自宅ゲーム会03/03/01

自宅ゲーム会03/03/21

3月23日のゲームマーケットを勘違いして空けていた21日。気づいてからは後の祭りだった。その悔しさを晴らすべく妻の実家にてゲーム会を開催した。お客様はかゆかゆさんと康さんだけという、いつにない緊縮メンバー。その理由は4人までしかできないゲーム(エデン、マラキャシュ、アドベンチャー人類)をやってみたかったことにある。これらがいずれも大ヒットで、満足できるゲーム会となった。
 4人というのはゲームをするときのゴールデン人数だと思う。多くのゲーム(特にボード)は4人を標準に作られているし、協調して2:2という構図になるのも楽しい。重いゲームでも自分の手番までの待ち時間が長すぎず短すぎず。四角テーブルも一辺ずつ確保でき、コマやカードがごちゃごちゃにならない。じっくりと考え、落ち着いてプレイするには、4人に限ると言っても過言ではない。しかし一緒に遊びたいプレイヤーがたくさんいるのは、贅沢な悩みだ。

スンダ~サフルマグブラストエデンマラキャッシュドラコカンパニーアドベンチャー人類

スンダ~サフル(Sunda to Sahul/D.Bone/Sagacity, 2002)

スンダ~サフルジグソーパズルで島を作りながら、その所有権をとりあうゲーム。珍しいオーストリアの新作ボードゲームです。当サイトのニュースで取り上げたところ、逆リンクでたどった作者からメールを頂いたのが発端。ルールの日本語訳をする代わりにゲームをくれるという約束で送ってもらいました。ルールも短く、時間のかからないゲームということで訳を引き受ける気になりました。オーストラリアは、アメリカよりも日本に買い手が見つかる方がうれしいのでしょう。
 プレイヤーはインドネシアの神様となって、諸島を作って自分の民を配置します。タイルを取って絵がつながるように並べ、陸地にタイル同士の結び目ができたらトークンを置きます。カルカソンヌ風ですが、タイルがジグソーになっているので絵がつながるタイルを探すのが一苦労です。島の中に湖を作るとボーナスがあるのですが、島を完成させるだけでもたいへんなので、湖など滅多にできません。
 トークンは重ねて部族を作ることもできます。重ねると点数が高くなりますし、同じ島で戦争が起こったときに勝つ確率が上がります。ただしほかのプレイヤーのトークンの上に置くときには、そのプレイヤーの許可が必要です。トークンが多い島には資源チップを置くことができ、点数が上がります。
 戦争はダイスで争います。部族にいるトークンの数によって振るダイスの数が決まり、大きい目を出した方が勝ちます。勝てばトークンが1プラス、負ければ1マイナスです。
 こうして誰かがトークンをすべて置くか、置けるタイルがなくなったらゲーム終了で、得点計算をします。トークンや資源によって点数が入りますが、島が完成してれば2倍になります。
 このゲームの醍醐味は、同時プレイにあります。一斉スタートで島をどんどん作っていきます。戦争のときには一旦ストップしますが、それ以外は早い者勝ちの戦いになります。とはいっても絵柄が合いにくいので、焦ってはいてもあれやこれや試行錯誤になり、じっくりプレイになります。
 はじめは手番プレイで開始しましたが、合うタイルがなかなか見つからないのでゲームが停滞。そこで同時プレイに切り替えです。全員が初めてで、絵をあわせてタイルを置くのがたいへんでした。だんだん島が広がっていくと置けるタイルが増えていきますが、それでも何度も間違ってしまいます。タイルの配牌によっても差が出ました。私がトークンを全て置いて勝利しましたが、全体に未消化なまま終わった感じです。久しぶりにスキルを要求されるゲームで、何度か遊んでいるともっと島ができて楽しめる気がしました。ジグソーが総木製で、コンポーネントがすばらしいかったです。

マグブラスト(Magbrast/Unknown/Fantasy Flight, 2002)

