ゲームマーケット2020秋レポート(2)

コロナ禍で2回連続中止となり、1年ぶりに開かれたゲームマーケットのレポート。前回 の続き。
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会場となった東京ビッグサイト青海展示場。本ホールは東京オリンピックが延期になったためまだ使えず
参加者は1日目8100人、2日目5200人で合計13300人だったことがゲームマーケット事務局から発表された。前回から55%の減少である。出展も2日間で683ブースと前回から36%の減少。当初はもっと多かったが、入場制限が発表されたのが出展募集を締め切ってからだったため、無料キャンセルを受け付けたところ、1割以上減少したという。「コロナでなければ……」と思うが、世界的にイベント中止が相次いでいる中、開催できたこと自体を喜ぶべきであろう。
試遊卓はエリアブースの一部にのみ設置されたが、来場者には最長で3時間の時間制限があったため、試遊している姿はほとんど見られない。そのため、エリア出展のAホールは閑散として「平日のデパート(karokuさん)」のようだったが、一般出展のBホールは比較的賑わっていたように思う。

一般出展のBホール
2日目を盛り上げたのは人気お笑いコンビ「NON STYLE」の井上裕介氏だ。Youtube発で自ら制作を手掛けたコミュニケーションゲームを手売り。会場内ではマーダーミステリー作品に注目しているという。

NON STYLEの井上裕介氏によるコミュニケーションゲーム『おもいをひとつにイッチッチ』は、「高級寿司の2位といえば」といったお題にみんなで答えて回答の一致を目指す
以下、Bホールを回って注目された作品を36タイトル一挙に紹介しよう。



『悪魔でお仕事~Idle Hands~』(梟老堂)はマイナスカードを押し付け合うトリックテイキング。自分の前に並んだカードの色でリードしなければならないという「マストリード」が独特

『Cat in the Box』(操られ人形館)は獲得トリック数を予想するトリックテイキング。カードは無色で、スートを宣言してリードするが、色と数字の組み合わせが記録され、矛盾があるとラウンドが終了する

『Rise of the Metro』(ナナワリ)は各自の色の路線を伸ばして大きい駅につなげる運の要素がないコネクションゲーム。ほかの人がつないだ2駅間はもう路線を引けなくなる

『ONE STORY』(scultur-at)は部屋タイルを並べて入居者を呼び込むタイル配置ゲーム。部屋タイルは封筒に入っていてどんな形か開けるまでわからない

『netacalaie(ネテカライエ)』(するめデイズ)はお題ワードに一文字ずつ足していって、最終的にできあがった文字列からお題ワードを当てるワードゲーム

『ダイダラ』(花見猩々)は小人が協力して巨大な敵を倒すタイル配置ゲーム。ダイダラが出現するまでに攻撃準備を整えなければならない

『タビネズミ開拓記』(クリッティニア)はレミングたちが協力して新大陸を探索するゲーム。資源で道具を作成したり施設を拡張したりできる

『デパートビルダー』(さとーふぁみりあ)はデパートの売り場を整えてお客さんを集めるカード配置ゲーム。売り場を広げるのが先か、見切り発車で開店してしまうか

『ワームス』(ワームス)はほかのワームにぶつからないようにしながら身長を伸ばしていくゲーム。ぶつかるとお邪魔キャラの幽霊になる

『ぐるぐる廻るドラゴンとオバケたち』(Popipopo Games)はオバケにつかまらないようにしながら、ドラゴンを倒す協力ゲーム。ドラゴンの火にも注意しなければならない

『ゲーミングスパイス』は8種類のスパイスを実際に食べて、その味をワードカードを組み合わせて表現し、実際は食べていない人を当てる正体隠匿ゲーム

バーチャルボードゲームデザイナー「夢洲ここん」の中の人となった北条投了氏の新作は『トランプ再集計』。無料配布の上、ルールは後日ウェブで発表された

『ルルディック』(ノスゲム)はミニスティックでおはじきする総木製ウッドバーニングのゲーム。8万円で予約完売

『サン・ジミニャーノの塔』(タルトゲームズ)は同じ数字か降順にカードを出して高い塔を競う2人用ゲーム。数字の数と枚数が同じであるため、高くなるほど苦しい

『Rosarium(ロザリウム)』(L.A.G.Craft)は庭師を移動してバラの花を植え、花壇ごとに相手より多くのバラを植えることを目指す2人用エリアマジョリティゲーム。3~4人拡張あり

