溜め込んで一気にいくつも金庫を破ればボーナスももらえますが、金庫は早い者勝ちなので他の人に先を越されてしまうかもしれません。
最後に残った7つ目の金庫も破ればボーナスがつきます。全部破られたら新しく7枚を場に出して続けます。これを5回、7×5=35枚の金庫が全部破られたところで破った金庫の金額を合計し、最多プレイヤーの勝ちです。
皆が鍵を溜め込んでいると、自分の番まで間に合うかなかなかドキドキします。カウンティングもそこそこ重要ですが、狙った金庫を他の人より早く落とせるか、そのドキドキ感をを楽しむゲームのようです。
はしもとさんがボーナス金庫を落としまくって優勝。引くだけ引いて一気に出すということを繰り返す単調作業感が否めませんが、古きよきドイツゲームの香りがしました。
オーレ(Ole! / W.Panning / Abacus, 1996)
時計回りにカードを出していきます。そのとき、前の人よりも色か数字の強いカードを出さなければなりません。どちらとも強いカードを出せば手番をもう1回。出すカードがなければ罰チップを1枚もらいます。
誰かが手札をなくした時点でラウンド終了、そのとき残っている手札は数字だけマイナスポイントになります。数の多いカードは出しやすいのですが最後まで持っているとマイナスが大きく、かといって先に使ってしまうと出せるカードがなくなって罰チップをもらう羽目になるというジレンマです。
次のラウンドは、救済措置として前のラウンドでビリだった人が手札を見て色の強弱を決められます。
数字の強いカードが出たかどうかチェックしながら、どの順番でカードを出すか考えると戦略的に戦うことができます。最後の1枚というプレイヤーが出たとき、罰チップを取らせるように強いカードを出すことも有効でしょう。
ドイツゲームの中では普通クラスのゲームでも完成度は高く、ドイツゲームの底力を思い知りました。
ソクラテス(Sokrates / R.Knizia / Blatz, 1994)
クニツィアによる、競りと神経衰弱をかけあわせたカードゲーム。
場にカードを並べます。そして神経衰弱を始めるわけですが、さすがクニツィア先生、カードをめくる権利を競りで決めます。順々に口で数字を言っていき、一番高い数字をつけた人がカードをめくります。
カードをめくって色か数字が合っていれば成功、続けて3枚目、4枚目とめくっていくことができます。合わなければ失敗、めくったカードは全て元通りにし、罰としてそれまでに取ったカードから1枚を場に返します。
めくったカードは得点になりますが、競りで言った数字に達するまで、カードをめくり続けなければなりません。例えば15で権利を競り落としたら、5のカードを3枚めくらなければなりません。高い数字で競り落とすほど、成功させるのは難しくなります。
何の代わりにでもなるソクラテスカードもあるし、色も数字も種類が少ないので当てやすいのは確かですが、競りをはさむので記憶があいまいになり、なかなかうまく当てられません。
競りゲームも記憶ゲームも好き嫌いが分かれるので、その両方を兼ね備えたこのゲームの評価も分かれるところでしょうが、システムに筋が通っていてよくできていると思いました。近年メモ・ストリートなどで一般大衆路線を走る作者には、こういう系統のゲームに回帰してほしいものです。
フォーリング(Falling / J.Ernst / Cheapass, 1998)
カードはリアルタイムの同時プレイです。ディーラーが順番にカードを配っていくので、それを拾ってさまざまなアクションをします。カードの下の方に地面カードがあり、これをもらったら負け。ですので自分はカードをもらわないように、また他の人が多くもらうようにしていきます。例えば誰かの前にヒットカードを置くと、ディーラーは2枚配るようになります。そんなものをもらったらディーラーが配る前にプッシュカードを使って他の人に押し付けましょう。そして自分の前にはスキップカード、そうすればディーラーはカードを配らないで素通りしてくれます。ところがグラブカードでスキップカードは奪われることもあります。さあ、地面カードが回ってくるのはいつか、終盤に向けて否応なく盛り上がっていきます。
多少慣れは必要ですが、何度かやっているうちに面白さがわかってきました。少しでも早いカード処理と判断力、終盤への盛り上がり。本当に地面に向かってまっさかさまに落下しているような気分になってくるから不思議です。ドイツゲームにはありえないオリジナリティの高さが評価できました。
カタンシナリオ・大運河(Der grosse Kanal / K.Teuber / Kosmos, 2003)
母国島の畑は、はじめ穀物が全く取れません。南にある湖から運河を引いていかなければならないのです。運河を引くためには騎士を雇ってはたらかせます。騎士を雇うには鉄1羊1で、騎士と古城のようにボード上に騎士コマが出現します。運河のコースに騎士コマを投入することで運河が掘られていき、運河掘りに貢献すると勝利ポイントがもらえます。
運河を掘っている間、小島の砂金川に騎士を派遣すれば好きな資源を得ることができます。しかし騎士は母国島でしか雇えず、自分の航路を通って小島まで移動させなければなりません。移動は母国島にはじめない麦1ですので、騎士を小島に派遣するのも一苦労。ちなみに小島には開拓地を建設できません。
騎士がせっせと働いて運河が完成すると、耕作地から穀物が取れるようになります。耕作地沿いに開拓地が次々建てられ、ゲームは後半戦に入ります。この時点で小島の砂金川は枯渇してしまい、そこにいる騎士は役立たずとなります。資源が途中から取れなくなるシステムは砂漠の騎士(カタンブック)・万里の長城・アドベンチャー人類など今まで何度か取られましたが、資源が途中から取れるようになるのは新機軸です。
前半は出目に恵まれた藤村さん、後半は耕作地を確保したmuraさんがリードしましたが、ボード上での発展を途中から諦めて発展カードに走った私がポイントカード3枚と最大騎士力で勝利。諦めない限り何らかの勝利方法が最後まで残されているというのは、カタンの大きな魅力だと思います。
それにしても私は基本カタンをほとんどしません。航海者ばかりなのはどうしてでしょうか。昔ロボダッチというプラモデルの島ものが大好きだった記憶があるのですが…。
アップルズ・トゥ・アップルズ(Apples to Apples / M.Kirby & M-A. Osterhaus/ Bivery, 2003)
お題に合うカードを独断で決めていくパーティー系のカードゲーム。概要はこちら。アメリカでは次々と拡張が発売されている人気作ですが、待望の日本語版が昨年、ビバリーから発売されました。
シュール系でウケを狙う手は外しやすく、全体に常識系の展開となりましたが、それでも笑えるものが多かったです。勝者は参加者ひとりひとりの性向を的確に読んだmuraさんでした。日本語版の遊びやすさ・楽しさは感激もの。「退屈な」→「熱海」が今回の私のヒット。「だって、秘宝館しかないじゃないですか(かゆかゆさん)」
カヤナック(Kayanak / P-P.Joopen / Haba,1998)
夜も遅くなると思考能力も減退し、最後は童心に帰ってこうしたゲームで盛り上がります。14匹、14匹、13匹、12匹という僅差の中ではしもとさんが最後の1匹を釣り上げ優勝。今回釣り上げられませんでしたが、後で調べてみたら5匹もいる穴がありました。試しに釣り上げてみたところ、ちゃんと5匹とも釣り上げることに成功。こんな大漁で逆転優勝してみたいものです。