宇宙艦隊を組織して、ドンパチ撃ち合うカードゲーム。アメリカのファンタジー・フライトから発売されているものですが、シュピールバーによるインターネット投票では、昨年のエッセンでの評価がなぜか3位だったといういわくつきのゲームです。ドイツ人は何が好みなのかわかりません。
 自分の艦隊は中央に母船、そして前後左右に一機ずつの戦艦でスタート。戦艦によって攻撃力・移動力・耐久力が異なります。手番には5枚の手札からアクションカードを出して、ほかの艦隊を攻撃します。攻撃できる戦艦には決まりがあって、右の戦艦から攻撃できるのは右の戦艦だけ、前から攻撃できるのは前だけです。
 攻撃は「バキューーン」「ドカーーン」という効果音を言いながらカードを出さなければなりません。言い忘れると攻撃が失敗してしまうという厳しいルールで、男の子ごころをくすぐります。
 ダメージポイントがたまっていき、耐久力を超えるとその戦艦は破壊されます。戦艦がなくなったサイド(前後左右)は「穴」ができて母船がむき出しになり、そのサイドからならば母船に直接攻撃ができるようになります。母船が破壊されるとプレイヤーは脱落。こうして1人が生き残るまで戦います。
 アメリカンな感じがするのは、各プレイヤーの母船には「手札が多くもてる」「手札を盗める」「戦艦を増強できる」など個々のキャラクター。コスミックエンカウンターを彷彿とさせます。それから、何種類かあるアクションカード。コンボを組めるようになっているものもあったりして、攻撃が派手です。攻撃後、手札にまた戻せる「ファイター」など、かなり強力でした。
 かゆかゆさんが「穴」を空けたところで康さんが母船を攻撃するというパターンでKyさん、私があっという間に脱落。こうして一騎打ちになりましたが康さんが2連続で弾を外す(効果音を言い忘れる)という痛恨の失敗。最後は3機のファイターを所有したかゆかゆさんが余裕の勝利でした。
 6人まで遊べ、プレイヤーの人数×10分というプレイ時間が書かれていましたが、今回は4人で30分くらいで終了。お手軽ですが「穴」が空いたときはエキサイティングで、とても楽しめました。最強のマグブラスト(ダメージ5)が命中して巨大戦艦が沈むときなどはついこちらまで「ズズズズ…」とかルールにない効果音を言ってしまいそうでした。

エデン(Eden/G.Zuckerman/Kosmos, 2001)

不毛の荒野を耕して豊かな土地を取り合うゲーム。細長い箱がおなじみになりつつあるコスモスのシンプルゲームシリーズ第1弾のひとつです。発売されてからだいぶ経ちましたが、箱が小さい割に値段が安くないこともあって知名度はいまひとつです。プレイ人数が3~4と狭いのも一因かもしれません。
 ルールはいたって簡単です。座標の書かれた「灌漑カード」を出して自分の色のタイルを置き、エリアの形が指定された「耕作カード」を出してタイルを育て、ほかのプレイヤーのタイルを買収して土地を大きくするという3本立て。確かにシンプルですが、システムはきっちりかみあっていて非常に美しいルールです。
 「灌漑カード」はランダムに来るので、はじめの土地はバラバラです。これを「耕作カード」の形に合わせてどれだけうまく調整できるかの駆け引きがあります。耕作カードの形に自分の土地が揃えば、一気にタイルを育てることができます。そこでほかのプレイヤーの土地を買収しようとしますが、ほかのプレイヤーも安値で明け渡したくありません。手放すなら手放すでがっぽりお金をもらって、ほかのところの買収資金にしたいわけです。こうした思惑が絡み合い、局面はどんどん変わっていきます。買収にしても早めの先制攻撃を仕掛けるか、誘っておいて反撃するか、相手の足元を見ながら、うまく立ち回らなければなりません。ちょっとクニツィア入ってます。
 今回は不慣れなこともあり、みんな様子見をしていたので買収工作は終盤になって始まりました。私が熱い買収合戦ですっかりお金を使い果たしたところにかゆかゆさんが畳み掛けて勝利。もう1度やったら展開は確実に変わりそうで、プレイ時間も長くないためもう1度やってみたくなるいいゲームでした。

マラキャッシュ(MarraCash/S.Dorra/Kosmos, 1996)

