たかのさんがゲームマーケットで対談集を頒布するという。お相手はバネスト中野さん、カワサキさん、そして私。インタビューではなくて対談というところがポイントで、たかのさんは単なる聞き手としてではなく、自ら意見を述べ、時には議論をしかける。今までにない試みで、とても面白いものになりそうだ。
取手へは車で1時間ほど。午前中に対談を行い、午後からは取手とつくばのだいたい中間に住んでいるMoさん、「名古屋よりは近い」と埼玉からいらっしゃったカワサキさんと4人でたかのさんとっておきのゲームを遊ぶ。たかのさんのゲームチョイスは独特で、ここでなければ遊べないというものが多い。コミュニケーションゲームは終わった後に親近感が妙に湧いてくるのが不思議だと思う。またカワサキさんがゲームマーケットに出品するゲームも遊ぶことができた。得した気分になることのできる1日となった。
ミン|スクイント
ミン(Mhing/Unknown/Piatnik, Spears, Suntex, 1983)
Moさんが十三不塔もどき(役満)を達成。大きい役を作りたいけど、早く上がられては台無しという、麻雀の雰囲気は十分出ていました。
スクイント(Squint/Unknown/Out of the Box, 2002)
手番にはダイスを振って難易度を決めます。そしてカードを引いてその難易度に対応するお題を見ます。ここでスタート。1分以内にお題をカードで表現して当ててもらいます。しゃべってはいけません。
カードは抽象的な模様ばかり。それをうまく組み合わせてお題を表現するのにはセンスがいります。また解答者もすかさず当てる直観が必要です。写真はうまく当ててもらえた「牛」「ロボット」「たばこ」。ピカソもびっくりです。
当たったら出題者と当てた人に難易度分のチップが入り、何ターンか行ってチップの多い人が勝者となります。
机の上であればカードを動かして表現してもよいことになっており、黙々とカードを動かしているさまは笑えます。またそれ以上に「よくそんなのでわかったなあ!」というので笑え、盛り上がりに事欠きません。
3人プレイで私が1位。「カウボーイブーツ」「タクシー」など、どうやって表現するんだ?という問題もありましたが、とっても面白かったです。傑作。
フラックス(Fluxx/A&K. Looney/Iron Crown Enterprises, 1997)
引き枚数、プレイ枚数などのルールは、新ルールカードが出されるたびに変わります。アクションカードは、新ルールの破棄・引いたカードをそのまま使う・捨て札から拾って使うなどさまざま。勝利条件カードが出ると、そこに記されたアイテムを出しているプレイヤーが勝ちます。
アメリカらしい大雑把な感じは否めませんが、カードが出るたびに驚いたり焦ったり、楽しめました。カード以外にルールはないというのも魅力で、プレイアビリティーが高いです。
ストーンヘンジ(Stonehenge/R.Knizia/Blatz, 1994)
茶色と黒の陣営に分かれ、自分の番には数字の書かれたコマを1コ、好きなところに置きます。縦横斜め、いずれかの列が全部埋まるか、空いているところに何を置いても逆転できないことがわかったら、勢力の強い方(数字の合計が多い方)がその列に直方体を置きます。先に8つ置いた方が勝ち。
先に埋めすぎると最後の1個で逆転されてしまったり、強いのを先に出してしまうと足元を見られるあたり、「市場のお店」に通じるものがあります。また、何をおいても逆転できないことがわかった時点で決まる点は「バトルライン」と同じです。いかにもクニツィアらしい、悩みどころいっぱいのゲームです。お腹が痛くなりました。
僅差でしか勝てないようにできているようです。どこで最強の「5」「6」を出すかがポイントなのかもしれません。私が6を出したタイミングがよかったようで、6を出し損ねたMoさんに勝ちました。
ワードリンク(Word Link/Kawasaki/Kawasaki Factory, 2003)
制限時間は1分。レディー?ゴー!で手札を場札の上に出して組み合わせ、その2つ両方に関連する言葉を言います。「赤い」「まわる」→「サイレン」など。みんなが反対しなければOKで、その手札と場札は流れます。新たに場札を補充して、次の言葉をつくります。
こうして手札を時間内に多くなくせばいいわけですが、手札が全部なくなってもまだ上がれません。なんと、自分が出した言葉はとなりの人が記録しており、その言葉と場札でまた新しい言葉を出さなければならないのです。「サイレン」「はやい」→「パトカー」など。こうして自分が出した言葉を全部なくして初めて、上がることができます(2度目に出した言葉はカウントされず、そのまま消えます)。
昔「連想ゲーム」というNHK番組がありましたが、連想すればするほど上がりに近づくので、連想の速さも問われます。焦る心を抑えてひらめきを待つことが必要でしょう。また、突飛な言葉を出してしまうとあとあと苦しいので、幅広く適用可能なマイルドな言葉を出すのもコツのようでした。
海外からの輸入では決して手に入らない日本語のワードゲーム。「はなまる作文ゲーム」「ワードバスケット」に続く、日本語力を試す絶好のゲームです。
初ゲームとなる私とMoさんに、何回か遊ばれているたかのさん、カワサキさん。最初は要領がつかめず時間が過ぎていくだけでしたが2,3手の間にだんだん飲み込めてきて快進撃。「ラーメン」「すう」→「スープ」で上がり。とても頭が刺激されました。面白い!
