シュピール’14:アスモデ・ゲーミングナイト
シュピール初日の夜に、会場近くのホテルで行われているアスモデ・ゲーミングナイトに参加してきた。
アスモデ(Asmodee)はフランスのボードゲーム出版社で、自社製品としては『ドブル』や『ジャングルスピード』など数えるほどしかないが、アメリカ、ドイツ、中国に支社をもち、フランス内外の出版社の製品を取りまとめて世界中に売るというビジネスモデルを確立している。
数年前からハズブロー社(アメリカ)に代わってシュピール入口の一番目立つブースを取っており、今ではらさらにホワッツ・ユアゲームズ?(イタリア)、パールゲームズ(ベルギー)などのシュピールで人気の出版社も束ねている。
ゲーミングナイトでは軽食を取った後、いくつかのテーブルに分かれて座った。そして7分という制限時間で、傘下の出版社が順番にプレゼンをして回るという仕組みだった。紹介された作品は20タイトル。すでに発売されているものもあれば、未発表の試作品もある。このプレゼンを聞いて、各国のディストリビューターは、その商品を買いたいか、現地語版を出したいか答える。
プレゼン中も自由に飲食できるので、朗らかな雰囲気である。プレゼンするほうもビールやワインを片手にもっている。フランス人デザイナーのB.フェデュッティが自作の試作品を紹介するとき、「日本語で知っているのはジャンケンポンとアイコデショ」と言っていたのには笑った。
今回プレゼンしたのは13社。参加した各国のディストリビューターは20社以上で、広がりの大きさに驚く。アスモデの支社を除くとドイツは出版社、ディストリビューターともに参加しておらず、ドイツ包囲網のような状態である。これまでボードゲーム業界をけん引してきたドイツが、主役の座をフランスに明け渡す日が来るかもしれない。
シュピール’14:ドイツゲーム賞授賞式
10月15日、シュピールの前夜祭となるドイツゲーム賞授賞式が午後7時半から行われた。フリードヘルム・メルツ社の招待により出版社、デザイナー、記者など100人以上が集まり、ワインやビールを飲みながら和やかに進められた。
ドイツゲーム賞は1990年から毎年行われているもので、愛好者による投票で順位が決められる。投票はドイツのボードゲーム専門誌『フェアプレイ』『シュピールボックス』『シュピーラライ』にハガキが同封されるほか、テレビやラジオで活躍しているジャーナリスト、ドイツ、オーストリア、スイスにある300以上のボードゲームサークル、そして2001年からインターネットで行われ、数千人の愛好者が投票に参加している。
はじめにエッセン市長から金の羽根・模範ルール賞の贈呈。今年は『アブルクセン』が受賞し、ラベンスバーガー社の方とW.クラマー氏が壇上に登った。続いて10位から順番に呼びあげられ、それぞれ出版社とデザイナーが壇上で賞状を受け取る。
感慨深かったのは『ラブレター』で4位を受賞したカナイセイジ氏の登壇。以前にも日本人作品の受賞はあったが、日本人が登壇するのは史上初である。インタビューはなかったが、ドイツ語版の発売元であるペガサスシュピーレの方とともに賞状を受け取り、カメラに囲まれていた。