市場にお店を構えて、お客様をたくさん呼び込み収入をあげるゲーム。カタンの開拓者で大ブレイクしたコスモスが、その翌年にドーラのデザインで出したゲームで、ドイツゲーム賞で6位をとっています。絶版ゲームの中での知名度は高いようです。たくさんいるお客様コマが美しく、コレクター魂に火をつけるのかもしれません。ドーラは「バケツくずし」「ラッツィア」「メディナ」など、シンプルなルールで奥の深いゲームを作っており、ハズレが少ないデザイナーです。
 お客様は市場に3箇所の入り口から入ってきます。そして集団で市場の中を移動するたびに隣接する同じ色のお店に入っていきます。お店の所有者はお客様が入るたびに収入が入ります。次にどの色のお客様が入ってくるかは、予めわかっています。
 お店は競りで所有者を決めます。手番プレイヤーが指定したお店について競りを行い、一番お金を提示した人がお店に看板を立てて営業を開始します。入り口に近いお店ほどたくさんお客様が訪れるので、おのずと競り値も上がります。
 手番プレイヤーは自分のお店にお客様を誘導できるようにお店の競りとお客様の移動を行っていきます。市場に人がたくさん入ってくると、プレイヤー同士の思惑がさまざまに入り乱れます。「このお客様は真っ直ぐ来るだろうから、このお店は今が買いだろう」「このお店を買っておけば、自分の番に大儲けできるな」…
 最初は確かに入り口に近いお店が儲かるのですが、ゲームが進むとプレイヤーによるお店の所有状況によって、奥のお店でも大儲けできることがあります。人の流れをしっかり読むことが大切です。これは商売の基本と言えるでしょう。
 かゆかゆさんが一箇所に自分のお店を集め、何色の客でもOKという状態にして大儲けして1位。康さんは人の流れを読んで奥に出店したのが当たりましたが及ばず。バリアントの記念品ルール(指定された色のお店に客が入れば臨時収入がある)のため大味になった感じもありますが、「俺のところに買いに来てー!」という商売人の切実な叫びが体感できるゲームでした。

ドラコカンパニー(Draco & Co./B.Faidutti & M.Schacht/descartes,2001)

昨年のドイツカードゲーム賞4位受賞を受けて再プレイ(概要はこちら)。このゲームの面白さは、予想もできないカード効果に一喜一憂するところにあります。
 今回は淡々とプレイしたので、どんどん増えていく手札の走査でプレイのリズムが悪い、直接攻撃で順位の浮沈が激しいなどがマイナス面として目立ってしまいました。パーティーゲームとして遊ぶならば、これらは必ずしもマイナス面とはならないはずです。4人だということも盛り上がりに欠けた原因でしょう。
 戦略はほとんどなく、臨機応変にいいカードを出していくのが基本です。ヴァリアントにあるとおり、知った仲間同士、実際に酒を飲みながら宴会気分で遊ぶのにはもってこいかもしれません。べろべろに酔っ払ってしまってはできなくなるでしょうけれど。

アドベンチャー人類(Abenteuer Menschheit/K.Teuber/Kosmos, 2002)

世界をまたにかけて人類を広げていく壮大なカタンの新ゲーム。2002年のエッセンで雑誌とタイアップして発売され、売上も好調のようです。
 人類はアフリカからユーラシア大陸へ、そして海をわたってオーストラリアとアメリカへ渡っていきます。部族(開拓地)から遊牧民を出して移動し、移動先でまた部族を作るという繰り返しです。
 海をわたったり、極北に行ったりするためには文明をあげなければなりません。資源を使ってレベルを上げれば上げるほど、より遠くに行くことができるようになります。
 人類が広がっていくにつれて、イベントが発生し、アフリカ大陸はだんだん砂漠化します。その前にできるだけ早く部族を外で増やして、新天地で資源が取れる体制をつくります。なお、このシステムはカタンブックの「砂漠の騎士」や歴史シナリオ2の「万里の長城」でも採用されています。
 勝利ポイントは、部族を作る、文明を一番早く最高レベルに上げる、イベントタイルをめくる&集める、4人種をそろえるなどでコツコツと稼ぎます。都市がない分、一攫千金はなく地道に1つずつ積み重ねていく競争になります。
 世界地図のボードで人類を育てていくというテーマは楽しく、システムに斬新さはないものの完成されていて、よくできたゲームだと思います。ボードが広くて何の資源が取れるかわかりづらいのと、コツコツと積み重ねるだけに一度遅れをとるとなかなか挽回しにくいという問題はありましたが、それでもカタンのもつ魅力のせいか、倦怠感は全く漂いません。戦い方を知り尽くしたかゆかゆさんがイベントタイルを集めてトップ。疲れていてももう1度やりたいと思わせるゲームでした。妻「それにしても『アドベンチャー人類』って恥ずかしいタイトル、誰が訳したの?」「…俺」

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