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フランス年間ゲーム大賞2014ノミネート

来月28日から開かれるカンヌ国際ボードゲーム祭に合わせて、アスドール・フランス年間ゲーム大賞(As d’Or – Jeu de l’Année)のノミネートが発表された。この中から大賞が27日の前夜祭において発表される。
今年のフランス年間ゲーム大賞は8人の審査委員によって選ばれており、昨年は『アンドールの伝説』、一昨年は『タケノコ』、一昨年は『髑髏と薔薇』が受賞している。昨年は12タイトルがノミネートされていたが、今年は14タイトルに増え、良作が多かったことを伺わせている。日本発の『ラブレター』、韓国発の『コリョ』などが取り上げられている一方、ドイツ発は2タイトルに留まった。
カンヌ国際ボードゲーム祭は来月28日から3日間にわたって開催される。2011年に入場者17万人を記録して以来、エッセン・シュピールを上回る規模のイベントとなっている。
【アスドール・フランス年間ゲーム大賞2014ノミネート】
アウグストゥス(Augustus / ハリケーン出版)
ブリュッセル1893(Bruxelles 1893 / パールゲームズ)
コンセプト(Concept / ルポ・プロドゥクシオン)
クレージータイム(Crazy Time / イン・ルド・ヴェリタス)
クロスマスター・アリーナ(Krosmaster Arena / アンカマ)
コリョ(Koryo / ムーンスターゲームズ)
中世の建築士(Les Batisseurs / ボンビックス)
三匹のこぶた(Les Trois Petits Cochons / パープルブレインクリエーション)
ルイス・クラーク探検隊(Lewes & Clark / ルドノート)
ラブレター(Love Letter / フィロソフィア)
マスカレイド(Mascarade / ルポ・プロドゥクシオン)
マイス&ミスティクス(Mice & Mystics / フィロソフィア)
ごきぶりキッチン(Panic Cafard / ラベンスバーガー)
ゆらゆら海賊船(Riff Raff / ツォッホ)
Festival International des Jeux Cannes:As d’Or-Jeu de l’Année

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マスカレイド(Mascarade)

オレは一体誰なんだ?
マスカレイド
昨年暮れに訳出した「日本のミニマリズム」で、フランス人デザイナーのB.フェイドゥッティ氏は、「単一のメカニズムに基づいた超シンプルなゲームで、1ダースのコマやカードだけでプレイでき、禅的な美しさを強調したもの」がブームになりつつあると述べている。そこで言及されたのが、『ラブレター』と『クー』と、この作品だった。自身の作品なので手前味噌になってしまうが、『ラブレター』と同様に、手札が1枚しかないゲームである。フェイドゥッティ氏の代表作である『あやつり人形』を、さらにシンプルにしている。
目標は13金集めること。自分の番には、自分の職業を発表し、その職業の能力を使ってお金を集めていく。ただし、自分がもっている職業を正直にいう必要はない。それどころか、自分がどの職業なのかもどんどん分からなくなっていくのだ。
はじめに1枚ずつ配られる職業カードを、みんなで確認をしてからゲームスタート。手番には、自分のカードを見るか、誰かと交換するか、能力を使うかの3択である。最大のポイントは、交換を机の下で行い、交換したふりをして実際は交換しなくてもよいというルールである。ゲームスタートからの4手番は、これしかできない。そのため最初からどんどんカオスになっていく。
AさんとBさんが交換して、BさんとCさんが交換して、Cさんと自分が交換した。その後、自分の前にあるカードは、Aさん・Bさん・Cさんが前にもっていたものか、前と変わっていないかということになる。カードを見るのは、それだけで手番が終わってしまい、1周する頃には誰かと交換されているかもしれない。
能力を使うとは、例えば王様だったら銀行から3金取るとか、道化だったらほかの人同士のカードを交換するとかいったもので、カードを公開する必要はないから、どの職業を宣言してもよい。ただし、本当の職業をもっている人が名乗り出ると阻止されてしまう上に、罰金を支払う羽目になる。でも、みんなも自分の職業があやふやだから、あまり名乗り出なさそうなところに乗じて適当な職業をいってお金を取ってしまうのである。
ゲーム中にどんなことが起こるかというと、同じ職業を名乗る人が次々と出てくる。しかもそのみんなが自分の職業が何であるかはっきりと分からないため、名乗り出ることもしない。「司教です。一番お金をもっている人から2金もらいます」「私も司教です。2金もらいます。」「私も」「1人しかいないはずですが?」この3人は、カードを交換し合った仲である。お互い確認していないことを担保にして、一種の同盟を結んでいるのだ。この変な連帯感がたまらない。
8人プレイで15分ほど。私は農夫で、もう1人名乗り出てくれればもらえるお金が増えるが、誰も名乗り出てくれない。そのうち自分の手札を確認したhataさんが王様を名乗って3金を集めだす。それは本当なのか分からないまま、交換で流れていく王様。きっと自分のところに来ただろうと思っていたが、ゲームが終わって確認すると、自分の前にあったのはもう1人の農夫だった。勝者は、上記の司教同盟をうまく結んで稼いだstさん。
まだ使っていない職業もあるので、人数が多いときにまた試してみたい。
Mascarade
B.フェイドゥッティ/ルポ・プロドゥクシオン(2013年)
2~13人用/10歳以上/30分