エッセン0日目
今回のエッセン行きは格安航空券のアシアナ航空、インチョン経由フランクフルト行きとなった。込み込みで往復9万くらい。去年のエールフランスと比べると半額ぐらいである。
成田からインチョンは2時間半、インチョンからフランクフルトは11時間半である。乗り換え時間は1時間だけだから、意外に早かった。ただし、成田の出発時刻は午前9時。山形からでは前泊が必要な上、埼玉に泊まったので4時半起き。エレベーターもエスカレーターもない駅もあり、重いスーツケースを運ぶのは骨が折れた。
朝7時半、今回同行する神尾さん、karokuさん、ふうかさんのお三方と合流して飛行機へ。出国手続きの行列が予想外に長くて、係員と一緒に走っての搭乗となってしまった。ついでにインチョンでも、本屋に売っているボードゲームをチェックしているうちにギリギリ。のっけから珍道中の気配である。
さてアシアナ航空だが、これまでで一番快適なフライトだった。まず、食事が旨い。インチョン行きではカルビ丼、フランクフルト行きではご飯と焼き肉に味噌をつけて野菜で巻いて食べる料理が出た。それから、アメニティグッズの豊富さ。歯ブラシと歯磨き粉、アイマスク、スリッパが全員分付いており、到着時には希望者に顔パックまで用意してあった。そして、頻繁な飲み物サービス。ジュースと水を定期的に運んできてくれるので、到着までに1リットルは飲んだだろう。
日本語付きでみられる映画は少なかったが、それを補って余りある満足度である。ちなみに映画は『アイスエイジ3』『五右衛門』『トランスフォーマー:リベンジ』を鑑賞。おとんど寝ないで見ていたので目が充血気味。
空港に着陸してから1時間後にICEに乗ることができた。フランクフルト空港駅からエッセン中央駅まで約100分。窓口でつい一番早いのを頼んでしまったが、REでもよかったかもしれない。ICEだと79ユーロ。
今回の宿は日本人のshokoさんが経営するウィークリーマンション。エッセン中央駅から地下鉄に乗り換え、15分ほどの駅から3分で着く。メッセ会場にも直通で行ける便利なところだ。
予定よりも早く着きすぎてしまったので、shokoさんがまだ帰っていなかった。道に迷いそうになったが、人に聞いたり、建物に付いている番地を見たりして到着。ひとまず食料の買い出しに近くのスーパーへ。チーズやハムの品揃えのよさに小躍りする。今回の宿は自炊が基本なので(といってもパンにハムやチーズをはさむくらいだが)、このスーパーは重宝しそう。
宿に帰るとshokoさんが帰宅しており、チェックインを済ませた。shokoさんはとてもきさくな方でつい話が弾む。部屋は想像を遙かに超える広さで、エントランスルーム、ベッドが軽く4つくらい入りそうなのに2つしかないリビング・ベッドルーム、テーブルのあるダイニング、キッチン、バストイレ。これで1人1泊5,000円もしない。
こんなよい部屋をゲーマーが放っておくはずはなく、神尾さんと私の部屋、karokuさんとふうかの部屋のほかも全部いっぱいだった。しかも全員知り合いという世間の狭さ。来年の分も予約していこうかなと思った。
長かった1日はこれで終わり。明日の用事はないので近くを散策して楽しむ予定だ。
ゲームリンク創刊号
国内のボードゲーム情報誌としては、年代順に『ノイエ』『バンプレス』『ボードゲーム天国』『ボードゲームキングダム』『シュピール』が刊行されてきた。最新情報ではネットにかなわないものの、紙媒体には記事をじっくり読める魅力がある。『ゲームリンク』も読みごたえのある記事が満載だ。
特集「No Game No Life!」では、国内外のゲームデザイナー、ゲーム関係者がそれぞれおすすめのゲームを紹介する。デザイナーのM.シャハト氏、B.フェデュッティ氏、ショップ店長の能勢良太氏、中野将之氏、丸田康司氏らの生の声が聞けてて興味深い。読んでいるうちに遊びたいゲームがどんどん増えてくるから困ったものだ。
そのほか、『ル・アーブル』や『1830』の攻略記事といった濃い記事からキッズゲーム紹介やインストのコツや世界の伝統ゲームなど裾野を広げる記事、ラベンスバーガーの現在(拙著)やヤポンブランドの経緯など業界レポートまで盛りだくさん。イベントレポートはIGDAで鈴木銀一郎氏の講演録である。
しかし何といっても特筆に値するのは付録ゲームの『Merchant Guild』だろう。川崎晋氏の新作だが、ルールもコンポーネントも本格的に作り込まれている。陣取りをしながら資源を集めて建物を作り、その特殊効果でさらに成長するというドイツゲーム的な内容。手番は6種類のアクションから3つを行うというもので、やりたいことはたくさんあるのに全部はできないジレンマに悩まされる。ボードはシート上になっているが、チップは厚紙打ち抜きでしっかり作られており、情報誌の方が付録ではないかと思うほど。情報誌の中にはルールのほかに、このゲームの説明をするマンガもついており、ぜひとも遊びたくなった。
余談ではあるが、ドイツのボードゲーム情報誌『シュピールボックス』にもオリジナルの付録ゲームが時折ついており、いくつか遊んだことがある。結構著名なデザイナーを起用しているのだが、作り込みが甘く退屈なものが多い。『ゲームリンク』の付録も、いくら川崎氏とはいえ付録ではその程度だろうと思っていたので、嬉しい誤算だった。
新作紹介は20タイトルほどに及ぶ。話題の日本語版の中に混じって、『カットスロート』や『ラビットハント』など、ウェブではあまり注目度が高くないゲームが紹介されているのも面白い。ドイツゲームがたった2タイトルしかないことからも分かる通り、バラエティに富んだラインナップとなっている。
3780円という価格は高いと感じる人もいるにちがいない。でもスルーしていた新作に改めて目を向けて、コラムを楽しんで、攻略記事で研究して、付録のゲームを2、3回も遊べば十分元は取れるはずだ。ボードゲームにはまってきた人にも、この頃何となく飽きてきた人にも、新しい楽しみ方を見つけるヒントにしてもらいたい。
・ボードゲーム情報誌GameLink公式サイト