『滅茸(めつたけ)』(インベード.)はいろいろなきのこタイルを何列かに分けて並べ、どの列を取るか選ぶ。毒キノコに注意

『すしとりっ!』(ゲームNOWA)はほどよい量のお寿司を取るメイフォローのトリックテイキング。同じトリック内で連番になると役がついて得点が入る

『不謹慎王』(角刈書店)はさまざまなお悩みに対して回答の不謹慎さを競う大喜利系ゲーム

『ゆらゆらペンギン』(ヤブウチリョウコ)は同じ色かマークのカードを出して、次の人に氷山やペンギンやロックアイスコマを積ませる『キャプテンリノ』のようなバランスゲーム

『Herbarium(ハーバリウム)』(大納言製作所)は場から素材チップを集めて役を作るセットコレクションゲーム。余ったタイルは失点になるが、高得点を狙ってあえて取る手も

『LINKAGE』(LINKAGE)はカードの指示に従って棒を指と指で支える非接触型のアクションゲーム

『詠天記』(アクサン・シルコンフレックス)は巫女となって天気をコントロールし、農業や交易をする戦略ゲーム。第2版がキックスターターを経て来年発売予定

『ハリウッドセンセーション』(数寄ゲームズ)は、取りたいトリックとそうでないトリックがある2人用トリックテイキング。嬬恋のスーパーでボードゲームを売るしぶ氏がデザイン、村内でデザイン会社を営む坂本氏(絶賛ボードゲームのお仕事募集中)がイラストを手掛けた。

『じゃんけんノーボーダー』(ぽんこつファーム)はグーチョキパーが曖昧なままでじゃんけんをし、手札に残ったカードが境界となってグーチョキパーが決まるカードゲーム

『ボムスカッド』(OKAZU brand)は昇順に並んだカードの位置をお互い探り合ってミッションを達成する協力推理ゲーム

『リターンホーム』(COLON ARC)は不時着した惑星でパーツを集め帰還することを目指すプロット式協力ゲーム。1人が災害担当となり、まずいとアクションがキャンセルされてしまう

『ラスボス』(しょまcafe)は本拠地に迫りくるラスボスに対し、周到に準備して迎え撃つ協力ゲーム。戦うと相手は怒って強力になるので、どこまで待つかがカギ

『まちビルド』(まちビルド)は箱から引いたブロックを重ねて街並みを作るゲーム。一級建築士グループが制作し、本格的な建築制限や都市計画が楽しめる

『ラビットストリーム』(RABI)はウサギ応援団の陣形を作ってウサギを進めるレースゲーム。パワーアップするとより強い陣形が組めるようになる

『タイムボム・レガシー』(新ボードゲーム党)は各国語版になった『ダイムボム(恐怖の古代寺院)』にストーリー要素を追加

『パクパクパーク』(カワサキファクトリー)は餌をまいて自分の側に動物を集める2人用ゲーム。5年ぶりの再販

『モン研!!』(四等星)は場に散らばったカードをめくってモンスターを集める神経衰弱ワーカープレイスメント

『十六夜小町』(ななつむ)はかんざしや扇子などを推薦カードでやりとりして集めるが、「師匠」の得点を超えないように忖度するコレクションゲーム

『パタルタ』(とどのつまり)はカードの組み合わせで作られるベン図を見て、そのパターンに合うカードを早取りする

『国分町酔生夢死』(ベロニカペルシカ)は仙台の歓楽街を舞台にしたタイル配置ゲーム

『このみしぐれ』(こぐまやん)はプレイヤーが樹木となって、ムササビに雨と光がある土地に種を運んでもらい、生育地を拡大するエリアコントロールゲーム

『戦國ZiPANG』(戦國ZiPANG)はKickstarterで製品化されたカードゲーム。巫女と武将のコスプレで販売
中止となった2回のゲームマーケットで発表予定だった作品もあって作品数はとても多く、また1年という期間があったことから丁寧に作られた質の高い作品もたくさん見受けられた。その割には来場者に制限があって販売は苦戦したようだが、参加できなかったけれども欲しい人は確実にいるので、早い段階で通販購入できることが望まれる。
次回のゲームマーケットは3月28日(日)にインテックス大阪で行われる予定で、現在出展者を募っているが規定数に満たない場合は開催が見送られることになっている。また東京での開催はその2週間後、4月10日(土)と11日(日)に東京ビッグサイトで行われる予定だが、こちらは1日開催にするかどうか事務局で検討中。いずれも新型コロナウィルスの状況に左右されており、予断を許さない状況にあるが、今回のノウハウを活かして何とか開催にこぎつけてほしい。

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