建物への一本道のはずが

スペインを舞台に村々にワーカーを配置して作物を収穫し、道具を手に入れ、建物を建てる拡大再生産ゲーム。タイトルはスペイン語で「栽培」などの意味。作者のドラはこのところ1年に1作品というペースを守っており、安定した面白さがある。建設的なテーマ、90分ぐらいのほどよいプレイ時間、先取りの要素が複合して生まれる絶妙なインタラクションは、ユーロゲームの王道である。
村ボードをランダムに組み合わせ、最初のワーカーを置いてスタート。手番には新たにワーカーを配置する、すでにいるワーカーを移動させる、作物を生産する、道具を獲得する、建物を建てるという5つのアクションから2アクションを行う。組み合わせのクリエイティビティと、ダウンタイムのバランスがちょうどよい。
作物はスペインらしくトマト、オレンジ、ブドウ、オリーブ、小麦、木材があり、生産するときは1種類の作物を指定して、自分のワーカーがいるエリアの数だけ生産できる。したがってワーカーの配置と移動では、生産したい作物のエリアに集中させて、一度に複数の作物を生産したいところ。しかしワーカーの配置や移動は隣だったらタダだが、それ以上移動する場合や、水路をまたいで隣村に行くときは指定された作物を支払わなければならない。
その作物の支払いを楽にしてくれるのが道具である。道具タイルは5×5のグリッドにランダムに置かれていて、その列・行の作物を組み合わせて支払うことで獲得できる。どの道具が欲しいのか、そのためにはどの作物が必要なのかを考えて生産していくことになる。早い者勝ちなので、他プレイヤーが何を狙っているかも念頭におく必要がある。
道具は6種類あり、配置・移動コストを下げるもの、追加生産できるもの、作物を代替できるもの、追加手番ができるものがある。これらを集めることで、ワーカーを動かさずに同じ作物を大量生産するモノカルチャーでもやっていけるようになる。
そして道具を一定数集めると、指定された作物を支払ってその色の建物が建設できるようになる。建物は6種類あり、早い者勝ちの勝利点のほか、それぞれゲーム終了時にボーナス得点をもたらすので、できるだけ多く建てることが最終的な目標となる。実際やってみると、限られたタイルを他プレイヤーと取り合うために道具を一定数集めるのが大変。
場の道具が4つだけになるか、誰かが5つ目の建物を建てたらゲーム終了。まだまだ終わらなさそうだと思ったら、終盤は生産力があがるので早い。ポイントサラダというほど得点源は多くなく、それぞれ何を狙ってゲームを進めるかが明確であり、ほどよいプレイ時間に比して遊びごたえのある作品である。
Cultivo
ゲームデザイン:S.ドラ&R.ドラ&A.ツィマーマン、イラスト:A.ユング
シュピーレファイブル(2025年)
2~4人用、12歳以上、60~90分