昨年末のYBGCが雪の関係で「ウルランド」にとどまったのを受け、未プレイの新作遊びたさにmuraさんをご招待。4人ゲームが多かったので旧友S氏も誘った。
パンゲア(Die Magier von Pangea/Ralf Burkert/Queen2001)
魔法使いとなったプレイヤーはボード上にある塔の中に住んでいます。ここから自分の色の種族を各地に派遣します。派遣された種族は、部隊に分かれてお守りを手に入れるために旅をします。湿原、森、山地、荒地、草原という5つの地方があり、それぞれ手に入るお守りが異なります。部隊はこの5つの地方のいずれかを故郷としており、故郷に着くとまず「えっほ、えっほ」とお守りの素材を作り始めます。素材が貯まったらお守りを購入して帰途につきます。自分の塔にたどり着いたら魔法使いは「ご苦労、ご苦労」と言ってお守りを回収します。早くお守りを5種類全部集めるか、4種類集めて素材を10集めるか、3種類集めて素材を20集めるかした魔法使いが勝利します。
各タイルには定員があり、それを超える部隊が来ると混み合って仕事ができなくなってしまいます。お守りを買うためには他プレイヤーの部隊がいなければならないので、皆が一ヶ所に集まってきて過密になってしまいますが定員を超えると誰も仕事をできなくなるというジレンマがあります。
また、どのプレイヤーも担当していない中立の民族が存在します。この民族を操るのは手間がかかりますが、うまい具合に配置すれば、お守りを買ったり、他のプレイヤーの仕事を邪魔するのに役立ちます。
さて、このゲームの面白さの真髄はここからです。プレイヤーは魔法を使って、タイルを移動できるのです。タイルは右端から左端、上端から下端へとスクロールもしますが、空いているマスにしか移動できません。また、四隅の壁も邪魔です。刻一刻とダイナミックに変化する世界で、お守りを買った部隊がなかなか帰れなかったかと思うと、塔のあるタイルが近づいてきてあっさり帰れたりもします。その上に、手番に1つだけタイルの移動を封印することができます。封印されたタイルは次に自分の手番になるまで、他のプレイヤーが動かすことができません。動かせないタイルを見ながら、ベスト配置はどこか考えるのはパズルの要素があります。
お守りを集めれば集めるほど、魔法の力が強くなってより多くのタイルを移動できるようになります。終盤は1回の手番でも激しく盤面が変わるので、他プレイヤーの部隊の帰途を邪魔する方法をよく見極めながら、規定数の素材を集める展開になります。
S君が麻雀の経験をフルに生かしてあと何手で上がれるか計算し、1手差で勝負が変わるという緊張感の中勝利。世界観といい、わかりやすいシステムといい、またあちこちに仕組まれたジレンマといい、なぜにノンタイトルなのか納得できませんでした。それだけ、ドイツゲームの水準の高さを物語るものでありましょう。
ガルゴン(Gargon/Ruediger Dorn/Amigo 2001)
カードはドラゴン、ペガサス、ガーゴイル、フェニックス、マンティコア、フェアリーの6種類があり、それぞれ0~15の数があります。カードの色だけは、裏から見てもわかるようになっています。スタートプレイヤーは手札から1枚~3枚のカードを出して他プレイヤーに挑戦します。他プレイヤーは時計回りに挑戦を受けてカードを出すか、パスするかします。1周したら、色ごとに勝敗を調べていきます。各色で1番大きな数を出したプレイヤーがそのカードを自分の得点とします。他にその色を出したプレイヤーがいなかったら、不戦勝で自分の得点になります。
もちろん大きな数字を出せば勝負に勝つことはできます。しかし、大きな数字のカードには点数がありません。数が小さいほど、多くの点数が入るようになっているのです。写真のように、1~3のカードは5点なのに、4のカードは3点、13では0点です。したがってできるだけ小さい数字で勝つようにすることが必要となります。
最も確実な方法は、不戦勝に持ち込むことです。他のプレイヤーが何色を持っているかは裏から見てもわかるようになっているので、他のプレイヤーがもっていない、またはプレイしていない色を出せばOKです(ただし最後にプレイするプレイヤーは、前に出された色しか出せないという縛りがあります)。しかしたいていの場合、色はかぶっている訳で、不戦勝に持ち込むことは簡単ではありません。
そこで生きてくるのがコンビネーションです。同じ色のカードは、一度に2枚まで出すことができます。その色の勝敗は、まず各プレイヤーのそれぞれ最も大きな数字のカード同士で決め、次に(あれば)もう1枚のカードで決めます。つまり、1枚目をかませ犬にして、2枚目に数字の小さいカードを出せば、数字の大きいカードとの対決を回避することができるわけです。ちなみに最弱の「0」は、その色の得点を倍にするというボーナスになっています。
こうして手札のカードをできるだけ小さい数字で勝つように企てながら、点数をためていきます。手札にいいカードがなければパスをして山札からカードを補充することができます。2つの山札のどちらかがなくなったときにゲームは終了です。終盤は、いいカードがほしいけれど山札をなくせばゲームが終了してしまうというジレンマが起こります。色ごとに最もたくさん集めたプレイヤーにボーナスが入って、最も点数の高いプレイヤーが勝ちます。
このゲームは、ハッタリがききます。自信ありげに出した2枚のコンビネーションが実はどちらも弱いカードで、みんなが戦闘を回避すると大儲けというようなことも起こります。今回は、ポーカーフェイスで最弱カードを通しまくったS君が勝ちました。
利益・廃液(Muell & Money/Juergen Strohm/Hansim Glueck 2001)
手番はスタートプレイヤーから3枚一組のカードを取るところから始まります。カードには売却(競りによる材料の調達)、契約(製品の販売)、成長(利率を上げる)、技術革新(人員削減、低コスト、ゴミ減量の3種類)、廃棄物処理、雇用・解雇、不法投棄(ゴミを他プレイヤーへ押し付け)、買収(汚染時の責任逃れ)、相談役(借金返済・他のアクションの倍加)の9種類があります。技術革新で工場の生産能力を上げ、成長で利益を上げ、材料を仕入れて製品を作って販売し、そこで出たゴミをあまり多くならないうちに処理する…ということを繰り返してお金を儲けます。
このゲーム、最初の資金はありません。いきなり借金からスタートします。とても重苦しい雰囲気です。そして最初から積極的にリストラをしなければなりません。涙が出ます。材料費は競りで手に入れるので暴騰するとほとんど利益が出ません。しくしく。借金は相談役カードがないと返済できず、技術革新費用などでどんどん膨らんでいきます。ひえ~!ゲーム終盤にはたまりにたまったゴミの山との格闘。工場に詳しいmuraさんによると「儲けにならないゴミ処理が一番金がかかる」んだそうです。まさに工場経営者の苦悩をシュミレートできますが、ネガティブな要素が多すぎてやりがいがありません。人生は苦しみなり。
このゲームは、ヴァリアントになってはじめて面白いようです。ヴァリアントではゴミ処理の方法を皆で話し合ってルールを作ります。まさに環境先進国のドイツらしいゲームですが、ドイツ国内の評価はいまひとつだったようです。このご時世にはつらいのでしょうか。
もっともリストラを進めて設備投資を多くした私が勝利。muraさんとKさんはぎりぎり黒字レベル、S君は借金がかさんで大赤字となりました。ふう。お金がユーロだったので感激。