地獄の釜(Auf Teufel komm raus)
「もっと欲張れ」が悪魔のささやき
ゲームボードに描かれているのは、鋼鉄製の地獄の釜。その中には炭コマが入っている。その裏にはさまざまな数字と、悪魔マーク。自分の番には、ここから1枚ずつ引いていって、好きなところで止めてよい。ただし悪魔を引いてしまったらバーストで0点。つまりは坊主めくりである。
しかし、その前に全員で、このラウンドの最高点を賭けるというフェイズがあることでゲーム性が高まる。ほかの人の得点状況を見ながら(劣勢の人は大きく賭けてくるだろう)、いくら賭けるかを考え、手持ちのチップを出して全員同時公開。それから順番に炭を引いていく。
自分がバーストしても、賭けたチップ以上の点数を誰かが引いてくれたら賭け成功となる。賭けたチップと同額だけプラス。ところが賭けたチップが一番多い人は、成功すれば払い戻しが何と2倍! このルールのおかげでぬるい賭け方ができない。一方、賭けたチップが一番多ければ多かったで、次々と目標に届かず終わっていく仲間をはらはらしながら見ることになる。
一番かっこいいのは、一番多く賭けて、自らそれだけの炭を引くことだ。バーストせずに枚数が一番だった人と、合計が一番だった人に与えられるボーナスも総取りできる。そういうときに限って、最初の1枚目で悪魔が出てズッコケたりするものだ。規定点に達したラウンドで、チップの最も多い人が勝ち。
5人プレイで30分ほど。最初は慎重に賭けていたが、途中で冒険して高めに賭け、「100」の炭を引いて一気に儲けることができた。トップとなり、あと1回で規定点に達するところだ。そこで安全策を取り、逆転を狙うほかの人が失敗してくれれば1位という展開を狙う。最後のnagaさんの手番、場のチップはほとんどが悪魔となっていた。勝利は確実かと思われたが、nagaさんが鬼引きで「100」を引き大逆転。私は安全策が裏目に出て3位に後退。
勝敗は結局のところ引き運であるが、チップを賭けるとき、炭を引くときのスリルがたまらない。誰かが異様に高額な額を賭けたり、「100」がめくられたりするたびに大きな歓声がわき起こって盛り上がった。
Auf Teufel komm raus
T.エンゲル、S.エンゲル作/ツォッホ出版(2013年)
2~6人用/10歳以上/40分
シュピール’13新作情報:2Fシュピーレ
緑髪の鬼才F.フリーゼが自身の作品を発表しているドイツの個人出版社です。
F.フリーゼ作、2~6人用、12歳以上、40分。アークライトの日本語版が来春発売される予定です(2625円)。
アパートの大家さんが、アパートを建て、店子を募集し、ガッポリ儲けることを目指すゲーム。しかし建物はいつまでも完成しないわ、壊れるわ、おまけに問題大ありの店子がやってくるわで、思い通りにはいきません。いわくつきの店子には他の物件を紹介して出て行ってもらうか、あらゆる危険な手を使ってでも追い出し、金払いのよい、店子を住まわせましょう。でも、ほかの大家も同じことを画策していることに注意しなければなりません。
フリーゼが22歳のときに初めて制作し、アバクスシュピーレから『斡旋屋(Wucherer)』というタイトルで発売されたカードゲームのリメイクです。当時はタイトルの頭文字が「F」ではありませんでしたが、今回は「フリーゼの(Frieses)」と付けることで「F」にしました。
F.フリーゼ作、2~6人用、8歳以上、25分。
最後のトリックだけ取らないようにするトリックテイキングゲーム。北欧のトランプゲーム『アグルク』を現代風にアレンジしたものです。
自分の番には、数字の大きいカードを出してトリックを取るか、パスして手札の最も小さい数字を捨てなければなりません。最後のトリックまで、数字の小さいカードをキープしておくのは難しくなります。
最後に残ったカードで7回目のトリックを取ってしまった人は、キュウリを受け取ります。1人でもてるキュウリは5本までで、それを超えてしまった人はゲームから脱落します。最後に残ったプレイヤーが勝利します。
F.フリーゼ作、2~5人用、8歳以上、10分。
フリーゼのフライデープロジェクト(『暗黒の金曜日』『ロビンソン漂流記』)の最後になる作品。ゲーム会の夜、テーブルにはお菓子が並んでいます。各自がひそかに摂取カロリーを決めた後、テーブルのお菓子を取ったり、ほかの人から奪ったりしていきます。最後にカロリーを発表して、目標通りに取ることができた人が勝ちます。お皿が同梱されており、本物のお菓子を入れてほかのゲームのプレイ中にプレイすることもできます。
★電力会社:オーストラリア&インド亜大陸(Funkenschlag: Australien & Indischer Subkontinent)
F.フリーゼ作、2~6人用、12歳以上、120分。
毎年恒例、電力会社の拡張マップです。オーストラリアは南東部に都市が密集しているため、全国に電力網を広げるのはコストがかかるようになっています。インドは急速に電力網を広げると停電が起こる上に、資源が限られています。