新幹線ゼロ系(Shinkansen: Zero Kei)

結局豊橋止まり


東京オリンピック(1964年のほう)を前に、東京~新大阪間に新幹線の路線と駅を建設すると共に、オリンピック開催に貢献するゲーム。ルドノヴァ社(スペイン)から発売されたもので、デザイナーもスペイン人。パッケージイラスト(左)が見てて飽きない。

たった5手番しかない中で、他のプレイヤーと駆け引きして路線を延ばすユーロゲームである。ゲームは1959年から始まり、5ラウンド(5年間)で行われる。各自、自分の先頭車と最後尾客車をとってスタート。

毎ラウンド、まず場に並んだ客車カードからほしいものを1つ選び、最も手前にある客車を選んだプレイヤーから手番を行う。ラウンドごとにアクション数が定められており、その中で収入、整地、線路の敷設、駅の建設、オリンピック会場への協力などのアクションを行い、勝利点を得る。何をしてもお金がかかるので、収入アクションは欠かせず、それを少しでもカードの永続効果などで節約するというカツカツぶり。

獲得した客車カードは、アクションの選択肢を増やすとともに、そこに書かれた都市に駅が完成しているとボーナスをもたらす。ただしそこに線路が敷設されていないとマイナス。そのため、獲得するカードを吟味し、獲得したカードの都市には線路も駅も整備したい。アクション数は少ないので、同じ駅を持っているプレイヤーと部分的に協力関係になる。「浜松に線路引いてもらえませんか? 駅は作りますので」「でもその先の静岡まで行けるかどうか……」

さらに線路がつながっていると、連続した駅のボーナスが入るため、手持ちの客車カードによって利害が絡み合う。どの駅を優先して開発するか悩ましい。

さらに3ヶ所のオリンピック会場への協力も欠かせない。こちらは無料で聖火台を置いてボーナスをもらうアクションだが、それでも1アクション費やす上に、最後に残った聖火台は失点になってしまう。また、聖火台のマジョリティでその都市のボーナス(線路ができていなければペナルティ)があるので、それも踏まえて協力する都市を選ばなければならない。

4人プレイで1時間強。大阪から建設が始まり、そちらに3人が行ってしまったので私はひとり静岡より東を進める。しかしひとりではどうしようもなく、結局新幹線は豊橋止まりでオリンピックを迎えてしまって最下位。東海地方の整地コストが高いのが響いた。

他のプレイヤーの思惑をうまく利用したアクションの組み合わせ方は創造的で、複雑すぎず、2020→21年のオリンピックにはすでになかった当時の熱狂が感じられた。古き良き時代の新しい鉄道ゲームである。

Shinkansen: Zero Kei
ゲームデザイン:イスラC&シェイS/イラスト:ロカメイドスタジオ
ルドノヴァ(2021年)
1~4人用、12歳以上、60分

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