もひとつこんなものどんなもの(Noch ein solches Ding/U.Hostettler/Abacus,1998)
今回はカワサキさんがチャレンジングな手札を出してたかのさんからダウトをかけまくられるという展開に。「だいたい椅子と同じ重さ」+「夜に最も使用される」+「ひねったり丸めたりしてもこわれない」+「下ごしらえをすれば肉挽き機を回せる」+「たいてい浴室かトイレにある」でダウト。Moさんの出した答え「バスタオル」は椅子より軽いだろうという理由でNGでした。
ゲームは私が言葉のあやで乗り切り勝利。いつも考えているとなかなか出せないので、適当に出してみて次のプレイヤーに悩ませるというブラフも有効でした。
カウントダウン(Count down/Kawasaki/Kawasaki Factory, 2003)
時限爆弾はカウント9から始まります。ダイスは4つ。0~5が出るもの、1~6が出るもの、2~7が出るもの、3~8が出るもの。これを全部ふって、すぐ下の数(最初は8、以降7,6,5…)が出ればカウントダウンしていきます。最後に0を出した人が爆発でオオヤケドになります。
2ゾロがあるとダイスはとなりの人へ。2ゾロ×2はスキップ、3ゾロでリバース、4ゾロは即爆発です。いずれでもないと、爆発力が1上がります。
ダイスの目が1つずつずれているところがうまいところで、8,7,6と2,1,0はなかなか出にくいためそこで爆発力が上がりやすく、間の5,4,3はあっという間にカウントダウンが進むように設計されています。とはいえこれは確率の問題で、4にいるので安心していたら3,2,1,0が全部出て一気に爆発なんてことも。まったく油断のならない、いつもハラハラドキドキのダイスゲームです。私は臆病なので、振った瞬間のダイス目を正視できないくらいでした。
誰かがヒットポイントを使いきって病院行きになったところで最終ラウンド。最終ラウンドはなんと爆発力2倍です。それまで無傷に近かった私が、この最終ラウンドに膨張した爆弾を爆発させ、いっきにビリになってしまいました。テーマや雰囲気としては「ダイナマイト」と同じですが、ダイスが全てということで手番は毎回毎回、緊張の連続です。コンポーネントもよくできており、ワードリンクと共におすすめの一品です。
イマジニフ(ImagiNiff/Unknown/Buffalo Games, 1998)
はじめボードにプレイヤーの名前を書きます。空いているところには適当な有名人を入れておきます。今回は松井秀喜、クニツィア、松本智津夫、パウエル国務長官の4名が登場。
手番にはダイスを振ってコマを進め、止まったマスの人物がお題となります。問題カードをめくります。「ライナー・クニツィア氏を犬に喩えると何でしょう? 1番プードル、2番セントバーナード、3番シベリアンハスキー…」「おのさんの家に夜、泥棒が入りました。さておのさんはどうするでしょう?」「たかのさんを朝食に喩えると何でしょう」…プレイヤーは6択からこれだと思う答えを選び、一斉に公開します。他の人と合っていれば1点、1人だけだと0点です。相棒を1人選び、その人と同じ答えならば一挙に4点もらえますが外れれば-2点というチャレンジマスもあります。
「ドキドキわくわく相性チェックゲーム」にも使われているシステムですが、一番の違いは何と言っても、常にプレイヤーがお題の主語になっていることでしょう。自分が他人からどう見られているかを窺い知ることができます。ゲームが進むにつれて感性の同じ人物がだんだんわかってくるところも面白いと思いました。
やけにたかのさんと答えが合う状況。「クニツィア氏がほしい体の部分は?」で「ルー大柴の目」で一致したときには笑いました。この感性の一致が奏効してたかのさんと私がゴール直前に並びました。そして最後の問題「おのさんにあげたい賞は?」のチャレンジで先月家に来ていたMoさんを指名し、「ベストファーザー賞」でゴールイン。プレイヤーの人格に関わるところなので、ゲーム外の情報も有用になったりと、深みのあるゲームだと思いました。ザ・コミュニケーションゲームです。
ピポサルバンバン(Piposaru Ban Ban/Unknown/Bandai, 2001)
今回は中央にバナナ1つ。ルールによっては3つまで、バナナをのせることができるそうです。手番にはブロックを1つ、ハンマーで落とします。最初のうちはいいのですが、途中からは連鎖で落ちたりして厳しくなっていきます。「棒倒し」のような感覚ですが、実は「このブロックを倒しても、あのブロックが支えになるから大丈夫」といった視覚情報を活用することが有用です。ですからまるで物理の問題のようですが、何も考えていなくても何とかなることもしばしば。
ゲームはこれ以上何を落としてもダメというところまで行き、そこでMoさんの番に。最後はガッシャーンと崩れておしまいでした。そういえばMoさん、以前にヴィラパレッティでも崩していたような気がします。決して不器用というわけではなく、めぐり合わせが悪かっただけなのですが。