キャンディ工場(Kipp mir Saures)
倒れるかと思ったが
各自、赤青黄/大中小のダイスをもってスタート。手番には手持ちのダイスから1個、好きなチューブに入れる。何も起きなければ次の人の手番。
そのうち、チューブの中のダイスが貯まってくると、その重みでチューブが傾き、ダイスが出てくる。何個で出てくるかはダイスの大きさによって変わり、4個か5個のようだ。ダイスが出てきたら、手番プレイヤーから順番にダイスを1個ずつドラフトして対応するアクションを行う。
アクションはチューブによって異なり、銅のチューブならば同じ色の材料キューブをその出目だけもらい、銀のチューブでは同じ色の型カードか同じ出目のカラフルカードを取り、金のチューブでは同じ色の型カードに必要なキューブを支払ってキャンディを完成させる。
ほしい材料・型を取り、手持ちの材料と型でキャンディを完成させるには、ダイスを先にドラフトしたいところ。後からドラフトすると、対応する材料・型がもうなかったり、手持ちのものでは完成できなかったりもする。そのため一番いいのは自分の手番にチューブを倒すことで、今までチューブに入っているダイスをだいたい記憶して(チューブの中を覗いてはいけない)、4個目か5個目になるように、自分がほしい色のダイスを入れていく。
キャンディを完成させるのに使ったダイスはカードの上に置かれ、もう使えなくなる。こうしてダイスはだんだん減っていく後半は、チューブを倒しやすい大ダイスを手元に残して置けるかが勝敗のカギとなる。誰かが5枚キャンディを完成させたら終了。完成したキャンディの得点に、全色揃えボーナスと、色別の最多ボーナスを加えて勝敗を決める。
記憶は重要な要素だが、どのチューブに、何色・どの大きさ・何個入っているかまではさすがに覚えきれない。だいたいここで倒れそうかなという見当をつけてダイスを投入し、びくともしないときのがっかり感、ちょっとだけ揺れたときの悔しさ(次の人が喜ぶ)、狙い通りに倒れたときの嬉しさ。しかしせっかく倒したのに出てきたダイス目がどれもしょぼくてしょんぼりすることも。
このような記憶と運のゆらぎを前提とした上で、チューブとダイスの選択には戦術があり、終盤はさらにボーナス獲得へのせめぎあいも加わってたっぷり楽しめる作品である。
Kipp mir Saures
ゲームデザイン:エマヌエル・アルビッサー/イラスト:フォルコ・ストレーゼ
ツォッホ出版(2021年)
2~4人用/8歳以上/45分
通販:メビウス/バネスト
待望の名作『プエルトリコ20』日本語版、2月10日発売
2002年にアレア(ドイツ)から発売され、ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート、ドイツゲーム賞、国際ゲーマーズ賞(マルチプレイヤー部門)、日本ボードゲーム大賞(海外ゲーム・フリーク部門)で1位に輝くなど一世を風靡した作品。Boardgamegeekでは通算6年間総合ランキング1位を守り、日本版The One Hundredでは2005年のスタート以来16年間にわたってトップ10にランクイン。日本語版が長らく待望されていた。
プエルトリコの植民地統治者となって、ヨーロッパへの物資の輸送や建物の建設によって勝利点を競う。順番に職業を選び、選んだ職業のアクションを全員が行う「バリアブル・フレーズ・オーダー」メカニクスが用いられ、お互いの状況を見た職業選択の駆け引きと、さまざまな効果をもつ建物選択の戦略が相まって遊びごたえのあるゲームになっている。
今回日本語化される2020年版(第3版)では、これまでに発売された拡張セット「新たな建物」「貴族」「バッカニア」「祝祭」を全て同梱。アートワークが一新されているほか、奴隷制度をテーマにしたボードゲームへの批判から、「親方」アクションで船から茶色の労働者が取られていたところを、職業斡旋所から紫色の労働者を取ることに変更された。旧版からの買い替えもアリだ。
内容物:ゲームボード 6枚、商品駒 50個、労働者駒 100個、貴族駒 20個、貨物船 5枚、コイン 51枚、島タイル 58枚、勝利点チップ 50枚、役割カード 10枚、建物タイル 90枚、ルールブック 1冊